2019年6月20日(木)

原発事故で再注目 小水力発電、国内外で市場拡大
編集委員 安西巧

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2014/10/13 7:00
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東京電力福島第1原子力発電所事故をきっかけに電力改革の機運が高まって3年余り。再生可能エネルギーに注目が集まる中で小水力発電を巡る動きが加速している。2012年に始まった再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)によって売電価格が高値安定したことから農業用水や工業用水、上下水道などへの小水力発電設備の需要が急増。大手メーカーだけでなく、地方の中小メーカーも水車や発電機などの開発に力を入れ始めたほか、水力関連分野でのM&A(合併・買収)も目立ってきた。9月以降相次いでいる九州電力などの再生エネ受け入れ中断は懸念材料だが、国内だけでなく、東南アジアなど海外での小水力発電のプロジェクト受注を狙う企業も相次ぎ、各社は内外での市場拡大を視野に入れている。

■東北で進む開発

芦野工業の横型フランシス水車

芦野工業の横型フランシス水車

今年8月、東北の中堅・中小メーカー2社が発電効率の高い小水力発電向け水車を共同開発すると発表した。芦野工業(山形市、鈴木末三社長)と東北小水力発電(秋田市、和久礼次郎社長)で、国内の水力発電施設の約7割で採用されているフランシス水車の羽根の形状改良に取り組む。

19世紀半ばに米国人技術者ジェームズ・B・フランシスが発明したとされる同水車は「ランナー」と呼ばれる羽根車を水流で回す仕組みで、多様な水路の落差や流量に対応できるのが特長だ。東北小水力が得意な流体解析技術を活用して最適な羽根の形状を設計し、水力発電機器製造で実績のある芦野工業が試作機の製造や実証実験を手がける。両社が狙うのは出力1万キロワット未満の小水力発電市場だ。

フランシス水車のランナー(羽根車)

フランシス水車のランナー(羽根車)

フランシス水車では水流のエネルギーを電力に変える発電効率が高いもので91%程度とされる。芦野工業の鈴木社長は「小水力発電は設備の設置場所によって発電効率は大きく変わるが、開発が計画通りに進めば既存製品より4ポイント程度の改善は見込める」と説明する。東北小水力の和久社長は「最高95%という発電効率向上の目標を達成できれば大手メーカーと同じレベルで対抗できる」と期待を膨らませる。両社は17年3月までの商品化を目指し、完成後はそれぞれのブランドで販売する計画だ。価格は従来品と同程度の2億円(設備一式)としたい考えで、両社ともに5年後に年間10台、販売額20億円を見込んでいる。

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