2018年6月24日(日)

自動運転車との並走で見た「人間と共存」の課題
宮本和明 米ベンチャークレフ

(4/4ページ)
2014/9/24 7:00
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 自動運転車は一般車両と異なり、運転履歴がシステムに記録される。これが飛行機の「ブラックボックス」のような役割を果たし、過失の切り分けが今より明瞭になるとも言われている。自動運転車のプログラム・エラーなのか、利用者の設定ミスなのか、それとも外的要因なのかが判明する。

 一方、保険会社や警察がシステム・ログを解析できるのか、またGoogleが障害切り分けサービスを提供するのか、考慮すべき点が山積している。このような未知の問題を抱えながら、カリフォルニア州は自動運転車に向けた法整備を一歩ずつ進めている。

■ネバダ州はいち早く合法化

 これに先立ちネバダ州は、2012年5月に、自動運転車の公道での試験走行を認めている。同州では、委員会がGoogle自動運転技術を評価し、さらにDMVの責任者がGoogle自動運転車に試乗して州内の主要道路を走行し、安全性を評価した。

(写真: VentureClef)

(写真: VentureClef)

 その結果、Googleがネバダ州で自動運転車の走行試験を行うことを認め、そのためのライセンスプレートを発行した。上の写真がそれで、赤色の背景に無限大のロゴが入っている。

 これは自動車技術の進化が、未来に向かい無限大に開けていることを示している。また背景の赤色は、自動運転車が走行試験をしていることを示し、他のドライバーや警察に注意を喚起することを意図している。自動運転車が一般消費者向けに販売される際には、ライセンスプレートの色は緑色に変わる計画になっている。

 自動運転車が市販されると、これが犯罪に使われる可能性があるとのレポートがある。FBI(アメリカ合衆国連邦捜査局)は、Google自動運転車が市販された際の課題について分析した。このレポートは非公開であるが、イギリスのガーディアン紙が資料請求して取り寄せた。

■自動運転車が犯罪に使われる懸念

 このレポートでFBIは、Google自動運転車が犯罪で使われる可能性を指摘している。犯罪者がGoogle自動運転車を逃走用に悪用すると、運転の必要がないため、犯罪者は警察などの追跡者を銃撃しやすくなるとしている。Google自動運転車は、道路標識に従い、法定速度を守るようプログラムされているが、犯罪者が自動車をハッキングしてこれを改造することが懸念されている。

 このレポートでは、テロリストが自動運転車に爆破物を搭載し、目的地で爆破させるテロ行為も指摘している。自爆テロの代わりに、自動運転車が使われるというシナリオである。自動運転車が登場すると交通事故が減り、安全な社会が訪れると期待していたが、犯罪やテロ行為への警戒も必要となることをこのレポートは警告している。自動運転車においては、格段に厳格なセキュリティー対策が求められる。

■日本製自動運転車も東京五輪で活躍か

 Googleは自動運転車の販売時期を明らかにしていないが、2017年ごろではないかと噂されている。一方、日産自動車は、2020年頃に自動運転車を投入すると表明している。東京五輪が開催される2020年には、一定量の自動運転車が街を走っていることになる。日本製の自動運転車が選手や競技関係者を運ぶ構想も、現実味を帯びている。

 一方、そのためのインフラ整備が急務となる。行政は道路交通法を自動運転車向けに改定し、新しい交通ルールの制定が必要となる。保険会社は、自動運転車向けの自動車保険の商品化が必要で、保険料率制定がカギとなる。公安当局は、自動運転車を悪用した犯罪に、いかに取り組むかが問われる。

 一般ドライバーは自動運転車の「クセ」を把握し、安全に対応することが求められる。Googleなど民間企業が新製品を出荷するだけに留まらず、自動運転車では社会インフラ整備が前提条件となり、クルマ社会が激変することとなる。マウンテンビュー市でGoogle自動運転車と並走することで、2020年のクルマ社会を垣間見ることができた。

宮本 和明(みやもと・かずあき)
米ベンチャークレフ代表 1955年広島県生まれ。1985年、富士通より米国アムダールに赴任。北米でのスーパーコンピューター事業を推進。2003年、シリコンバレーでベンチャークレフを設立。ベンチャー企業を中心とする、ソフトウエア先端技術の研究を行う。20年に及ぶシリコンバレーでのキャリアを背景に、ブログ「Emerging Technology Review」で技術トレンドをレポートしている。

[ITPro 2014年7月30日付の記事を基に再構成]

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