2019年1月20日(日)

静かに始まる歩道橋「リストラ」 札幌市、一部撤去へ
インフラ老朽化対策の新潮流(1)

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2014/11/13 7:00
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日経コンストラクション

 社会インフラの"リストラ"を始めている自治体がある。札幌市だ。しかも、自治体側から撤去に向けた話を進めていくという先進的な取り組みである。これまでは、住民など利用者側から声が上がらなければ、インフラの廃止に踏み込むことは難しかった。

リストラの対象となるのは、横断歩道橋だ。2014年8月には、市の職員と住民などが議論する協議会において、撤去に対して賛成者が多数となる横断歩道橋が出てきた。自治体主導のインフラ整理は、着実に歩を進めている。

札幌市は2012年度に、横断歩道橋の撤去に向けた論点や考え方などを整理するために、有識者による「札幌市横断歩道橋のあり方検討委員会(委員長:萩原亨・北海道大学大学院工学研究院教授)」を設置した。

そして同委員会は2013年3月、歩道橋を撤去するまでの手続きや、撤去候補を選定する際の考え方などを整理した提言書を作成。市長に提出していた。

これを受けた市は横断歩道橋の撤去に対する考え方をまとめ、撤去候補となる歩道橋を選定していった。

■撤去候補に選ぶ三つの条件

札幌市が撤去候補を決める際に設けた最も大きな条件は、横断歩道橋の利用者が少ないこと。具体的な利用者数としては、午前7時から午後7時までの間の利用者数がおおむね100人未満、または児童の利用者数がおおむね20人未満が目安となる。

このほか、場所などに応じて二つの条件も加えた。一つは、歩行者の安全性に問題が生じていること。支柱や階段が交差点部に存在するなどして、歩行者や車の運転者にとって死角を生み出しているようなケースだ。

残り一つは、歩道空間を狭くしている施設だ。横断歩道橋が存在することによって、歩道の有効幅員が狭くなり、通行自体が困難になっているような例が該当する。

こうした条件を基に、市は14橋の横断歩道橋を撤去候補として掲げた。

■多くが1960年代後半から70年代前半に建設

では、一体なぜ、横断歩道橋が撤去を議論する対象となってしまったのだろうか。その理由を解き明かすために、まずは横断歩道橋の現状について、説明しておこう。

札幌市が管理する横断歩道橋は、2013年12月時点で48橋存在する。これらの多くは、交通事故が多発していた1960年代後半から1970年代前半にかけて建設された。同時期に建設され、完成から約40年を経た横断歩道橋は、36橋に及んでいる。

当時、横断歩道橋を建設する大きな目的は、交通事故の防止だった。市内でも信号機が設置されていない箇所は珍しくなく、小中学生が通学時に事故に遭わないようにするために、市は通学路に横断歩道橋を整備していった。

■4分の1は児童の横断が10人未満

ところが、少子高齢化社会の到来が、横断歩道橋の存在意義を揺るがしていった。学校の統廃合によって、施設自体が通学路ではなくなるなどしたために、既存の横断歩道橋では児童の利用者数が極端に少ない事例が存在する。

市が2011年9月に、市内の横断歩道橋48橋の通行量を調査した結果、午前7時から午後7時までの12時間に利用した児童数が10人を割り込んだ横断歩道橋は、全体の4分の1に当たる12橋に達していた。これら12橋のうちの半分は、指定を受けた通学路となっていなかったり、通学路上に存在していなかったりした。

撤去候補となった14橋の利用状況(資料:札幌市)

撤去候補となった14橋の利用状況(資料:札幌市)

高齢者などにとっても、横断歩道橋は使いやすい施設とは言い難い。バリアフリーとは縁遠い、長い階段を持つ施設だからだ。横断歩道橋を渡る手間を惜しみ、道路を乱横断してしまう人は増加傾向にある。

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