2019年1月17日(木)

エコハウスのウソ 実は少ない冷房の電力消費
冬に備える家づくり(4)

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2014/11/11 7:00
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日経アーキテクチュア

 「家づくりは冬を旨とすべし」と公言する専門家の一人が、東京大学准教授の前真之氏。住宅の省エネルギー性能を客観的に調査・分析している気鋭の科学者だ。連載「冬に備える家づくり」の4回目となる今回は、前氏が上梓した書籍「エコハウスのウソ」(2012年6月発行)から、いくつかの解説を掲載する。まずは、なぜ「冬を旨とすべし」なのか、その理由を聞こう。

(イラスト:ナカニシミエ)

(イラスト:ナカニシミエ)

「家の作りやうは、夏をむねとすべし。冬は、いかなる所にも住まる。暑き比(ころ)わろき住居(すまひ)は、堪へ難き事なり。」──よく知られた吉田兼好(1283~1352)『徒然草』の一節。エコハウスで必ず引き合いに出される、この「夏を旨とすべし」(以下「夏旨」と略す)。実際のところは、どうなのか。

「夏旨」は、実のところエコハウス設計に甚大な「害」をもたらしている。害の一つ目は、通風だけで夏を過ごそうとする住宅を量産させたこと。こうした「夏旨」住宅の多くは、大開口による「開けっぴろげ」で、間仕切りなし+吹き抜けの「開放的」なプランになっている。

■通風や扇風機だけでは限界

だが、温度も湿度も高く蒸し暑い「日本の夏」においては、空気をかき回すだけの通風や扇風機では限界がある。温度と湿度が非常に高いピンチの時には、エアコン冷房が唯一の命綱。しかし残念ながら、エアコンで効率良く冷房できることを真面目に考えた「真の夏旨」には、まずお目にかかれない。

こうした「通風一筋」のエコハウスでは、エアコンが変な位置に付けられていたり、そもそもエアコンが付いていなかったりする。何より、冷房が本当に必要な空間だけを間仕切ることができない。結果、冷房するには「家中を丸々」冷やさざるをえなくなり、あれだけ嫌っていた冷房の「増エネ」を招くという皮肉な結果に終わってしまうのである。

後述するように、冷房の消費電力は現状でも目くじらを立てるほどではない。いかなる時も使ってはいけないような「危険物」ではないのである。

もちろん、外部環境が涼しく良好なシチュエーションで通風が気持良くできることは素晴らしい。しかし、必要な時につつましく冷房できるという「次善の策」は絶対に必要である。吉田兼好だって、700 年後の人たちが文明の利器をかなぐり捨てて苦しく暮らしていると聞いたら、さぞビックリするだろう。

それが自分のせいともなれば、甚だ心外なのではないだろうか。昔は昔、今は今。21世紀における真の「夏旨」とは、通風と冷房の「2段構え」であることを、くれぐれもお忘れなく。

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