時間にゆとり生み出す17の習慣 主体的に動くがカギ

つい仕事を抱え込む、余計な気苦労が多い、ダラダラ過ごして後悔しがち――時間の使い方が苦手な人も、これでお悩み解消。時間のゆとりを生み出す17の習慣を紹介します。
時間の節約だけでは忙しさから解放されない
「忙しさの原因を、単に『時間が足りないせいだ』と思っているなら間違いです」と話すのは、企業のタイムマネジメント研修などを手がける榊原陽子さん。「いくら時短や効率化を追求しても、『やらされ感』を抱いていると、心は不満がたまった状態。焦燥感やせわしなさは解消しません。大切なのは、自分にとって価値ある時間を増やすこと。すると、心が満たされてゆとりが生まれ、時間に追われる忙しさから解放されます」
そのためには、「時間をコントロールしているのは自分」という意識を持ち、その上で、やらなくていいことを見極めて手放すことがポイント。実際に、5つのお悩みタイプ別に「ゆとりを生み出す17の習慣」を榊原さんにアドバイスしてもらった。ぜひトライしてみよう。


焦って失敗しがちな人は…落ち着きを取り戻す習慣
「焦った状態では、心に余裕がなくなり、冷静な判断ができない。
まずは、気持ちを落ち着けてから次のアクションへ」
【習慣01】心ではなく「作業」をコントロールする
「いくら『落ち着かなくては!』と思っても、心は制御不能。それよりも、目の前の作業に取りかかるほうが、落ち着きを取り戻せます」
【習慣02】焦っているなと思ったら、ひとまず「深呼吸」
「焦り=感情に翻弄されている状態。まずはいったん立ち止まり、大きく深呼吸。自分の状態を観察することで冷静さを取り戻して」
【習慣03】残り時間から逆算して時間配分する
心が落ち着いたらスケジュールの立て直し。やるべきことを細分化して具体的なタスクに落とし、残り時間から逆算して割り振ろう。
【習慣04】完璧主義にならない
「完璧にやらない=手抜き、ではありません。納得できるクオリティーのレベルを少し下げ、『できない日もあるよね』と自分を緩めて」
仕事がはかどらない人は…要領が良くなる習慣
「このタイプは、苦手なことを後回しにする傾向が。
やるべきことを明確にし、優先順位を付けて作業効率アップ」
【習慣05】作業に優先順位を付ける
タスクを「緊急度」と「重要度」の組み合わせで分け、優先順位を付けるのが王道。重要度が低いものは、人に任せることも視野に。
【習慣06】マイ締め切りをつくり、宣言する
自分で決めるとやらされ感がなくなり、達成感につながる。人に宣言する、チーム共有のスケジュールに書き込むことでやる気アップ。
【習慣07】苦手な仕事は時間を決めて取り組む
後回しにするほど億劫(おっくう)になり、焦りの原因に。「いつ、どれくらい時間をかけてやるか」を前もってスケジュールに組み込んでしまおう。
【習慣08】すきま時間にできる作業の「定番」を決めておく
メールチェックや企画の考案、ニュース記事を読むなど、すきま時間の長さに応じてできる作業を、あらかじめ決めておこう。

仕事を抱えてしまう人は…人に任せて負担を減らす習慣
「『お願いしたら迷惑かも』『自分でやったほうが早い』はNG。正しい任せ方でお願いすれば、自分も周りもラクになる」
【習慣09】任せる相手を信頼する
仕事を抱え込んだままでは、いつか必ず行き詰まる。相手を信頼し、任せることは、長い目で見ると自分にとってプラスだと心得て。
【習慣10】任せたら口出し不要。感謝の思いを
任せた後にあれこれ口出しするのは、相手を疑う行為。直してほしい点は、「ありがとう、こうすればもっとよくなるかも」とお願いを。
【習慣11】手渡す仕事内容と量の全容を伝える
行き違いを防ぐには、作業の内容と量を正確に伝えること。「内容と手順、進捗状況を見える化し、情報をきちんと共有しましょう」。
ダラダラしてしまう人は…後悔を減らす習慣
ついダラダラと時間を過ごしては自己嫌悪に陥ってしまう。日々のちょっとした工夫で後悔のない過ごし方が可能に。
【習慣12】時間どろぼうの正体に気づく
自分の時間をムダに奪う「時間どろぼう」の行動を減らそう。「1日の行動をすべて紙に書き出し、ムダの正体を洗い出して。意識が変わります」。
【習慣13】後悔を生むものから距離を置く
「『それをやってしまったら?』と自問し、状況をリアルにイメージ。『やらなくてよかった』など小さな成功体験で、時間とうまく付き合えるように」
【習慣14】即決するクセをつける
決断のスピードを上げるには、即決するクセをつけること。「ランチのメニューを20秒で決める」など、日常生活のなかでトレーニング。
余計な気苦労をする人は…もめる時間を減らす習慣
「女性は特に、余計な気苦労で時間をムダにしがちな傾向が。感情的な対応を避け、意見を伝えるコミュニケーションを」
【習慣15】仕事を達成することに意識を向ける
ネガティブな感情に左右されて時間をムダにするのは不毛。「目的は、仕事を達成すること」という意識を常に持っておくこと。
【習慣16】決まったことは証拠に残す
言った・言わないのトラブルを防ぐには、証拠が重要に。会議や打ち合わせの簡単な議事録をメールで送るなど、文面にして相手と共有して。
【習慣17】相手と信頼関係を築く時間を持つ
相手との信頼関係があれば、多少行き違いがあっても、感情的なトラブルにはなりにくい。自分から積極的に関わり、関係を深めて。
この人に聞きました

(取材・文 西尾英子)
[日経ウーマン 2021年6月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。