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聴き放題や見放題 ストリーミングの波、日本にも

藤村厚夫・スマートニュース執行役員

音楽と映像の楽しみ方が「ストリーミング(逐次再生)」によって再び大きく変わろうとしている。ストリーミングは数千万規模の楽曲や映像が無料もしくは低価格で楽しめるサービスだ。自分の好きなアーティストやタイトルを選択し、さながらテレビやラジオでチャンネルのように流れてくるコンテンツを受動的に視聴するのが特徴だ。

世界では数年前から大小さまざまなストリーミングによる配信サービスが登場しており、米ではアップル、グーグルなど大手がこぞって事業拡大を競っている。映像ストリーミングでも先行するユーチューブ以外に、全世界で会員が5000万人を突破した米ネットフリックスをはじめアマゾン・ドット・コムなどが多くのサービスを提供、覇権を狙っている。

日本ではストリーミングに本格参入する動きは遅れていたが、音楽ストリーミングで世界約4000万人の利用者を持つ最大手のスポティファイ(スウェーデン)が7月下旬、サービス開始を前提とした大規模な説明会を沖縄県で開催した。

冒頭に「再び大きく変わる」と書いたが、音楽の聴き方は21世紀になって一度、激変したのを覚えているだろう。米アップルが2001年に投入したiTunes(アイチューンズ)とiPod(アイポッド)だ。それまで音楽はCDを店で買って聴くものだったが、iTunesは個別の楽曲をiPodなどにダウンロードして聴く行動へと劇的に転換した。

 ストリーミングはこれを再び変える。最大の特徴は「所有」を伴わない点だ。流れてくる楽曲を再生して聴くだけ。1曲ずつ対価を支払いダウンロードする必要がない。

消費者がコンテンツを所有しないサービスは、スマートフォン(スマホ)のような小さな情報端末との相性が抜群に良いといえる。大量のデータを手元に蓄積しないでよく、数多くの楽曲からユーザーがいる場所や状況にふさわしいものを選んだり、逆に提案されたりと、過去なかった楽しみ方を加速させる。

さらに大変革をもたらす可能性があるのが、楽曲や映像を「聴き放題」「見放題」という提供の形態が勢いづく点だ。iTunesが楽曲などコンテンツ単位の消費を促したのに対し、ストリーミングはバラバラな曲や映像を、ひと連なり(ストリーム)にして消費できるよう「購読制」に変わってきているのだ。

この購読制、我が国ではいわゆる「ガラケー」と呼ばれる従来型の携帯電話の時代に、NTTドコモをはじめとする携帯電話各社がこぞって公式サービスとして提供し、巨大な課金収入を生み出していた経緯がある。

スマホ時代に改めてこの購読制ビジネスが浸透していけば、広告以外に収益化の道筋を見いだせずに苦しんできたコンテンツ事業者にとっては朗報となるだろう。

アマゾンは我が国を除く数カ国で音楽・映像の購読制サービス「アンリミテッド」を提供している。これに加えて電子書籍が読み放題になる「キンドル・アンリミテッド」も先月発表した。米国では電子書籍の読み放題を提供するベンチャー企業が存在するが、大手の参入により音楽・映像にとどまらない購読制が国内外で活性化する可能性も出てきた。

コンテンツ全般の楽しみ方が変わるのに伴い、古くて新しい収益モデルの購読制に再び脚光が当たるのは面白い現象だ。広くコンテンツ事業者にとってメリットとなるのか、行方を見守りたい。

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