2019年1月19日(土)

速度や容量を簡単にカスタマイズ可能な新構造のSSD

2014/8/12付
保存
共有
印刷
その他

日経エレクトロニクス

Fixstars SSD-3000Mを分解したところ。64GバイトのeMMCチップを52個搭載する

Fixstars SSD-3000Mを分解したところ。64GバイトのeMMCチップを52個搭載する

フィックスターズは記憶容量や、読み書き速度、インターフェースなどを柔軟に変更可能なアーキテクチャーのSSD(ソリッド・ステート・ドライブ)を開発した。2014年中にSerial ATA(SATA)を搭載した2.5インチ型、3T(テラ)バイトの製品「Fixstars SSD-3000M」を市場に投入する。まずは映像機器や医療機器などをターゲットに据える。

一般にSSDにはSSDコントローラーと呼ばれるICが搭載されている。これがフラッシュメモリー(NANDメモリー)を直接コントロールし、読み出しや書き込み処理をする構造になっている。SSDコントローラーはエラー訂正やメモリー素子ブロックごとの書き込み回数の管理、不良メモリー素子ブロックへの書き込み禁止などの処理を受け持つ。

一方、同社が開発したのは、スマートフォン(スマホ)で一般的に搭載されるeMMC (embedded MultiMediaCard)チップを多数搭載したSSDである。eMMC自体にフラッシュメモリーを管理するコントローラーを搭載するので、SSDコントローラーの搭載は不要だ。代わりに内部にはFPGA(米Xilinx社の「Zynq」)を搭載し、このFPGAを使ってeMMCのデータの読み書き、外部インターフェースとのやり取りを行う。

こうした構造には2つの利点がある。まず、読み出しや書き込み速度を安定化できる。一般的なSSDの場合、SSDコントローラーの1カ所でフラッシュメモリーチップを管理するので、読み出しや書き込み速度に変動が出やすい。フィックスターズの方法では、各eMMCで分散的にフラッシュメモリーチップを管理するため、全体として読み出しや書き込みの速度が安定する。実際、「2014年末に発売する3Tバイト製品は、シーケンシャル読み出し最大520Mバイト/秒、書き込み最大500Mバイト/秒という仕様だが、ほぼ変動なくこの速度が出る」と同社代表取締役CEO(最高経営責任者)の三木聡氏は話す。

もう1つは、容量や読み出しや書き込み速度を簡単に変更できることだ。eMMCを利用する構造の場合、eMMCの数や、eMMCとFPGAを結ぶ通信チャネルを増減させることで容量や速度を変更できる。一般的なSSDでは、読み出や書き込み速度、また容量を上げようとすると、フラッシュメモリーの制御のロジックを変更しなければならず、コントローラーICの変更にコストがかかる。フィックスターズによると現在、5チャネルを使ってeMMCチップと通信しているが、「速度を確保したいから8チャネルにしてほしい、3チャネルで十分だから安価にしてほしいという要望を簡単に実現できる」(三木氏)という。

もちろん、eMMCはフラッシュメモリーコントローラーが組み込まれる分、フラッシュメモリーチップ単体と比較して購入コストがかかる。それでも、「eMMCチップは、スマホでの需要の高まりに伴う大量生産でコストが下がることが見込まれる上、SSDコントローラーを容量やフラッシュメモリーの構成ごとに開発するコストがないことを考えれば、従来のSSDと比較してそん色のない値段にできる」と三木氏は見ている。

(日経エレクトロニクス 中道理)

[日経テクノロジーオンライン 2014年8月11日掲載]

日経電子版が2月末まで無料!いつでもキャンセルOK!
お申し込みは1/31まで

保存
共有
印刷
その他

関連キーワード

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報