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ぶれずに向き合い球児指導 上甲正典監督を悼む
スポーツライター 丹羽政善

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2014/9/8 7:00
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昨年12月17日のことである。松山市内にある、もつ鍋店で飲みながら、去る9月2日に他界された済美高校野球部の上甲正典監督は、こうおっしゃった。「丹羽さん、いろいろと書きたいことがあるんだよなぁ」

雑誌かなにかで連載を考えているのかと、そのときは思った。とはいっても、あまり高校野球を扱う雑誌と仕事をしたことはない。「聞いてみます」とは言ったものの当てはなく、取り立てて進展のないまま、初夏を迎えていた。

監督が書きたかったのは…

ふと、「監督が書きたかったのは、本ではないか」と思ったのは5月終わりのこと。本の出版に関しては、知り合いがいないわけでもないので、いくつか当たってみると、すぐに「やりたい」というところが決まった。企画書も何も必要がなかった。メールで問い合わせただけで、「上甲監督なら是非」と、話が決まったのである。

もちろん、その前にいろいろとやり取りがなかったわけではない。編集者サイドから何度も念を押されたのは、本人の了承が取れてますか、というもの。当然だ。聞けば、以前、別のライターから「上甲さんで書きたい」という申し出があったが、うまくいなかったという。経緯までは詳しく聞かなかったが、本人が取材を断ったのだろうか。

正直いえば、出版社に話をした時点で、本人の了承をもらっているわけではなかった。ただもう、監督がもつ鍋をつつきながら話したことは、本を書きたい、ということだとの確信があったので、ためらわずに大丈夫と返事をしておいた。

果たして監督に電話をすると、「あぁ、そうですか。ありがとうございます」。さらにおっしゃった。「実はもう、本のタイトルは決まってるんですよ」

監督、気が早いなぁ。

「30年以上も監督、長い話に」

編集者から、高校野球関連の本を出すのは夏が最適と言われた。とはいえ、6月から準備するのではさすがに間に合わないので、来年の夏の発売を考えていますと監督に伝えると、「そうですか」。

これからどういう流れになるのかとおっしゃるので、まずは、章立てを考える必要があり、そちらに伺って、話を聞きながら一緒にまとめたいと思いますと伝えると、監督はこうおっしゃった。

「分かりました。でも、こっちは、30年以上も監督やってますから。話は、長くなりますよ。覚悟していらっしゃい」

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