20兆円市場狙え 大阪湾岸に蓄電池の研究・生産拠点
編集委員 宮内禎一

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2014/10/21 7:00
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 咲洲(さきしま)、夢洲、舞洲などの人工島を中心に、大阪湾臨海部が環境・エネルギー産業の新たな成長拠点に浮上してきた。住友電気工業は次世代の大容量蓄電池とされる「レドックスフロー電池」の開発・生産を本格化する。7月には経済産業省所管の独立行政法人が世界最大級の大型蓄電池の試験・評価施設を整備すると発表しており、「バッテリー(蓄電池)ベイ」の構築へ強い追い風になりそうだ。

■今後の成長が期待できる大型蓄電池

住友電気工業のレドックスフロー電池(左)と太陽光発電システム(写真は横浜製作所)

住友電気工業のレドックスフロー電池(左)と太陽光発電システム(写真は横浜製作所)

関西はリチウムイオン電池の生産で優位を占めてきたが、携帯電話やパソコン向けなどの小型電池は中国や韓国企業の追い上げが激しく、シェアを落としている。しかし、電気自動車(EV)の車載用やスマートハウスなど家庭用、産業用、再生可能エネルギーの活用に必要な電力系統安定用の大型電池は今後の成長が期待できる。

パナソニックは大阪市の住之江工場で予定していたモバイル用のリチウムイオン電池の増産投資を取りやめたものの、その後、米EVメーカーのテスラモーターズ向けの車載用や家庭用の電池の増産に入った。関西にはリチウムイオン電池の製造装置メーカーも集積しており、大型蓄電池でも需要が見込める。

■住友電工、大容量「レドックスフロー電池」を研究・量産

テーマパークのユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪市此花区)にほど近い住友電工の大阪製作所。同社はここをレドックスフロー電池の研究開発と量産の拠点に位置づけた。この電池はバナジウムの電解液をポンプで循環させて充放電する仕組みで、発火の心配がなく安全性が高い。電解液や電極は耐久性があり、リチウムイオン電池やナトリウム硫黄(NAS)電池より長持ちするのも特長だ。

製品評価技術基盤機構(NITE)が整備する大型蓄電池の試験・評価施設の完成予想図(大阪市住之江区)

製品評価技術基盤機構(NITE)が整備する大型蓄電池の試験・評価施設の完成予想図(大阪市住之江区)

量産体制を整えたのはまだ同社だけで、まず北海道電力の変電所に蓄電容量6万キロワット時という世界最大のレドックスフロー電池を設置し、風力と太陽光発電の電力をいったんためて電力系統に送る実証実験を2015年度から始める。住友電工は、再生可能エネルギーの活用に積極的な米カリフォルニア州の電力会社などへの輸出もにらんでおり、「生産施設拡張の余地はある」(徳丸亀鶴・インフラ事業推進部長)という。

大型蓄電池の開発のスピードアップやコストダウン、輸出振興に貢献しそうなのが、経済産業省所管の独立行政法人、製品評価技術基盤機構(NITE)が咲洲に建設する大型蓄電池の試験・評価施設だ。

■蓄電池の世界市場、2020年には20兆円に

現在は雑草が生い茂る大阪市住之江区南港北の一角。NITEはこの大阪市の遊休地2万6400平方メートルを購入し、15年度末をメドに施設を整備する。振動や衝撃を与えたり充放電を繰り返したりして製品の安全性や耐久性を調べる施設で、16年夏以降に稼働させ、将来は2000キロワット時までの系統安定化用や自家発電用の大型蓄電池の試験や評価に対応する。

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急成長が期待できる蓄電池市場

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