電気・水素…次世代自動車、インフラ共倒れの不安
編集委員 後藤康浩

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2014/8/26 7:00
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様々な技術シーズを探し、実用化に向けた研究開発を続け、その中で最も優れたものに絞り込んでいく。イノベーション国家として不可欠なプロセスだ。だが個別企業ならともかく、社会全体が複数の技術を並行して試そうとすれば壮大なムダが生じ、社会も企業もグローバル競争力を失う。その一つ。燃料電池車が再浮上した日本の自動車市場はサンプル展示場と化すリスクがある。

■普及のカギは水素ステーション

2002年12月に首相官邸で開かれた燃料電池車の納車式。当時の小泉純一郎首相が試乗した

2002年12月に首相官邸で開かれた燃料電池車の納車式。当時の小泉純一郎首相が試乗した

トヨタ自動車が2014年度中に燃料電池車(FCV)を発売すると発表した。ハイブリッド車(HV)が世界で急激に拡大し、電気自動車(EV)も日本こそ停滞気味だが世界では着実に広がるなかで、新しい燃料を使う自動車の提案にはやや意外感もある。

記憶をたどれば、世界初のFCV市販車は小泉純一郎首相時代の官邸にリースされた。02年12月のことだった。その後、イベント会場でみかけることはあっても実用化に向けた動きのなかったFCVが再び姿を現したことにはやや驚きがある。

再浮上の最大の要因は車体価格が市販車水準に近づいてきたことだろう。官邸に引き渡された第1号は「1台1億円」といわれたが、今回トヨタが発売するものは700万円程度といわれる。これにエコカー補助金を使えば、興味を持つユーザーが出てくる可能性があるというわけだ。

車体価格としてはメーカーの努力を感じるが、FCVの普及は車体価格よりも水素ステーションの方がカギを握っている。政府の「水素・燃料電池戦略ロードマップ」によると15年度に100カ所、20年に1000カ所の水素ステーションを設置し、FCVの普及を後押しするという。

だが街中をみれば日本には様々な自動車用燃料インフラがすでに存在している。ガソリンスタンドは最盛期の半分近くまで減ったものの全国に3万4700カ所。タクシー向けを中心とする液化石油ガス(LPG)スタンドは1700カ所、さらに路線バスやゴミ収集車などで増えている液化天然ガス(LNG)車や圧縮天然ガス(CNG)車向けの天然ガススタンドが261カ所ある。

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