2019年5月24日(金)

夢の9秒台へ 桐生の前に「20センチの壁」
編集委員 鉄村和之

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2014/9/11 7:00
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日本人は9秒台で走れるか――。夢の記録へ日本人で一番注目されるスプリンターは昨年10秒01をマークした桐生祥秀(東洋大)だろう。左脚の肉離れのため、19日に韓国の仁川で開幕するアジア大会を直前で回避することになったのは残念だが、まだ18歳で今後の飛躍が期待できる。9秒台まではあと0秒02。それは距離に換算すると約20センチだという。「20センチの壁」を突破できるだろうか。

「特筆すべきものは何もない」

「よく聞かれるが、特筆すべきものは何もない」。日本陸連科学委員会の副委員長で鹿屋体育大学の松尾彰文教授に桐生の走りの特徴を聞くと、ちょっと困ったような顔をしてこう答えた。その後、すぐ続けて「ただし、10秒01を出せるだけの要素はすべて持っている」。

男子100メートルの世界歴代10傑
タイム選  手国  籍
19秒58ウサイン・ボルトジャマイカ
29秒69タイソン・ゲイ米国
9秒69ヨハン・ブレークジャマイカ
49秒72アサファ・パウエルジャマイカ
59秒77ジャスティン・ガトリン米国
69秒78ネスタ・カータージャマイカ
79秒79モーリス・グリーン米国
89秒80スティーブ・マリングスジャマイカ
99秒82リチャード・トンプソントリニダード
・トバゴ
109秒84ドノバン・ベーリーカナダ
9秒84ブルニー・スリンカナダ

日本陸連科学委員会では1990年代の初めごろから、カール・ルイス(米国)ら世界のトップランナーや日本人選手の10メートルごとのラップタイムなどを計測。次第に様々な大学や国立スポーツ科学センターの研究者らと組んで、分析するようになったという。当初は「こんなデータを集めて、どうしようか」との悩みもあったそうだが、数多くのデータを集めるうちに様々なことが明らかになってきた。

100メートルで好タイムを出すうえで重要なポイントは「中間加速度」「最高スピード」「スピード低減率」の3つの要素で、その中でも最高スピードが最も大切になってくるという。

なぜならば、どんなランナーでも100メートルの終盤はスピードが落ちる。終盤スピードがどれくらい落ちるかを表すスピード低減率が同じなら、スピード差は埋まらずに距離がどんどん開いてフィニッシュすることになる。もし、追いかけるランナーが後半頑張って最終的に前を行くランナーと同じスピードになったとしても、それまでにリードされた差を詰めることはできないからだ。

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