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アンカーの新型充電器 従来モデルを圧倒する小型軽量

戸田覚の最新デジタル機器レビュー

NIKKEI STYLE

ノートパソコンやスマートフォン、タブレットなどを持ち歩く際には、充電器(ACアダプターも含む)を一緒に携帯することが少なくない。パソコンなどはどんどん軽くなっているが、充電器が大きいままだと荷物は減らない。特にパソコン用の充電器は200グラムを超えるものも多く、かさばるのでカバンの中で邪魔になる。

そこで注目したいのがAnker(アンカー)の充電器。同社は充電器を小さくするために、半導体に窒化ガリウム(GaN)を採用している。GaN半導体はこれまで一般に使われていたシリコン半導体に比べ、小さな面積で高いパワーを発揮でき、耐久性も高い。

AnkerはGaN半導体を最初に充電器に採用したメーカーだ。最近は他社も追随し、GaN半導体を採用した充電器が一般的になっている。そこでAnkerは今回、さらに進化した「GaN II」半導体を採用したコンパクト充電器「Anker Nano ll」シリーズを発売した。

充電器は性能が同じなら、小さいほうが良いに決まっている。今回は「Anker Nano ll」シリーズを詳しく紹介していく。

出力別に3モデルを用意

「Anker Nano ll」シリーズは全部で3モデルが用意されている。いずれも黒いボディーで、正面部分が濃いシルバーのバッジのようなデザインになっている。充電器の中では高級感があって、いかにも「高性能」といった外観だ。

3種類の違いは出力で、それぞれ30ワット、45ワット、65ワットとなっている。出力が小さいモデルのほうがサイズは小さく、価格も安くなる。

どの出力モデルが適当かは、充電する機器によって変わってくる。30ワットモデルは多くのスマホやタブレットに対応する。パソコンでもApple(アップル)の「Macbook Air」に最適だ。

45ワットモデルは多くのモバイルノートに向いている。65ワットモデルはモバイルノートの高性能モデル向きだ。すべてパソコンやスマホの共通充電規格「USB PowerDelivery(USB PD)」に対応するので、高出力モデルを小さな出力で充電できる機器に使っても大丈夫だ。つまり、USB PDに対応している機器なら、65ワットモデルでスマホを充電してもかまわない。

圧倒的にコンパクト

各モデルのサイズを記載しても、そのコンパクトさは伝わりづらい。そこで、現在使っている従来の充電器と比べてみよう。

次の写真はレノボの多くのモバイルノートに付属する標準の45ワットの充電器と、RAVPower製で過去に画期的に小さいと言われた充電器、そしてAnker Nano llを並べたところ。Anker Nano llの圧倒的な小ささが分かるだろう。

次にAnkerの前モデル「Atom III 60W」とNano llの65ワットモデルを並べてみた。出力が大きいにもかかわらず、本体がより小さくなっているのは素晴らしい。

ケーブルを加えても軽い

前出のレノボの45ワット充電器は249グラム。最近の大型ディスプレー搭載スマホよりも1~2割重く、8インチクラスのタブレットに迫る重量だ。

これに対してAnker Nano llは30ワットモデルで47グラム、45ワットモデルで69グラム、65ワットモデルで116グラムと圧倒的に軽い(キッチンスケールによる計測なので参考値)。

ただし、Anker Nano llにはケーブルが付属しない。充電にはケーブルを別途用意しなければならないので、ケーブルの重さが持ち歩く重量に加わることになる。

ケーブルが付属しないのをネガティブにとらえる向きもあるだろうが、そうは思わない。自分の利用シーンに合わせ、長さの異なるケーブルを使い分けられるからだ。パソコンに付属する充電器のケーブルは、ほとんどのシーンにおいて長すぎる。当然、それだけ重くなる。

自分なら1.8メートルと3メートルのケーブルをニーズに応じて使い分けるだろう。デスクやカフェ、新幹線などで使うなら1.8メートルで十分。会議室で使うなら3メートルあったほうが安心だ。

ノートパソコンの充電スタイルが変わる

スマホの充電器はさほど大きくないので、持ち歩きに困っている人は多くないだろう。それでもAnker Nano llを手に入れれば、荷物は小さくなる。また、最近のスマホは共通充電規格のUSB PDではなく、独自規格を採用して急速充電できるようにしている製品も多い。そうした製品にはAnker Nano llは出番がない。

やはりAnker Nano llの真価が発揮されるのはノートパソコンだ。ノートパソコンの充電器はサイズの大きなものが多いので、Anker Nano llに変えれば持ち歩く荷物が大幅に減る。

最近は多くのパソコンがUSB PDに対応しているので、充電器の使い回しも可能だ。会社で1つ購入しておいて、出張する人に貸し出すといった使い方もできるだろう。

超軽量のパソコンはそれなりに値が張るので、単純に持ち歩く荷物の重さを減らしたいなら、充電器を軽くしたほうが費用対効果は高い。対応機種をAnkerのウェブサイトで確認のうえ、購入を検討してほしい。

戸田覚
 1963年生まれのビジネス書作家。著書は150点以上に上る。パソコンなどのデジタル製品にも造詣が深く、多数の連載記事も持つ。ユーザー視点の辛口評価が好評。

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