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電子工作世代にブーム 超小型PC「ラズベリーパイ」

日経PC21
超小型コンピューター「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)」が静かなブームになっている。手のひらに載る大きさながらパソコンとして使え、しかも価格は5000円ちょっとと格安。大人の電子工作を楽しんだり、子供にプログラミングを教えたりと、アイデア次第で用途は広がる。

40~50歳代の男性なら、子供の頃にラジオの組み立てキットなどの電子工作を楽しんだ経験がある人は多いだろう。1970年代に販売されていた「電子ブロック」(学研)は、電子工作に興味がある少年たちの羨望の的だった。そんなワクワク感を思い出させてくれるのが、超小型のボード型コンピューター「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)」だ(図1)。

図1 「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)」はクレジットカードとほぼ同じ大きさのコンピューター。OSをインストールすればパソコンと同様に使えるだけでなく、外部の電子回路をコントロールするなど、さまざまな活用法が考えられる

ラズベリーパイは、英国で教育向けの安価なコンピューターとして開発された。ところが、「安くて小さくて遊べる」と大人気となり、国内でも静かなブームが起こっている。ラズベリーパイは5200円前後(販売価格はサイトにより異なることがある)と格安で、しかも手のひらに載るほど小さい(図2)。

図2 ラズベリーパイは、突起部を含めても87×58ミリと手のひらに載る大きさ。写真は最新の「モデルB+」で、4つのUSBやHDMI、LANなどの各種インターフェースを備える

小さくても機能は満載。USBやLAN、HDMIなどパソコン並みのインターフェースを搭載する(図3)。

図3 小さな基板に各種のインターフェースを満載する。GPIOは汎用入出力端子で、電子回路などの外部機器を接続して制御できる。カメラモジュールは別売

CPU(中央演算処理装置)の性能はかなり低いものの、ウェブサイトの閲覧程度なら可能だ。もっとも、それだけなら「格安だけど遅いパソコン」にすぎない。ラズベリーパイの面白さは、電子回路やカメラモジュールをつなぎプログラムで制御できること。電子工作とプログラミングで"遊べる"のだ。

周辺機器は流用でOK、インストールも簡単

ラズベリーパイの最新機種「モデルB+」は、ウェブサイトで購入できる(図4)。本体のほかにキーボード、マウス、ディスプレーなどが必要だが、パソコン用を流用できる(図5)。OS(基本ソフト)はリナックスベースなので、アプリケーションソフトも含めて無料で使える。

[上]図4 ラズベリーパイの本体はネット通販で買える。アマゾンや電子パーツの販売サイトで扱っている。日経BP社のサイト(http://pc.nikkeibp.co.jp/pc/npcs/p21_rp/)でも販売中だ。価格はモデルB+が同サイトで5200円 [下]図5 ラズベリーパイの周辺機器は、パソコン用の機器を流用できる。HDMI対応の家庭用テレビをディスプレーとして使ってもよい

ラズベリーパイと周辺機器を用意したら、OSをインストールして使えるようにしてみよう。初めに、マイクロSDメモリーカードにOSインストールツール「NOOBS」をコピーする(図6)。このマイクロSDカードをラズベリーパイに挿し、各種周辺機器をつないだら電源を入れる(図7)。すると、NOOBSが自動起動してOSの選択画面になる。

[左]図6 FAT32でフォーマットしたマイクロSDメモリーカードに、インストールツールの「NOOBS」をコピーしておく。NOOBSは下記ウェブサイトからダウンロードする [右]図7 NOOBSをコピーしたマイクロSDカードをラズベリーパイに挿す。キーボードやディスプレーを接続したら、USBケーブルをつないで電源を入れよう。電源スイッチはなく、ケーブルをつなげば起動する

OSには「Raspbian(ラズビアン)」を選ぼう(図8)。ラズビアンはリナックスベースのOSで、ラズベリーパイに適したアプリケーションソフトを搭載している。インストールはほとんど自動で進む(図9)。

[上、中央]図8 マイクロSDカードのOSインストールツールが起動する。「Language」に「日本語」を選ぶ(1)。OSのリストから「Raspbian」を選択し、「Install」アイコンをクリックする(2)(3) [下]図9 OSのインストールには十数分から数十分かかる。インストール完了後に表示されるダイアログで「OK」をクリックすると再起動する

インストールが完了すると設定ツールが起動する(図10)。インターネットに接続する場合は、セキュリティーのためパスワードを変えておこう。コマンドプロンプトからデスクトップ環境を起動すると、まるでウィンドウズのような画面が現れる(図11、図12)。

[左上]図10 ラズベリーパイの設定メニューが表示される。インターネットに接続して使う場合は、「2 Change User Password」でパスワードを変えておこう。「Finish」でメニューを終了する [左下]図11 コマンドプロンプトで「startx」と入力すると、ラズビアンのデスクトップ環境が起動する。次回以降、起動時にRaspbian(ラズビアン)にログインするにはIDとパスワードを入力する。既定のIDは「pi」、パスワードは「raspberry」だ。パスワード変更した場合は、新しいパスワードを入力しよう [右]図12 ラズビアンではウィンドウズによく似たデスクトップ環境が使える。標準でウェブブラウザーや画像ビューワー、プログラミングソフトなどを搭載している

デスクトップ上のアイコンや左下のメニューボタンからアプリケーションを起動できる。ウェブブラウザーや画像ビューワーなどを標準搭載しているおかげで、すぐにパソコンとして使える。

大人も子供も楽しめる

ラズビアンに搭載されている「Scratch(スクラッチ)」というソフトを使うと、パズルのピースをはめ込んでいく感覚で、誰でもプログラムを組める(図13)。初めてのプログラミングに挑戦してもよいし、子供にコンピューターの動作や面白さを教えるツールとして使ってもよいだろう。

ラズベリーパイの基板上にあるGPIO端子に電子回路をつないでコントロールしてみるのも面白い。昔は電子回路を作るには、はんだ付けが必要だったが、今はブレッドボードと呼ばれる基板で簡単に電子回路を組める(図14)。初心者向けには、部品と回路図のセットも市販されている。

GPIO端子に接続した電子回路は、プログラムで制御できる。電子回路やプログラミングの知識がある人なら、センサーから取り込んだ情報を基に機器をコントロールするといった応用も可能だ。最近のパソコンが失った「手を動かして何かを作る面白さ」を、ラズベリーパイで味わってみよう。

[左]図13 ラズビアンに標準搭載される「スクラッチ」は、命令のブロックを組み合わせて並べていくだけでプログラムが作れる。猫のキャラクターをプログラムで動かしてみよう [右]図14 ラズベリーパイは電子回路を接続できるのも特徴。スクラッチでプログラムを作れば、キー操作でLEDを点灯させるといった制御も簡単だ

(日経PC21 江口悦弘)

(日経PC21 2014年12月号の記事を基に再構成)

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著者:福田和宏
出版:日経BP社
価格:1000円(税込み)

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