忘れ物防止タグはどれを選ぶ? 主要3製品を徹底比較
忘れ物防止&紛失トラブル解決(中)

「忘れ物防止タグ」は通信機能を備えた小型のデバイスだ。鍵や財布などなくして困るものに取り付け、もし紛失した場合は、スマートフォン(スマホ)のアプリなどと連携して場所を特定する。その製品選びのポイントや使い方を解説する連載の2回目。今回は主要3製品の特徴を詳しく見ていこう。
AirTag、Tile、MAMORIOを横並び比較
現在、忘れ物防止タグの売れ筋は「AirTag」「Tile」「MAMORIO」の3シリーズ。これらを対象に、本体サイズやバッテリー駆動時間、探し出す方法、通信方式などを横並びで比較していく。
まずはサイズ感(図1)。最も小型軽量だったのはMAMORIOで、重さはわずか3グラム。AirTagも決して大きいわけではないが、3製品の中で比較すると厚さと重さを感じてしまう。

駆動時間は、3製品ともメーカー公称で1年間程度(図2)。スマホのように電池切れを気にすることなく使える。違いがあるのは電池交換の可否で、MAMORIOだけ交換に非対応だ。代わりに、新しい製品を割引価格で販売する制度を用意している。

3つ目は忘れ物防止タグを探す方法(図3)。得意とする探し方は製品ごとに異なる。例えば、音を鳴らして場所を知らせる機能はAirTagとTileが対応する。実際に鳴らしてみると、特にTileの音が大きかった。一方、スマホのアプリを使って探し出す機能は、3製品ともすべて対応する。AirTagはアプリ上でタグのある方向と距離を示すのでわかりやすい。

ほかのユーザーの力を借りて遠距離の製品を探し出すユーザー連携機能は、3製品すべてが対応する。特にAirTagはiPhoneユーザーの力を借りられるので、発見できる可能性が高い。
一方でAirTagにはない機能もある。置き忘れ通知などだ。こちらはMAMORIOが得意とする機能で、Tileも有料オプションで提供する。なお、AirTagに関しては、対応するスマホがiPhoneだけなので注意したい(図4)。特徴の1つである正確な場所を見つけ出す機能は、超広域帯無線に対応したiPhone11以降でないと利用できない。ほかの2製品は、iPhoneとAndroidのどちらにも対応している。

AirTagは導入が簡単
続いて忘れ物防止タグの初期設定を見ていこう。まずAirTagだが、アップルの製品らしく導入は実に簡単だ。AirTagに貼られている絶縁シールをはがすと電源が入り、本体が起動する。すぐに近くにあるiPhoneがAirTagを認識する(図5)。

あとはセットアップ画面に沿って取り付ける荷物を選び、自身のApple IDで登録するだけだ(図6)。

作業が完了すると、「(ユーザー名)の○○(荷物名)」として「探す」アプリに表示される(図7)。

TileとMAMORIOはアプリから登録
TileとMAMORIOは、各製品の専用アプリをスマホにインストールした後、アプリ上からセットアップする(図8、図9)。AirTagと違って新たにアカウントを作成する必要があり、少し手間がかかる。


AirTagを使った探し方
続いては肝となる探し方だ。AirTagは、探すアプリの「持ち物を探す」項目を開くことで、荷物の現在地を確認できる(図10)。

荷物の名称欄に「自分が所持中」と表示されていれば、近くにあるという意味だ。この場合、荷物の詳細メニューで「探す」を実行すると、置かれている方向と距離が表示される(図11)。荷物に近づけば距離が短くなっていき、最後には「この周辺」と表示される。それでも見つからないときは、音を鳴らせばよい。

もし「自分が所持中」という表示がなく、現在地から遠い場所に荷物のアイコンが表示されていれば、落とした可能性がある。この場合は、図12と図13の要領で紛失モードを実行する。


紛失したAirTagの近くにiPhoneユーザーがいれば、最新の現在地を所有者に知らせてくれる(図14)。

TileとMAMORIOの「探す」機能
TileとMAMORIOは、導入時に使った専用アプリを使って探す機能を利用する。忘れ物防止タグが近くにあるかどうかの見極めはもちろん、音を鳴らしたり、スマホのアプリやユーザー連携で紛失した製品を探したりといった方法も同じアプリから実行できる(図15~図17)。



なおMAMORIOの置き忘れ通知は、通知タイミングの調整も可能だ。頻繁に通知が届く場合は、頻度を少なくしてみるといいだろう(図18)。

(ライター 原如宏)
[日経PC21 2021年10月号掲載記事を再構成]
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