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バイオマス発電、地域連携がカギ 燃料調達も課題

木材、食品廃棄物、下水汚泥、家畜の排せつ物などを燃料とするバイオマス(生物資源)発電の計画が増えている。2012年に再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)が始まって以来、14年3月までにFIT認定を受けた事業は156件で、出力は合計156万キロワットを超えた。太陽光に次ぐ規模で、合計104万キロワットの風力を上回る。

輸入頼みの燃料に為替リスク

住友商事グループの新電力であるサミットエナジーは総事業費200億円で愛知県半田市に出力7万5000キロワットのバイオマス発電所を建設する。昭和シェル石油は川崎市に出力4万9000キロワット、新電力中堅のイーレックス(東京・中央)は大分県佐伯市にある太平洋セメントの工場遊休地に出力5万キロワットの発電所をつくる。

バイオマス発電事業の採算向上には大きく3つの課題がある。

まず燃料の持続的な調達だ。木質バイオマスの場合、FITを活用すると5000キロワット以上の大規模発電所なら、設備投資額と売電収入が見合い採算がとれるといわれる。しかし運転が維持できる燃料を国内で持続的に調達するのは難しく、おのずと輸入に頼ることになる。そうなると為替変動リスクがつきまとい国内林業や関連産業との関係は薄くなる。FITを定めた再エネ特別措置法では「我が国産業の振興、地域の活性化」を目的としているが、効果はあまり見込めなくなる。

2つめはエネルギーの効率的な生産と利用だ。効率化は収益に直結する。企業の工場などで普通に実施されていることがバイオマス発電では生かされていない。発電設備を大型化しても発電効率はせいぜい20%台にとどまる。投入するエネルギーの約8割は熱として捨てられる。だが熱として活用すればエネルギーを9割以上使える。

さらに設備の効率化や保守体制の整備もある。国産の木質ボイラーは焼却炉などの技術を転用して開発されており、多くは海外製に比べて燃焼効率が劣るようだ。海外製ボイラーは電気事業法の規制により使いづらいのが実情で、規制緩和やボイラーメーカーの工夫が急がれる。

3つめは地域との連携である。バイオマス発電は地元の林業や畜産業などを無視しては成り立たない。事業として成功すれば、人口減少に悩む地方で雇用を生み、自立した街づくりに貢献する存在になれる。最近ではこうした課題を乗り越えようとする動きもある。

身の丈に合った地産地消の事業に

新電力のエナリスは、大分県佐伯市で出力2000キロワットのバイオマス発電所の建設に乗り出した。佐伯広域森林組合と連携し、発生する間伐材や製材を燃料として調達する。地元の漁業協同組合とも連携し、発電時に発生する温水を地元漁業者のウナギ養殖に使う。発電した電気はエナリスが買い取り、九州電力より5%程度安く販売する。

同社は規模を大きくして無理に燃料を集めるのではなく、1000~2000キロワットの小・中規模の発電所を5年間で全国に10カ所程度建設する計画を立てている。久保好孝会長は「地域の特長を生かし、身の丈に合った地産地消の事業を全国に普及させるのが望ましい」と語る。

3つの課題の解決には企業努力はもちろんだが、FITの買い取り価格の改正など政策面の後押しも必要だろう。

(日経エコロジー編集部 半沢 智)

[日経産業新聞2014年9月11日付]

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