ジャストインタイムで半導体適量生産 日の丸の夢

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2014/8/11 7:00
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■記者の目

産総研の原氏は参加企業を決して甘やかさない。研究者志向の強い産総研の中でもかなり異質のタイプだ。2分の1インチのウエハーサイズも、各社が苦しみ悩む小型の大きさの規格も、最初に決めた寸法から決してぶれない。「いろいろ言う前に、まずきちっとデバイスを作るのが先」と泣き言は聞かない。

ミニマルファブを主導する産総研の原氏(左)

ミニマルファブを主導する産総研の原氏(左)

ミニマルファブの開発が本格化したのはファブシステム研究会が発足した2010年だが、源流は原氏が局所クリーン化の研究を始めた1990年代半ばに遡る。原氏は半導体装置メーカーを回り、メガファブによるものづくりの問題点を探っていった。そこからミニマルファブに発展していく。

2007年に構想の基本となる「1000分の1のスケールでのファブが最適」との結論に至るとそこから開発プランと参加してもらう基本的な方針をたてた。

生産性より設備投資額が大きく減るメリットを高める、無理に新しいプロセス開発に取り組まないなどだ。全装置がそろわなくても事業ができるように、既存のメガファブ装置と組み合わせて使うハイブリット型も想定していた。

キー技術となるウエハーを密封するミニマルシャトルと、ウエハーをシャトルから受け取り、装置のプロセスエリアにきちんと届けるPLADの原型の開発も程なく始める。09年にはシャトルのPLADの原型が完成する。そこから一気に開発が加速した。

平行して参加企業を募り始めた。原氏は大手の半導体装置メーカーなどにも参加を求めた。しかし「現場の反応は良かったが、事業モデルが合わない」と断られ、それなら「中小の方が意思決定も早いはず」と技術を持った中小企業を探して1社1社訪問し、自らの構想を話した。これまで会った企業は1000社に上るという。今はミニマルファブも有名になり、参加を求める企業がつくばの産総研を訪れるが、「構想を真に理解し、やる気があり、ミニマルでの仕事が明快になる企業とだけ一緒に進める」として、今も原氏がすべて会っている。

各装置の詳細な仕様を決めてあり、スペック通りにできなければ、意匠登録したロゴは装置に付けられない。参加企業が多く、装置ごとの製造プロセスの内容も異なるため、「各社の意見を聞いていると仕様がばらばらになり収拾がつかなくなる」という実情もある。

ジェイテクトに納めたプレテックの洗浄装置の不具合が連発した時、原氏は激怒した。ファーストユーザーで問題が起きればミニマルファブの信用問題につながりかねないからだ。

各装置の細部まで熟知しているため、原氏の矢継ぎ早の指摘に疲弊気味の参加企業は多いが「大変ではあるが、原さんがいなければ、このプロジェクトは絶対ここまで来なかった」と参加者は口をそろえる。

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