■重要なコミュニケーションの視点
上位を競ったのがコミュニケーションを誘発するサービスだったことは興味深い。審査委員長を務めたスマートニュースの藤村厚夫執行役員は、べんとータイムズについて「このサービスの意味は本人たちが思っている以上に大きい。新聞は遠くのたくさんの人に伝えるが、『べんとータイムズ』はたった1人のために情報をバランスよく組み立てて届けるもの。ニュースの再発見はこんな時代にしか起きない」とコメントした。
「べんとータイムズ」は親子、「CompaNews」は上司と部下、といったようにニュースをコミュニケーションのツールとして利用する。記事を人が選ぶというところもポイントだ。これはニュースが、人から人へソーシャルメディアを経由して伝わるようになっているからだ。
いま人気のあるキュレーションアプリやソーシャルメディアの拡散に特化したバイラルメディアも、人から人に伝わるメディアだが課題もある。古川氏はキュレーションアプリには性的な内容のニュースが紹介されていることが多いとして「まだ子供には見せられない」と述べた。閲覧履歴などから利用者にとって最適なニュースを自動的に提示することは、フィルターバブルと呼ばれる同質性の高い情報に包まれることで視野を狭くするとの指摘もハッカソン参加者から出ていた。
ニュースについて言うと、パソコン時代のヤフーは、検索、オークションといった、ポータルという概念を打ち出して、ニュースの覇権を握った。スマホ時代にまだ決定的なサービスは出ていないように見える。