千鳥 YouTubeをやらない理由はあの番組があるから
東京進出からもうすぐ10年を迎える千鳥。現在のレギュラー番組は10本に上る。そして、今回のタレントパワーランキングでは、総合8位、芸人2位という結果が出た。[タレントパワーランキングはタレントの「認知度(顔と名前を知っている)」と「関心度(見たい・聴きたい・知りたい)」の調査を基に、2つのデータを掛け合わせて「タレントパワースコア」を算出、ランキング化したもの]
前回の「初のトップ10入り千鳥 『楽しい仕事しかしていない』」に引き続き、揺るぎない人気を得た2人に"お笑い哲学"について聞いた。

ノブ よーく聞かれるのが「なんでYouTubeやらないんですか?」って。テレビでやりたいことがないから、YouTubeで好きなことをするって言うじゃないですか。僕らは『テレビ千鳥』(テレビ朝日系)があるので、ここで満たされてるんですよね。自分らが仕事で認めてもらえるようになったというか、風向きが変わったのは、ロケですね、
やっぱり。大阪時代からずっとやってきたロケスタイルを、しばらくは全然表に出せなかったけど、『笑神様は突然に…』で「島シリーズ」をやらせてもらったりとか、マネジャーが献身的に『いろはに千鳥』(テレビ埼玉)のDVDを全部の現場に配ってくれてて、それがじわじわと効いてくれたのかなっていうのはあります。だから14年頃からの積み重ねで、「あ、千鳥って自由にさせたら面白いな」みたいになったんが大きいのかなと思います。
大悟 そういうのもあるけど、タレントのランクみたいなんがグッと上がったのは、やっぱりノブの『なつぞら』(19年)ですよね。「朝ドラ出たよ」って言えるのは、印籠みたいなもので。
ノブ 全然ちゃうよ(笑)。2シーンやから、2シーン。短いの。
大悟 でも嘘ではないから。
ノブ いじられて呼ばれてるだけなんよ。打ち上げ行ったら、草刈正雄さんと松嶋菜々子さんの横で。恥ずかしかった……。
今年は何とか新ネタを
近年、『千鳥のクセがスゴいネタGP』(フジテレビ系)など、ネタ番組やお笑い系バラエティの増加が目立ち、若手芸人が続々と登場するなど盛り上がりを見せているが、テレビ界で何か感じることはあるか。

大悟 確かにネタ番組的なバラエティ、増えましたよね。そういう"ガチ笑い"のものが増えると、芸人は大変っちゃ大変なんですけど。でもほんまはみんなそういうことをやりたくて入ってるんで、場がいっぱいあることはうれしいし、ありがたいことやと思いますね。
ノブ 若手もどんどん出てきて、共演することも多いですけど、自分らが若手のときに、いろいろやって失敗したこともたくさんあって、そんなときに先輩にめっちゃ助けてもらったことを思い出して。寄り添ってフォローしてくれたり、わざと無視して笑いにしたり、やり方はいろいろあるんですけど。あえて全く無関心で「はいはい、はーい」みたいに流す人もいたりして。僕は、前者のほうの人になりたいというか、助かったなって本当、感謝してるんで。自分もそうなれたらいいなとは思ってます。
これだけの番組を持っているが、やり残していることや、今後さらにやってみたいことは?
ノブ 緊急事態宣言とかで、劇場が厳しいんですよね。だから昨年は、単独ライブができていないんですよ。毎年新ネタを作って、全国を回ってきたんですけど。芸歴20年で、新ネタをやらなかった年って初めてだったんで、そこはちょっと気持ち悪いですね。今年は何とかできたらなと思ってますが。
大悟 新ネタ作るのは大変だし、面倒だからやり出さんだけで、人それぞれですけど、意外とすぐできるよな?
ノブ これまで、すぐできてるからね(笑)。いいのか悪いのか分からないですけど。
大悟 僕らは1個の漫才作るのに、1週間かけたりしないんで。やれば2時間ぐらいでできちゃう。だから、今年はネタも作らないとなとは思います。漫才自体はやってるんで、昨年の年末年始は何となく乗り切ったけど、今年はやっぱり新しいのを作っとかないと無理やろなっていうのはありますね。
ノブ 次にやりたいことと言えば、「何でそんなことずっとしてんの?」みたいな変な人がめちゃくちゃ好きなんですよ。芸能界にもそういう人、多いですけど。話を聞いたり、密着したら楽しそう。でも、密着ロケって時間割かれてしんどいやろなーとも思ったり。
大悟 僕は、10代の男女の恋愛を応援したりとか、そういう携わったことのないことを。
ノブ ABEMAでできるんちゃう? 特番の『千鳥の対決旅』でゴーカートやったときに、「これ、とんねるずさんやってたやつやん!」って盛り上がったんですよ。そういう意味では、『ねるとん紅鯨団』をそのままやってもいいかもしれない。
大悟 とんねるずさんに許可を得てね。映したものをモニタリングする恋愛リアリティショーはあるけど、確かにああいうのはないね。
ノブ ちゃんと「ちょっと待った」って告白するやつ、今やったら面白いかもしれない(笑)。
大悟 うん。ちょっと入り込んで、アドバイスをしたりとか、一緒に泣いてあげたりするような(笑)。
ぜひ1度連ドラを撮らせて
ノブ あと、Amazonプライムの『千鳥のニッポンハッピーチャンネル』でやった、大悟が考えたトレンディドラマ。あれなんかは楽しくて、第2弾あったらいいなと思ってたけど。
大悟 全部任せてくれるんやったら、やっぱ連ドラも撮りたいよね。
ノブ はははは! 松本(人志)さんも映画撮りましたし、バカリズムさんも、連ドラや映画の脚本書いてるし。
大悟 (ビート)たけしさんもね。でもまだトレンディドラマを撮った芸人はいないから。
ノブ "月9"とかでガチで流してほしい(笑)。僕のツッコミなしに。
大悟 ツイッターでノブがツッコんでるのを楽しんでもらうとかね。それか、今はない昼ドラで、ドロドロ系恋愛ドラマを毎日30分でもいいですね。
ノブ どっかで1回試させてほしいなぁ。でもやっぱり直近では、新ネタライブってところですかね。はい。あとはちょっと、ダイアンをどうにかしてやらないと。かまいたちとかは順調に売れていってくれたけど、直属の後輩のダイアンが、ゲーム実況のほうにいそしんでるんでね(笑)。ちょっと、そこの使命感はありますね。
大悟 他にはそうだな、ノブはもう嫌って言うかもしれないけど、東京に出てきて少したった頃に、よくある東京なんとかコレクションみたいなファッションイベントに出て、全モデルに無視されたんですよ。「何しに来てんだ?」みたいな目で見られて、2人とも傷ついて、震えながら帰ったんですけど(笑)。
ノブ 主催者側はね、良かれと思って呼んでくれたんでしょうけど。
大悟 モデルさん、全員僕らより背も高いし。小さい男2人が大すべりランウェイしてるのを見せてしまったので、もう1回リベンジでランウェイを歩きたいですね。
ノブ 一緒や。何しに来た?って目で見られて終わりよ。


(ライター 内藤悦子)
[日経エンタテインメント! 2021年7月号の記事を再構成]
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