ASUSの最新軽量ノートPC 端子が充実、仕事しやすく
戸田覚の最新デジタル機器レビュー

今回はモデルチェンジしたエイスーステック・コンピューター(ASUS)の「ASUS ExpertBook B9(B9400CEA)」をレビューする。ASUSは多くのノートパソコンをラインアップしているが、ExpertBookシリーズは、ビジネス向けと位置づけられている。とはいえ、法人専用というわけではなく個人でも普通に購入できる。
ExpertBook B9は、14インチの軽量モバイルノートだ。2020年5月出荷の前モデルは、870グラムと軽量で手ごろな価格のモデルから、大容量バッテリーを搭載する21万9800円のモデルまで、全6種類をラインアップしていた(価格は公式オンラインストアの販売価格、以下同)。
21年秋モデルとして、CPU(中央演算処理装置)に米インテルの「Core i7-1165G7」を備え、大容量バッテリーを搭載する高性能な上位モデルがリリースされた。価格は21万8900円とやや高価だが構成を考えれば妥当だ。
併せてリリースされた下位モデルは19万1400円でCPUは「Core i5-1135G7」となっており、今回はこちらをレビューする。なお、今後ラインアップは増えていく可能性があるだろう。
小型軽量、長時間駆動でバランス良く
ExpertBook B9の重さは、カタログ値で約1キロという軽量なモバイルノートだ。最近は1キロを切るモバイルノートも多いので、目立つ値ではないが、ディスプレーが14インチである点を考慮すると、かなり軽いと言える。1キロ切りのモバイルノートの多くは、ディスプレーが13.3インチだ。
最近は縦横比16対10のディスプレーを搭載する機種も増えているが、ExpertBook B9は従来通り16対9だ。ただ、14インチでそれなりに画面が広いので、16対9でも不満を覚えることは少ないだろう。
厚さは14.9ミリで、バッグなどにするりと入れられる。それでいて拡張性を犠牲にしていないのはすごい。バッテリー駆動時間もカタログ値で16.7時間と長く、満充電ならACアダプターを持ち歩かなくても1日使える。このようにExpertBook B9はとてもバランスが良いモデルなのだ。

拡張性が高く仕事に向いている
ExpertBook B9の拡張端子は必要なものを過不足なく採用している。USB-C端子は最新のデータ転送規格「Thunderbolt 4」対応で2基搭載する。定番のUSB-A端子とHDMI端子も1つずつ備えている。これなら仕事のメインマシンとして利用しても、端子が不足して困ることはないだろう。
Thunderbolt 4は、数年後には必要性が増すことは間違いない。これから買うなら搭載モデルがお薦めだ。なお、有線LAN端子は搭載しないが、専用端子に付属の専用アダプターを接続すれば利用できる。


ウェブカメラは、92万画素と画質はホドホドだが、レンズを隠すことができるシャッターが付いており、ウェブ会議での使い勝手が良い。ビジネス用なので、スピーカーの音質に大きな期待は禁物だ。
このように構成は文句なし。今回レビューしたモデルはCPUが先述の通りCore i5で、メモリーは8ギガバイト(ギガは10億、GB)、ストレージ(SSD)は512GBである。2万7500円高の上位モデルはCPUがCore i7、メモリーは16GB、ストレージは1テラバイト(テラは1兆、TB)なので、こちらのほうがより長く快適に使えるだろう。もちろんどちらのモデルも、10月から配布が始まるWindows 11への無償アップグレードに対応している。

キーボードは打ちやすいが、配列が残念
キーボードはなかなか打ちやすい。モバイルノートとしては、ストロークも深めで、なによりボディーがほとんどたわまないのでタイプ感がよい。最近のASUSのモバイルノートは堅ろう性にこだわったモデルが多い。ExpertBook B9も、米国防総省が定めた「MIL規格」に準拠しており、軽量ながらヤワな印象はない。ボディーの頑強さがキーボードの打ちやすさにつながっているわけだ。
残念なのはキー配列が独特なこと。スペースキーやBackspace(バックスペースキー)の周囲が独特な配列になっているのは残念だ。


タッチパッドは本体サイズを考えるとかなり大きく、同社独自の「NumberPad」機能を備える。これはタッチパッド右上にあるアイコンを押すとタッチパッド上にテンキーが表示されて、数値入力ができるというもの。表計算ソフトで大量の数字を入力するときには便利な機能だ。

持ち歩き用の小型ACアダプターも付属
面白いのがACアダプターが2つ付属することだ。通常のACアダプターに加え、小型の「ASUS 65W USB Type-C ウルトラミニ・ユニバーサルアダプター」が付属する。標準の充電器も十分小さいが、この小型ACアダプターはさらに小さい。会社や自宅には通常のACアダプターを置いておき、外出時は小型ACアダプターを持ち歩くと良いだろう。

また、ケーブルなどを収納しているケースは斜めに開くように工夫されており、パソコンスタンドとして使えるのは面白いアイデアだ。

ExpertBook B9は決して安くはないが、高性能ながら持ち歩きがしやすい。メインマシンにも使えるディスプレーの大きさもお薦めのポイントだ。
1963年生まれのビジネス書作家。著書は150点以上に上る。パソコンなどのデジタル製品にも造詣が深く、多数の連載記事も持つ。ユーザー視点の辛口評価が好評。
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