LED照明で体調の急変を検知する見守りシステム

2014/11/12付
保存
共有
印刷
その他

日経デジタルヘルス

手前左が電球型、手前右がダウンライト型のLED照明。奥は測定画面

手前左が電球型、手前右がダウンライト型のLED照明。奥は測定画面

切削工具メーカーのユニオンツールは、レーダー素子を内蔵する発光ダイオード(LED)照明を使った見守りシステム「レーダーライト」を2015年9月に発売する。天井に取り付けた照明と見守り対象者の距離をレーダーで測ることで、転倒などの異常を瞬時に検知したり、呼吸や睡眠の状態をモニタリングしたりできる。カメラや生体センサーを使った見守りシステムにつきまとう、「見られている」「機器を身に付けている」という不快感や緊張感をなくせる点が特徴だ。

高齢者施設や介護施設などでの採用を見込んでおり、発売初年度に3億円の売り上げを目指す。2014年11月10日に東京都内で報道機関向け説明会を開催した。

LED素子と、パナソニック製のミリ波レーダー素子を搭載

LED素子と、パナソニック製のミリ波レーダー素子を搭載

レーダーライトは、情報通信技術を用いた遠隔看護システムを手掛けるCQ-Sネットが開発し、特許を取得した技術である。LED照明器具にミリ波(24GHz)帯のレーダー素子と、無線LANチップを内蔵。天井に取り付けた照明と高齢者などの頭の距離を、レーダーの反射波を解析して測り、測定結果を無線LAN経由でサーバーに送信する。しゃがみこんだり倒れたりした場合には天井と頭の距離が急変することから、体調の異変などをすばやく検知し、離れた場所にいる介護従事者や家族に伝えられる。

搭載するミリ波レーダー素子は、パナソニック システムLSI事業部が開発したもの。送信部と受信部をCMOS技術で1チップ化したもので、対象との距離を高精度に測れるFMCW(frequency modulated continuous wave)モードでの動作が可能。従来のミリ波レーダー素子に比べて小型で、LED照明器具に内蔵しやすくなった。

測定結果の一例。対象との距離に応じた結果が得られる

測定結果の一例。対象との距離に応じた結果が得られる

正面方向は8m先までの対象を検出でき、正面から160度開いた方向では4m先までの対象を検出できる。高さ約3mの天井に今回のLED照明を取り付けた場合、「8畳ほどの室内をカバーでき、その範囲内にいる複数人の検出も可能」(CQ-Sネット代表取締役の齋藤光正氏)である。

■呼吸や睡眠も測れる

転倒などの異常を検知できるだけでなく、ミリ波レーダーの微小変位計測機能を活用して、呼吸状態や睡眠の深さなどのバイタルデータも測れる。「呼吸に伴う胸部の上下動の振幅が3mmほどのため、波長12mmの24GHz帯レーダーで測るのにちょうど都合がよい」(齋藤氏)。今回のシステムでは測定対象として訴求しないものの、技術的には脈拍も測定できるという。

測定原理を説明するCQ-Sネット 代表取締役の齋藤光正氏

測定原理を説明するCQ-Sネット 代表取締役の齋藤光正氏

レーダーライトの販売価格は単体で3万円程度、通信サーバーなどとのセットで20万円程度を想定する。「さまざまなパートナー企業と組み、どのようなシステムに仕上げるかをニーズをくみ取りながら検討したい」(ユニオンツール 常務取締役 営業統括部長の嶋谷克彦氏)。

レーダーライトは経済産業省の平成26年度「ロボット介護機器開発・導入促進事業」に選ばれており、実施期間は2年間。また、ユニオンツールとCQ-Sネット、パナソニック システムLSI事業部の3者はレーダーライトの開発に関して、奈良女子大学が主導する「健康みはりコンソーシアム」にも名を連ねている。3者は2014年11月12~14日に東京ビッグサイトで開催される医療機器・福祉機器関連の展示会「ホスペックスジャパン(HOSPEX Japan)2014」で、レーダーライトの動作デモを披露する。

(日経デジタルヘルス 大下淳一)

[日経テクノロジーオンライン 2014年11月11日掲載]

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]