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都内に出没、ノマド行商人 ネット時代の申し子

山田 剛良(日経NETWORK編集長)

都内のネット関連業界人の間で「ノマド行商人」と呼ばれて話題になっている人物がいる。携帯電話販売店向けの研修サービスなどを手掛けるテソロ(東京・品川、及川浩司社長)の佐藤勝彦取締役兼企画部長(37)だ。

スマホグッズを個人で行商 ネット駆使

立て板に水の営業トークが売りの佐藤さん

スマートフォン(スマホ)関連の便利グッズを持ち歩き、その場でデモ、その商品を気に入った人に直接売る。まさに行商スタイルだが、交流サイト(SNS)を経由した口コミやネットの決済サービスを活用し、個人で活動している点が新しい。本業の合間の活動には別の効果もあった。

「今のイチ押しはこのカラフルなプロジェクター。小さいでしょ。営業マンがこんな風にカバンからパッと出してスマホにつないでプレゼンしたら格好いいと思うんですよ」。立て板に水の口上は確かに行商っぽい。どう使うかを簡潔に織り交ぜ、商品の魅力を語る。聞いているうちに「それ買った!」と言いたくなる。

その場でカード決済、SNSの口コミで顧客拡大

決済はその場だ。スマホにつなぐ、小型のカード決済端末を使う。現在、国内でサービスする4社の端末をすべて持ち歩く。対応カードがそれぞれ微妙に違うという理由もあるが、それ以上に決済サービス自体のデモという意味がある。「個人営業でも使える便利な決済サービスがあると知ってほしい」と佐藤氏。

フェイスブックなどのSNSの口コミをつてにどこへでも出掛ける。顧客が「友人なんだけど、欲しがってるので行ってもらえる?」と、新たな顧客を紹介してくれる。「つてをたどっていくと自分とまったくつながりのなかった人と出会えるのが面白い」と佐藤氏。

購入者にはブログやSNSで商品を必ず紹介してほしいとお願いする。「ノマド行商人から買った」とフェイスブックやブログに書き込むと、そこに「いいね!」が付いて話題が拡散する。商品の情報と一緒に佐藤氏自身の名前が売れる。それが狙いでもある。

本業の携帯販売店向け研修がきっかけ

やまだ・たけよし 東工大工卒、同大院修士課程修了。92年日経BP社に入社、「日経エレクトロニクス」など技術系専門誌の記者、日本経済新聞記者を経て13年から現職。京都府出身、48歳。

ノマド行商を始めたキッカケは佐藤氏自身の営業力のデモ。顧客である携帯販売店に端末だけでなく、関連グッズを売る提案をしたところ、売り方がわからないと相談された。「こうやって売ればいいと、試しに営業してみたら喜ばれた」

テソロの本業は携帯電話販売店向けの研修サービスである。新機種が出たときなどに、販売員を集め、商品のポイントや効果的なセールストークなどを伝授する。自身の営業力をアピールし、研修サービスの受注につなげるもくろみだったが、別の効果も出てきた。

一つはスマホグッズのメーカーと販売店の仲介や販売戦略の指南。佐藤氏がノマド行商で手掛けるのは、尖った特徴を持つ分、比較的高額な商品が多い。メーカーも小規模だ。販売店が取り扱いに慎重になりがちなところを「ノマド行商でよく売れた」という事実が背中を押す。「大手量販店からも相談されるようになった」(佐藤氏)

スマホと決済端末があれば、どこでも売れる

もう一つはノマド行商という営業スタイルや佐藤氏の営業ノウハウそのものの指導依頼だ。顧客離れに悩む地方の商工会議所の青年部などで既に何度か講演やワークショップを実施している。

佐藤氏はそうした場で「SNSの拡散などで人は集められる。スマホと数千円で買える決済端末があればどこでも商品は売れる。まず、商店街から外に出ましょう」と話すという。インターネットは個人を強くする、とずっと言われてきた。ネットをフル活用して個人で営業するノマド行商人の活動は、その最先端の事例といえそうだ。

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