「不健康社員」を見逃さない 疾患リスクを防ぐIT
「命を守るシステム」の勘所(上)

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2014/12/2 7:00
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日経コンピュータ
 従業員を事故や病気で失うリスクは、極めて大きな経営課題だ。この課題解決を主導するのにふさわしい部署は、実はシステム部門である。プライバシーを守りつつ、社員の健康情報をデータベース化。放置すれば命に関わる「高リスク従業員」を発見し、治療を促す。命を救う仕組み作りにおいて、システム部門が果たすべき役割は大きい。

今、働かないで、いつ働くのか。ある40代の男性従業員はそう考えていた。プロジェクトリーダーとして多くの部下を抱え、自らも仕事に邁(まい)進する。だから、少々体調が悪くても病院に行こうとはしなかった。そんな男性に会社から一つの通知が来た。

 「あなたは重篤な疾患の発症リスクが高い。重症化防止プログラムを受けて下さい」

東京都江東区に本社を構える線材メーカー大手のフジクラは、5万人を超える従業員の健康データを集め、心筋梗塞や脳梗塞など命に関わる疾病リスクが高い「高リスク従業員」を抽出できる健康管理システムを構築中。一部運用を始めた。冒頭の従業員はリスクの高さで「全従業員中トップ10」と判定された。

■年1回の健診だけでは不十分

社員の健康管理に、企業が積極介入する時代が到来しつつある

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同プログラムに沿って疾患リスクの説明を受けてわずか2週間後、男性は発作的症状を覚えた。いつもなら「病院に行くほどではない」と我慢してしまうところだが、リスクの説明を受けていた男性は自ら119番。病院に搬送され、適切な治療を受けることができた。処置が遅れれば、命に関わるほど重症化していたという。

フジクラは、放置すれば命の危険が伴う高リスク従業員を漏らさず見つけ出すため、従業員の健康データを徹底して収集・分析している。人事・総務部 健康経営推進室の浅野健一郎副室長は「年1回の法定健診やメタボ検診のデータだけでは十分でない」と語る。健診には異状が現れない、"隠れ高リスク従業員"を見逃してしまうためだ。例えば血圧は、健診ではリラックスした環境で測定するため、職場より数値が低めに出ることがある。

フジクラの各事業所には血圧計や体組成計などをいつでも使えるよう設置してある。ID機能付き歩数計をかざすと測定データは健康管理システムに登録される。このシステムにより、フジクラ本体約3000人の従業員のうち5%がパニック値(緊急異常値)に当たる高血圧症者であることが判明した。

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