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機内でも病院でも スマホ利用、進む規制緩和

これまで規制されていた飛行機内での電子機器の利用が1日、大幅に緩和された。条件付きながらスマートフォン(スマホ)やデジタルカメラなどを離着陸時も含めて常時使うことができる。病院内向けも8月に指針が改定され、医療機器への影響が小さい待合室などでスマホなどの利用が認められるようになった。マナーへの留意など課題は残るものの、生活必需品となった電子機器が活躍するシーンは増えそうだ。

着陸前に窓越しの夜景写真をパシャリ

機内でスマートフォンを使う乗客(1日、日本航空の羽田-伊丹線機内)

"解禁日"である1日朝7時すぎの、羽田から伊丹へ向かう日本航空103便。出張や観光客で混み合う機内では、電子機器の利用緩和を聞きつけた乗客がさっそくスマホをポケットから取り出し、地上と同様にインターネットに接続したり音楽を聴いたりする光景がそちこちで見られた。

「夜間のフライトで、着陸前に都心のきれいな夜景を撮ってみたい」。出張で兵庫県に向かう40代男性は、機内でスマホのカメラやデジカメが使いやすくなり、あきらめていた写真撮影ができるとうれしそうな様子。友人たちと3人で大阪旅行に向かう東京都在住の20代女性は、同便で提供している機内ネットサービスに接続。「普段から短文投稿サイトのツイッターをよく使っている。空の上からもつぶやきたい」と声を弾ませた。

機内ではこれまで「電波を発する電子機器は電源オフ」「電波を発しない電子機器も水平飛行中のみ利用可能」と厳しい制限が課されていた。9月以降はボーイング777型機など電波への耐性を確認できた一部の飛行機なら、スマホやタブレット、ノートパソコン、デジタルカメラ、携帯音楽プレーヤーなどを常時使い続けることが可能になった。電波の利用についても、引き続き携帯電話網で通話・通信することは禁止されているが、機内で無線LAN(Wi-Fi)やブルートゥースなどを用いてデータ通信してもよい。

「院内は原則電源オフ」を掲げてきた病院内でも、電子機器の規制を緩和する動きが進む。8月19日に民間有識者と総務省、厚生労働省などから成る「電波環境協議会」が、病院内での携帯電話利用に関する新たな指針を公表。診察室や入院患者の病室などは、医療機器から1メートル以上離せば携帯電話を原則利用可能とした。そのほか、待合室や個室の病室などは音声通話も認めるとしている。

背景にあるのは電波や電磁波に関する技術の進歩だ。携帯電話が周囲の機器に有害な影響を与える恐れがあるとされていたのは、電波の出力が強力だったことが大きい。ただ第2世代携帯電話(2G)と呼ぶ旧方式のサービスが終了し、2Gほど強力な電波を発信しないLTEや第3世代携帯電話(3G)へと世代交代した。飛行機や医療機器の側でも、誤作動する危険を小さくしようと電磁波対策の研究が進んだ。

今後は離着陸時にスマホやデジカメで写真を撮ることが可能に。シャッターチャンスも増えそうだ(1日、伊丹空港)

技術の進歩に加え、「より多くの場所で電子機器を使いたい」という消費者の要望の高まりも規制緩和を後押しした。

求められる「新しいマナー」

注意が必要なのは、個別の運用ルールは航空会社や病院がそれぞれ定める点だ。国土交通省の告示では飛行機の着陸後にスマホを携帯電話網につなぐことは認めるが、日本航空はマナーの問題から「電車やバスと同様、周囲の方への配慮から音声通話は控えていただきたい」(客室乗務員)とする。ほかにもノートパソコンについては、画面が15型などの大型タイプは離着陸時に収納してもらうよう要請するという。

規制緩和を、必ずしも手放しで歓迎しない乗客への配慮も求められる。「機内からネットにつながると受けたくない連絡も受けられるようになってしまう。利便性向上は痛しかゆしだ」(東京都の40代男性)といった声も聞かれる。携帯電話が普及し始めた当初、鉄道内での通話を巡って様々なトラブルが各地で起こった。今回も、現場の混乱やいざこざが起こるのは避けられないかもしれない。規制緩和を踏まえた新たなマナーはどうあるべきなのか。企業だけでなく消費者も一緒になって考え、作り上げていく必要がある。

(電子報道部 金子寛人)

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