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人気再燃、新日本プロレス 親会社交代で売り上げ倍増

日経エンタテインメント!

今、新日本プロレスが盛り上がっている。2014年1月4日に開かれた東京ドームでの興行は、満員の3万5000人に膨れあがり、都内での試合はもちろん、地方でもチケットの売り切れが相次いでいる。テレビにおいても、バラエティーやクイズ番組で、新日本の選手を目にする機会が増えている。

新日本プロレスは2014年で創設42年目。アントニオ猪木が立ち上げ、長州力や武藤敬司、蝶野正洋といった数々のヒーローを生んできた。しかしPRIDEやK-1といった格闘技人気にも押され、2000年代は人気が低迷。オーナー会社も移り変わり、2012年には『カードファイト!!ヴァンガード』などのカードゲーム事業で有名なブシロードが親会社となった。

イケメン選手が増え、コスチュームも派手になった。「100年に1人の逸材」と言われる新日本のエース棚橋弘至(写真右)と、ライバル関係にある、プロレス界に金の雨を降らす男「レインメーカー」オカダ・カズチカ(同左)

徹底した宣伝戦略を展開、観戦方法も多角的に

G1 CLIMAXは「真夏の祭典」と言われる、シングルマッチリーグ戦。2014年8月10日の決勝は規模を拡大して西武ドームで開催された

オーナーチェンジ後、新日本プロレスは変わった。最初の改革は徹底した宣伝戦略だった。テレビCMや雑誌広告を増やし、時には山手線をジャックした宣伝車両を走らせた。2012年度の広告費は1億~2億円とも言われ、以前とは桁の違う額が投入された。企業とのコラボも積極的に行い、2014年夏はCoCo壱番屋でオリジナルメニューを出したり、ファッションビルで有名な109メンズのCMにも人気選手が出演した。また情報発信のためツイッターを推奨し、今やアカウントを持つ選手は20人を超えている。

こうした戦略は、親会社のブシロードが培ってきたものだと手塚要社長は語る。「エンターテインメントの世界において、我々が常に実践してきたのはとにかく宣伝に力を入れること。『はやっている感』を打ち出すことが、とても大事なんです」。この作戦は流行に敏感な女性も動かした。若いイケメン選手の売り出しも功を奏し、今やファンの3割は女性が占める。

109メンズとのコラボでは、各選手がブランド物の服を身にまとい宣伝。渋谷でトークイベントも開催された

次に仕掛けたのが、観戦方法の多角化であった。以前は会場に行くか、深夜の地上波番組でダイジェストを見るしか選択肢はなかった。しかし現在では、各種のPPV(ペイ・パー・ビュー)方式を使って、どこにいても生放送を楽しむことができる。その結果、1月の東京ドーム公演のPPV視聴者数は、合計7000人を超えたという。最近ではライブ・ビューイングという、映画館で観戦できるサービスも始まった。

買いやすさ目指し、グッズ売り場にまでテコ入れ

またグッズ販売にも力を入れている。求めたのは「買いやすさ」だ。デザイン性のアップ、商品点数の増加、通販の強化などに取り組んだ。

中邑真輔選手Tシャツには、ファンから人気のある彼独特の雄叫び「イヤァオ!」の文字がプリントされていて好評

さらに改革は会場の売り場にまで及んだ。以前の売り場は整列制ではなく、人がごった返して誰にでも買いやすい状況とはいえなかった。そこで柵で動線を作り、並んで買ってもらえる仕組みを導入した。キャラクターグッズのイベント販売などでは当たり前のやり方だが、これによって「時間はかかっても、ここに並べば買えるという安心感が購買意欲の向上につながった」(手塚氏)と言う。

こうしたブシロードが得意とするキャラクタービジネスの手法を導入することで、子会社となる前は約11億円だった新日本プロレスの売り上げが、今期は22億円を見込む。わずか2年で2倍となった。

今後は海外展開やコンテンツビジネスの強化に力を入れる予定だという。「東京オリンピックが開かれる2020年には、100億円の売り上げを目指したい」と意気込む手塚氏。この夏にはプロレス史上初の西武ドーム大会で1万8000人の来場者を集めて成功させるなど、新たな挑戦が続く。

新日本プロレスリング取締役社長・手塚要氏。2013年4月に就任。ブシロード時代は米国でも活躍した

(ライター 中桐基善)

[日経エンタテインメント! 2014年9月号の記事を基に再構成]

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