2017年12月14日(木)

暖房の前にまず「断熱」 失敗しない家づくりの常識

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2014/10/16 7:00
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日経アーキテクチュア

 「家は夏を旨とすべし」──。吉田兼好の「徒然草」から引用されたこの言葉が、日本の家づくりに大いなる誤解を招いていると指摘する専門家は多い。例えば、東京の冬は、フランスのパリやドイツのベルリンと大して変わらない。地球温暖化が騒がれているとはいえ、東京の冬は侮れない寒さだ。まして東北、北海道をや、である。間近に迫ってきた厳しい冬を前に、「冬を旨とした家づくり」のために知っておきたいポイントを3人の専門家に解説してもらう。今回は、日経BP社の日経アーキテクチュア誌が2014年9月22日に発行した「建てる前に読む 家づくりの基礎知識」から、分かっているつもりでも誤解している人が多い「断熱」の基礎知識を、東京都市大学教授の宿谷昌則氏に解説してもらった。聞き手は、ライターの萩原詩子氏。

イラスト:宮沢洋、以下同じ

イラスト:宮沢洋、以下同じ

──エコ住宅や省エネ設備の資料を見ていると、見慣れない言葉がたくさん出てきます。先生にその意味を教えていただきたくて、伺いました。まず、断熱性の計算に使う「熱貫流率」といった言葉の意味を…。

 まあまあ、そう急がずに。専門用語の前に、そもそも断熱の目的とはなんだと思いますか。

──冷暖房のエネルギー使用量を抑えるためでは?

 私も以前はそう考えていました。しかし、断熱性を高めても、光熱費はそれほど劇的に削減できるわけではありません。断熱施工のコストはなかなか回収できないように思えるわけです。

──えっ、がっかりです。

 でもね、例えば5000万円で100m2(平方メートル)の家を建てたとしましょう。断熱性が低いと、冬は暖房が効きにくいからリビングの一部だけで縮こまって暮らす、なんていう状況がたくさんあります。そうすると、5000万円の住宅の一部しか使っていないことになる。100m2のうち、50m2しか使えないとしたらどうですか。それこそ、かけたコストに見合いませんね。

 断熱性が高いと、空間を広く使えるようになります。住む人が不快でなく過ごせます。このことこそが、断熱の一番の目的と考えるべきです。光熱費の節約は、結果としてついてくる「おまけ」と考えておくのがよいと思います。

──断熱性が高いと、どうして快適なんでしょうか。

 断熱性が高いと、床や壁・天井の表面温度が適度に保たれるからです。

──表面温度? 室温ではないのですか。

 そこで、理解しておかなければならないのが、「放射」の概念です。「輻射」と呼ぶこともあります。

 私たちの身体から発する放射熱は、目に見える光(可視光)や紫外線、そしていわゆる放射線(エックス線やガンマ線)と同じく、みなすべて電磁波です。ただ波長が違うだけなんです(図1)。

図1 放射熱も可視光・エックス線も波長が違うだけ

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