エース候補、楽天・松井裕が乗り越えた1年目の試練
スポーツライター 浜田昭八

(1/2ページ)
2014/10/26 7:00
保存
共有
印刷
その他

今季最後の登板で、楽天・松井裕樹(18)は来季へ向けて確かな手応えをつかんだ。10月5日、札幌ドームでの日本ハム戦。0-1で敗れたが、初めて一人で8イニングを投げ切った。四球を発端に崩れることが多かったが、八回に1四球を出しただけだった。

課題は力だけに頼ろうとしない投球

日本ハムはこの試合がレギュラーシーズンの今季最終戦だった。稲葉篤紀の引退試合でもあり、大谷翔平が先発で「送別登板」をした。162キロの快速球に場内は沸き、稲葉が打席に立つと激しい「稲葉ジャンプ」でスタンドは揺れた。この日の楽天は、まぎれもない敵役だった。

その異様な雰囲気の中で、松井裕はペースを狂わせずに投げた。これまでは得意のスライダーで空振りさせ、内角速球で詰まらせるのに快感を覚えていた。気負って制球を乱し、よく自滅した。いつもとは違う惜別ムードに、自分までが巻き込まれてはいけないという思いが、松井裕を落ち着かせた。チェンジアップをまじえた緩急投法。これが、いつも首脳陣が言う「力だけに頼ろうとするな」ということかと、改めて感じた。

2012年夏の甲子園大会で松井裕は旋風を巻き起こした。神奈川・桐光学園の2年生エースとして登場。1回戦の愛媛・今治西戦で22三振の1試合三振奪取の大会記録(延長戦を除く)をマークした。常時140キロ前後を記録する速球と、打者の視野から飛び出す「消えるスライダー」は、高校生ではとても手に負えなかった。

準々決勝で田村竜弘(現ロッテ)、北条史也(現阪神)が3、4番の青森・光星学院に敗れたが、ここでも15三振を奪った。この夏の4試合で奪った三振は計68。「消えるスライダー」はプロでも十分に通用するとみられた。

13年秋のドラフトでは中日、DeNA、ソフトバンク、日本ハム、楽天の5球団が1位指名した。抽選で楽天が引き当てたときには、田中将大の後継者ができたと、球団関係者は大喜びした。入団後の春のオープン戦でも好投し、久しぶりに高卒新人の開幕投手が実現するのではないかと話題になった。だが、現実はそれほど甘くなかった。

開幕から先発ローテーションに加えられたが、初登板は2カード目のオリックス戦だった。6回3失点で初黒星のホロ苦いデビューだった。球速、変化球のキレはまずまずだったが、5四死球を出したテンポの悪さ、投球数の多さが目立った。

  • 1
  • 2
  • 次へ
保存
共有
印刷
その他

プロ野球コラム

関連キーワード

電子版トップ



[PR]