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異彩放つインディーゲーム 仮想現実や多人数参加

世界最大級のゲーム見本市「東京ゲームショウ(TGS)2014」が21日に閉幕した。大手ソフトメーカーの大作に注目が集まるなか、異彩を放っていたのが小規模なゲーム会社や自主製作作品が集まった「インディーゲームコーナー」だった。「ホール2」「ホール3」にまたがって設けられた展示スペースには実に20近い国・地域から68社が集結した。大手顔負けの本格アクションから素朴なゲームまで。ひょっとすると大化けするかもしれないゲームたちが、来場客を魅了していた。

TGSに出展した主なインディーゲーム
社名ゲーム名ジャンル
Digital Happiness
(インドネシア)
DreadOutホラー
PD Design Studio
(シンガポール)
Dusty Raging Fistアクション
STEAMPUNKER
(ポーランド)
STEAMPUNKERアドベンチャー
Witch Beam
(オーストラリア)
Assault Android Cactusアクション
eHooray
(台湾)
Kami Warsタワーディフェンス型RPG
Two Tribes
(オランダ)
TOKI TORI2+アクション

シューティングゲーム「GANGS OF SPACE」は最大70人で同時にプレーして強大な敵を倒す設定だ。日本のゲーム会社に勤めていた2人の外国人プログラマーが開発した。そのうちの1人、フランス人のギユモ・マチュー氏は「現在はテスト版だが、すでに4000人が登録している」と話す。ゲーム内に貿易などの要素もあり、アクティブユーザーが1万~10万人になると、ゲーム内の政治経済がうまく機能する設定にしているという。

2人はともに日本在住という。マチュー氏は東京に、相方は名古屋市に住む。インターネットで連絡を取り合いながら、ゲーム開発を進めてきた。多人数が同時に参加するオンラインゲームは「MMO」と呼ばれ、注目度が高いジャンルだ。1つの画面に複数のプレーヤーを同時に描写したり、大人数が楽しめるようにゲームのバランスを調整したりする開発は煩雑で、大手ゲーム会社でさえ開発には手間取る。大手に引けを取らないインディーの実力が垣間見える。

「GANGS OF SPACE」は2人のプログラマーが開発したMMOシューティング。

ブラジルのPOCKET TRAP社が開発した「Ninjin」のブースでは、コントローラーを握りしめた20代の女性が熱心にプレーしていた。

画面左から右に向かって駆け抜ける忍者姿のうさぎ(?)を操作し、襲い来る敵を倒すという単純なゲーム。手裏剣を投げて後方の敵を、剣を振るって前方の敵を攻撃する。道ばたに落ちているニンジンを拾うと体力が回復する。Ninjinはもちろんニンジンを指すが、実はブラジルの公用語、ポルトガル語で「ちっちゃな忍者」と表現した時の単語にも発音が似ている。

 「『ドラゴンボール』のアニメを見て育ったから、日本の言葉や文化には自然と親しんでいる」と話すのは創業者の1人でプラグラマーのエンリケ・ロレンツィ氏。ゲーム中には、ほかにも「shuriken」「saru」などの日本語がちりばめられている。

「Tumblestone」は同じ色の石を3つずつ消していく

現在は開発中で、2015年にも10ドルで発売する予定という。POCKET TRAP社がTGSに出展したのは初めて。日本語が話せないため、ロレンツィ氏はプレーヤーの姿をじっと見守る。無言でゲームに没頭する来場者を目の当たりにし、確かな手応えをつかんだようだった。

同じ色や絵柄を3つそろえる「3マッチパズル」は世界でもメジャーなゲームルールになっている。英キングの「キャンディークラッシュ」が有名だが、日本でもガンホー・オンライン・エンターテイメントの「パズル&ドラゴンズ」で遊び方が浸透した。米The Quantum Astrophysicists Guild社が出展した「Tumblestone」もその1つだ。

5列に整列した「赤」、「青」、「紫」、「黄」、「緑」、「黒」の石を下面から3つずつ破壊し、対戦相手よりも早く、すべての石を破壊できればクリアだ。簡単そうだが、破壊する順番を間違えると、途中で行き詰まってしまう。将棋のさし手を読むように、後に控える石の色や並び方を考え、戦略を練る必要がある。年内にも米マイクロソフト「Xbox One」などに向けて発売する予定で、価格はやはり10ドルという。

ひときわ長い行列で目を引いたのが日本のマジックサーキットが出展した「Litte Witch Pie Delivery」だった。いま話題の仮想現実(VR)を楽しめるゴーグル型の表示装置「オキュラスリフト」を使ったゲームだ。

「Little Witch」はオキュラスリフトをかぶり、ほうきをコントローラーにして操作する

魔法のほうきにまたがった少女を操作し、スタジオジブリの人気アニメのように制限時間内に焼きたてのパイを届ける。ロンドン風の街並みの狭い路地を通ったり、高架をくぐったりする。ユニークなのは、操作に使うコンローラーが本物のほうきだという点だ。

オキュラスをかぶり、ほうきにまたがって軽くジャンプするとゲームがスタートする。ほうきの傾きや動きをセンサーで検知し、ゲーム画面に反映する仕組みだ。ほうきの柄に付けられたボタンを押すと加速する。実際には足は地面についたままなのに、ふわふわ浮いている不思議な感覚が味わえた。

フェイスブックが買収に1000億円を投じたことで知られるオキュラス社。オキュラスリフトは表示動作も軽快で、「VR技術の本命」と見る業界関係者は少なくない。何より、開発者向けに350ドルという廉価なキットを販売していることが、ゲーム開発者たちを刺激している。

インディーゲームコーナーでは出展されたゲームのほとんどが試遊できた。一方で大手メーカーの場合、目玉タイトルほどデモ画面だけにとどまっていた。知名度に劣るインディーゲームは社名やゲーム名では客を呼べないだけに、完成前の粗削りな段階であってもユーザーに遊んでもらい、注目してもらおうという意気込みが強く感じられた。

大手メーカーの大型タイトルにはシリーズ作品が多い。マンネリ化の指摘もある。だからこそ実はSCEやマイクロソフトはインディーゲームの発掘に力を入れている。最新ゲーム機の雌雄を決するキラーコンテンツは、インディーゲームから生まれるかもしれない。

(企業報道部 新田祐司)

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