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iPhone6で最速競う 国内通信3社、勝負の行方

米アップルが9日に発表した「iPhone6」「同6プラス」では、画面が大型化しただけでなく、従来モデルよりデータ通信の最大速度が向上するなど通信機能面も進化を遂げている。これまでNTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクモバイルの国内通信大手は、iPhone6の登場をにらみ着々と準備を進めてきた。「高速性を生かすことができるのは我が社です」「競合より混雑しにくく快適に使えます」――。19日の発売前から、大手3社は激しい舌戦を繰り広げることになりそうだ。

加わった3つの通信新機能

iPhone6が備える高速データ通信規格「LTE」は、大きく3つの点で強化されている。1つめは最大速度、2つめが「キャリアアグリゲーション」と呼ぶ周波数の効率的な使い方への対応、最後が対応周波数帯の追加だ。

最大速度は、従来モデルでは最大で下り毎秒100メガビット(Mbps)だった。iPhone6では毎秒150メガビットに引き上げられた。通信各社のLTEサービスは当初、毎秒37.5メガ~75メガビットだったが、ここ1年で毎秒約100メガビット超のエリアの整備が進んだ。利用者の減った第3世代携帯電話(3G)の電波をLTEに振り向けるなどしたおかげだ。こうした背景を受けてアップルは、iPhone6でさらに高速通信できるよう改良を加えている。

150メガビットを使うためには、これまでより幅の広い周波数帯域を確保する必要がある。発売時点で150メガビットの恩恵に預かれるのはドコモとKDDIの利用者だ。ソフトバンクはまとまったLTEの電波を持っておらず、112.5メガビットまでしか使えない。

もう一つ、今回150メガビットを実現するためにiPhone6が新たに搭載した技術がある。それが複数の周波数帯を同時に使ってデータを伝送するキャリアアグリゲーション。たとえば800メガヘルツ帯と2.1ギガヘルツ帯でそれぞれ毎秒75メガビット分の帯域しかない場合、両方の帯域を束ねることで150メガビットに引き上げるというものだ。

iPhone6/同6プラス登場で変わる通信大手3社のLTE電波
通信会社NTTドコモKDDI(au)ソフトバンク
従来モデルiPhone6/同6プラス従来モデルiPhone6/同6プラス従来モデルiPhone6/同6プラス
700MHz帯(注2)×○(75Mbps)×○(75Mbps)×○(75Mbps)
800MHz帯○(75Mbps)○(75Mbps)未保有
900MHz帯未保有未保有○(75Mbps)(注3)
1.5GHz帯××未保有
1.7GHz帯○(100Mbps)◎(150Mbps)未保有○(75Mbps)
2.1GHz帯○(75Mbps)○(100Mbps)◎(150Mbps)○(100Mbps)○(112.5Mbps)
2.5GHz帯未保有×○(110Mbps)×○(110Mbps)
昨年NTTドコモもiPhoneの取り扱いを始め、3社は横並びで競争を繰り広げる。新型iPhoneではさらに激化しそうだ

キャリアアグリゲーションを初めて導入したのがKDDI。5月からすでに提供している。ドコモは15年春までに、ソフトバンクも16年3月期に導入する予定。いずれもiPhone6で対応する見込みだ。

19日の発売時点では、KDDIだけが単独の帯域でもキャリアグリゲーションでも150メガビットを実現できることから、積極的に高速性をアピールしそうだ。

帯域の拡張で混雑緩和に期待

今回iPhone6に新たに追加された周波数は、2.5ギガヘルツ帯である。同帯域を獲得済みなのはKDDIとソフトバンク。実際には系列のグループ会社が使っているが、両社とも親会社としてiPhone6向けに流用する考えを表明している。

3GからLTEへ切り替える契約者が増え、大手各社は慢性的な回線混雑に悩まされている。快適な通信環境を維持するには周波数帯を広げ契約者を分散させることが不可欠。2.5ギガヘルツ帯を持つKDDIとソフトバンクの利用者にとっては、混雑緩和が期待できそうだ。なおソフトバンクは、2.5ギガヘルツ帯でもキャリアアグリゲーションを提供する予定だが、「iPhone6は対応していない」(ソフトバンク広報)としている。

ソフトバンクの場合、「プラチナバンド」と呼ぶ900メガヘルツ帯もiPhone6で使えるようになる。同帯域を使ったLTEサービスを7月から沖縄県の一部で提供しており、他の地域でも順次展開を進める意向だ。プラチナバンドのLTEがなくドコモとKDDIに比べて電波戦略上で不利とされてきたが、ようやく同じ土俵で勝負が可能になる。

iPhone6で対応し、各社共通で混雑緩和に役立ちそうなのが700メガヘルツ帯。15年1月にLTE用の新たな電波として、国内3社の利用が解禁される。総務省が12年に割り当てたもので、800メガヘルツ帯や900メガヘルツ帯と同じくプラチナバンドと呼ばれる利用価値の高い電波だ。これらの技術や電波をいかに効率的に運用して高速化と混雑解消を両立できるか。その結果次第で、iPhone6を巡る顧客争奪戦の行方は左右されることになる。

(電子報道部 金子寛人)

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