2018年11月15日(木)

1つの畑で野菜も発電も 「ソーラー兼業農家」に注目
編集委員 竹田忍

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2014/11/4 7:00
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 再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)の見直し議論と相まって太陽光発電への逆風が強まっている。天気次第で出力が大きく変動する太陽光発電が扱いにくい側面を持つのは確かだが、メガソーラーだけではない。出力が10キロワット以上50キロワット未満で低圧扱いの太陽光発電もある。今、注目を集めるのは農地に太陽電池を設置し、農業を続けながらFITで売電する「営農発電」だ。

■同じ畑で落花生作りと太陽光発電を両立

太陽光パネルの下で栽培した落花生を収穫(千葉県山武市)

太陽光パネルの下で栽培した落花生を収穫(千葉県山武市)

農地は農業以外で収益を得ることが禁じられているが、農林水産省が昨年3月末、再生エネの普及を目指して規制緩和した。植物の光合成は太陽光をすべて使い切っているわけではない。光が十分に強くなると、それ以上いくら光を当てても光合成量が増えなくなる。

この光の量を「光飽和点」と呼ぶ。この光飽和点の分を確保し、余った光を発電に回せば、影ができても作物の収量には影響しない。農業と売電の両立が可能になる。

10月4日、千葉県山武市の農家Iさんの畑で落花生の収穫があった。例年と違うのは1000平方メートルの農地で、出力48キロワットで低圧の太陽光発電設備が稼働していたこと。営農発電は支柱を立てて太陽電池を設置するのが決まり。Iさんの農地では建設現場の足場に使うパイプで支柱や架台を組んでいた。

支柱は土中のコンクリート製基礎で支え、さらに基礎同士を、土中で水平方向に配置したパイプで連結し、強度を持たせた。「風で飛ぶ心配がなく、太陽光パネルを隙間なく取り付けできる」と施工にあたったアルバテック(大阪市)の高木隆会長は話す。

風に対する基礎の抵抗力が小さいと、風圧を逃がすために間隔をあけてパネルを設置する必要が生じる。結果的に架台が大きくなり、土地の使用効率が下がり、コストがかさむという。

■売電で年220万円の収入 初期投資8年で回収

Iさんは「この畑から落花生の出荷で得られるのは6万円程度。ハクビシンやタヌキに食べられ収穫が目減りした」と話す。来年はもっと栽培が楽なミョウガへの切り替えも検討している。

売電については「1キロワット時あたり32円で売り、年間220万円の収入が期待できる」と明かす。1680万円の初期投資は約8年で回収できる計算だ。これまで形ばかりの野菜をつくり、あとは雑草を刈るだけだった農地が落花生畑として復活した意義は大きい。

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