気概のエース前田、「常勝広島」への先導役
スポーツライター 浜田昭八

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2014/9/28 7:00
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広島の投手、前田健太の優れた身体能力を象徴するのに、有名な「マエケン体操」がある。マウンドへ上がる前にベンチ前でやる準備運動。前かがみになって、水泳の自由形のストロークのように両腕をぐるぐると回す。肩の可動域の広さを誇示するかのようだ。この鍛えられた柔らかい体から、どんなに鋭い球が投げられるのかと大きな期待を抱かせる。

正解だった1年目の2軍での体力強化

PL学園高のエースだったころから、「桑田2世」と呼ばれた。同校の先輩、元巨人の桑田真澄より上背はあるが、大型化した最近の投手の中では普通の体つき。だが、そのセンスのよさはまさに桑田並み。すごみはないが速球、変化球ともに切れがよく、制球もいい。体にバネがあり、けん制、フィールディングもうまい。おまけに打撃もすばらしく、1年目からの活躍が期待された。

だが、広島は1年目の前田をファームでずっと鍛えた。それが正解だった。プロの投手として長く活躍するには、基礎体力が足りないとみられたのだ。投手としての技術は、ファームでなら群を抜いていた。鍛錬は主に体重を増やし、体幹を強化することに集中した。前田は実に我慢強く、この練習に耐えた。

2年目の2008年には、開幕3カード目に1軍入りした。前半戦は1、2軍を何度か往復したが、後半戦は1軍に定着して、先発ローテーションの一角を占めた。前半戦では2勝1敗だったが、後半戦では7勝1敗の好成績を収めた。

不動のエースとして野村監督支える

新人時代は背番号「34」だったが、2年目からは「18」に変わった。引退したばかりの佐々岡真司がつけていたエースナンバー。チームの期待がいかに大きかったかが分かる。前田も物おじしない投球で、その期待に応えた。監督ブラウンは年齢やチーム内の序列にとらわれることなく、若い前田をフェアに扱った。これも前田に幸いした。

翌09年は相手チームに研究されたこともあって、8勝14敗と負け越した。負けん気の強い前田の心に火がついた。このオフから10年のキャンプにかけての練習には、ひときわ力が入った。09年春の甲子園大会で菊池雄星(西武)の岩手・花巻東高を破って優勝した長崎・清峰高のエース今村猛がドラフト1位で入団してきたのも刺激になった。

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