2018年6月23日(土)

自動運転車との並走で見た「人間と共存」の課題
宮本和明 米ベンチャークレフ

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2014/9/24 7:00
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■免許保持者と損害保険を条件に試験走行許可

ジェリー・ブラウン州知事が法令 (SB 1298) に署名する様子(写真: Palo Alto Online)

ジェリー・ブラウン州知事が法令 (SB 1298) に署名する様子(写真: Palo Alto Online)

 前提条件が見えない中、カリフォルニア州で法整備が進み始めた。一般ドライバー向けルールを制定する前に、カリフォルニア州はGoogleが自動運転車を公道で試験することの是非について検討を重ねてきた。最終的にカリフォルニア州はこれを認め、2012年9月、ジェリー・ブラウン州知事が法令 (SB 1298) に署名し、自動運転車の公道での試験走行が認められた。

 この法令では、運転免許を持ったドライバーが乗り、問題が発生した際に対応することを条件に、自動運転車を公道で走らせることを認めている。Googleはこの法令に基づき、カリフォルニア州の公道で自動運転車の試験を展開してきた。カリフォルニア州知事がこの法案に署名した背景には、同州が自動運転技術開発で主導的な役割を担いたいという意図がある。

 この法令を受け、Department of Motor Vehicles (DMV、自動車登録と免許証発行を担う州政府機関) は2014年5月、自動運転車の公道での試験運転を正式に承認した。これにより道路交通法を改定し、自動運転車向けのルールを制定する作業が進むこととなる。

 その第一弾として、DMVは試験走行の際の条件を制定した。試験走行では、資格を有したドライバーが座席に座り、緊急の際に対応するという条件が定められた。さらに会社は損害保険に加入し、500万ドル以上の保証額を義務づけている。この条件で自動運転車を公道で試験でき、試験者はハンドルから手を離し、アクセルやブレーキから足を離すことが、正式に認められたことになる。

(出典: Department of Motor Vehicles)

(出典: Department of Motor Vehicles)

 具体的には、試験を希望する企業は、DMV専用サイトから申し込みを行う(上の写真)。試験運転をするためには、運転免許証に相当する「Autonomous Vehicle Testing Program Test Vehicle Operator Permit」という許可証を取得する。試験者は緊急時の対処法と、自動運転車の操作取り扱いについての教育を受けることを義務づけている。

 上記は試験走行のための規定であるが、DMVは消費者が自動運転車を購入し、それを公道で使う時のルールについても準備を進めている。これは前述の法令 (SB 1298) の規定で、2015年1月1日までに、素案が制定されることになる。

■「自動運転車免許証」が登場?

 DMVは素案を準備中であるが、その内容はまだ公開されていない。一方、試験運転向け法令から推測すると、自動運転車であっても、公道を走るための「許可証」が必要で、ドライバーは自動運転車に関する基礎知識と非常時の対応が求められる。自動運転車とはいえ、DMVで「筆記試験」と「実技試験」を受け、これに合格して「自動運転車免許証」が交付されると思われる。つまり、自動運転車となっても、現行方式と大きな違いはなさそうである。

 公道を走行するため、万が一の事故に備え、自動車保険も必要となる。自動車保険の料率については、保険会社がGoogle自動運転車の性能や安全性を精査して決定する。製品仕様などは公表されておらず料率は不明であるが、保険料は大幅に値下がりするのでは、というのが市場の観測である。

 交通事故の原因の90%がドライバーにあるといわれており、Google自動運転車では事故率が大幅に低減する、というのがその根拠である。

 事故率が大幅に低下することは、社会にとって大歓迎だが、保険会社としては自動車保険事業が大幅に縮小することを意味する。米国の保険会社は、自動運転車の登場を必ずしも歓迎していない気配を感じる。

■事故の切り分けはどうなるか

 もしGoogle自動運転車が交通違反をしたら、誰が罰金を支払うのかということも議論となる。万が一、交通事故を起こした場合、過失をどう切り分けるかが大きな課題となる。

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