2019年7月23日(火)

静かに始まる歩道橋「リストラ」 札幌市、一部撤去へ
インフラ老朽化対策の新潮流(1)

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2014/11/13 7:00
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2004年9月と2011年9月に市内の横断歩道橋48橋で実施した通行量調査を比べたところ、横断歩道橋がある場所で乱横断する人の数は191人増えていた。横断歩道橋自体の利用者が、4万5725人から2万2104人と半減しているにもかかわらずだ。

■年間180万円が重荷に

さらに、車を運転する人にとっても、横断歩道橋は安全を妨げている事例があることが判明した。交差点などに歩道橋があると、橋脚や階段の存在が死角となって、通行者などがよく見えなくなるケースがあるからだ。

交差点部に歩道橋の支柱があると死角が生じて安全に支障を来すケースがある(写真:札幌市)

交差点部に歩道橋の支柱があると死角が生じて安全に支障を来すケースがある(写真:札幌市)

歩道橋の存廃を考えなければならない理由は、利用者の変化だけではない。施設の老朽化も大きく影響している。

既に述べたとおり、市内の歩道橋では、完成から40年を超える施設が大半を占める。こうした施設では今後、更新をはじめ、老朽化に伴う大掛かりな対応が必要になってくる。利用ニーズが低い場所で横断歩道橋を更新したり大規模修繕したりしても、無駄な投資になりかねない。

自治体の財政難が続く状況下では、日常の維持管理費の負担も無視できない。市内の歩道橋では、冬でも利用できるようロードヒーティング設備を配している。当然、冬の利用では電気代を要する。

加えて、利用を続けるのであれば、設備自体を15年程度の周期で更新していかなければならない。また、横断歩道橋は20年に1回の頻度で塗装の塗り替えを要する。こうした施設の維持管理に対して、札幌市は横断歩道橋1橋当たり、1年間に約180万円を投じている状況にある。

一方、撤去工事であれば1橋当たり約1000万円を要する。5年程度の維持管理費があれば、撤去は可能なのだ。これでは、利用者が少なく、便益の小さい施設は撤去した方が、メリットが大きくなる。

こうした状況を踏まえ、市は前述したような撤去に向けた手続きやその条件などを検討してきた。

■市は撤去に向けた提案を開始

市が横断歩道橋の撤去を提案し、撤去を進めるまでの手続き(資料:札幌市)

市が横断歩道橋の撤去を提案し、撤去を進めるまでの手続き(資料:札幌市)

撤去に向けた手続きは、以下のようにして進める。まずは、既に述べたような三つの観点を基に、市が撤去候補となる横断歩道橋を選定する。この撤去候補については、横断歩道橋の利用実態調査を5年ごとに実施して、見直しを図る。

撤去候補を決めた市は、地元の住民などに横断歩道橋の撤去を提案する。この提案は、町内会長やPTAなどが参加する意見交換会において示す。

意見交換会で撤去の提案が認められると、住民代表や市の職員で構成する協議会を設ける手はずになる。協議会において改めて撤去が認められれば、市側で代替の交通安全対策などを調整し、撤去が可能だと最終判断できた場合には撤去を実施する。

札幌市南区内に位置する藻岩下横断歩道橋は、この流れのなかで、既に協議会が撤去を決める段階まで進んだ。市による提案から協議会まで進んだ横断歩道橋は、ほかにも豊水横断歩道橋と菊水西町横断歩道橋がある。

インフラの老朽化に伴う既存施設のダウンサイジングは、将来の維持管理を持続可能なものにしていくうえで欠かせない考え方だ。札幌市の先例は、数多くの自治体にとっても参考になるに違いない。

(日経コンストラクション 浅野祐一)

[ケンプラッツ2014年10月21日付記事を基に再構成]

[参考]日経BP社は2014年10月22日、書籍「2025年の巨大市場」を発行した。今後急増する老朽インフラは、日本に新たに突きつけられた大きな問題だ。この問題の解決には、これまでインフラに携わってきた発注機関や建設産業界のみならず、情報通信や電機、化学、バイオなどあらゆる産業の英知を結集した革新的な取り組みが求められる。本書は、その裏付けとなる数多くの実例を紹介するとともに、これから10年先の維持管理市場の変貌を大胆に予測。今後の成長分野である維持管理市場で勝ち残る指針を提示する。

2025年の巨大市場 ~インフラ老朽化が全産業のチャンスに変わる~

著者:浅野祐一、 木村駿
出版:日経BP社
価格:1,944円(税込み)

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