シャープ「AQUOS R6」 ライカ監修のカメラは大人向き
戸田覚の最新デジタル機器レビュー

シャープのスマートフォン「AQUOS」の上位モデル「R」シリーズに最上位機種「AQUOS R6」が新たに加わった。スマホとしては最大級の1インチセンサーを搭載する、独ライカカメラが監修したカメラが話題だが、実はディスプレーも素晴らしい。どのようなユーザーに向いているのかを含めて、注目ポイントを紹介していこう。
AQUOS R6の本体デザインは最近のスマホによく見られるタイプだ。ディスプレーの左右がラウンドしており、背面は落ち着いたカラーのガラス製でとても高級感がある。画面サイズは6.6インチと大きいが、iPhone 12 Pro Maxなどに比べると幅が狭いので持ちやすい。メインカメラのレンズが大きく目立つが、1つだけなので3つ4つと並んでいるモデルよりはスッキリ感がある。
本体カラーはシンプルにブラックとホワイトだけで、落ちついた雰囲気を好むユーザーに向けたモデルと想像できる。

非常に美しいディスプレー
ディスプレーは、前述のように左右の端がアールを描くように丸みを帯びている。これは評価が分かれる部分で、画面サイズの割に本体がコンパクトに作れるメリットがある一方で、端の部分が使いづらいという声も少なからず耳にする。

ただ、見た目は非常に美しい。液晶にこだわるシャープだが、このモデルのディスプレーは有機ELで、「Pro IGZO OLED」と命名されている。輝度は最高で2000カンデラ毎平方メートルと驚異的に明るく、2000万対1のコントラスト比で明暗差を広く表現できるHDR(ハイダイナミックレンジ)に対応している。筆者はiPhone 12 Proシリーズのディスプレーをこれまでとても明るいと感じていた。それでも輝度が最高1200カンデラ毎平方メートル、200万対1のコントラスト比なのだから、AQUOS R6はそれをはるかに上回る(実物はまぶしすぎるほど明るいわけではない)。

画面の書き換え速度(リフレッシュレート)は1~240ヘルツ(毎秒1~240回)の可変だ。リフレッシュレートが高速な「ハイスピード表示」にすると、画面の書き換えが頻繁になる。動きの激しいゲームはもちろん、ブラウザーのスクロールでも画面がちらつかなくなるが、バッテリーの消費が激しくなる。そこで、1~240ヘルツの可変駆動が魅力的なわけだ。

指紋センサーが驚異的だ
このように先進的なAQUOS R6だが、便利な機能はコンセプトが古くてもきちんと踏襲している。例えば、イヤホンジャックを搭載し、microSDカードも使える。これがうれしいユーザーは多いだろう。イヤホンジャックがあれば、これまで愛用してきたような高級イヤホンも使用できる。

生体認証は、指紋センサーと顔認証の2つが利用可能だ。特に、指紋センサーの出来が良く、指紋検出エリアの広さが従来機種AQUOS zero2の11倍、認証速度が同2倍となっている。適当に指で触れるだけで瞬時にロックが解除されるのには驚いた。


CPU(中央演算処理装置)は、クアルコムの最新ハイエンド向けチップ「Snapdragon 888 5G」を搭載する。今シーズンのスマホが搭載するなかでは、最高性能のチップなので、ヘビーなゲームも余裕でこなせるはずだ。RAM容量は12ギガバイト(ギガは10億、GB)、ROM容量は128GBとこちらも文句のつけようがない。

カメラは確かに素晴らしいが…
AQUOS R6のカメラは、1インチのセンサーを搭載している。前モデルAQUOS R5は1/2.55インチなので、面積が約5倍になったということだ。
そもそもセンサーは、情報(光)を取り込んでデータ化するための仕組みだ。要するに昔のフィルムカメラのフィルムと同じような役目をしている。センサーが大きければレンズを経由して入ってきた情報をたくさん取り込める。情報量が多いほど画像が美しくなる。これは画素数とは別の話で、AQUOS R6のカメラは2020万画素とそれほど高いわけではない。
さて、実際に撮影した写真を見てみると、「素晴らしい」と感心する人と、「あれ? それほど美しくない」と感じる人に分かれそうだ。AQUOS R6のカメラを一言で表現すると、「大人っぽい」のだ。
今回は、韓国サムスン電子のGalaxy S21 Ultraと比較したが、AQUOS R6の写真はとても自然な色合いでぱっと見が地味だ。やや加工しすぎの感があるGalaxy S21 Ultraと並べてみると、「穏やかすぎる」ともいえる(もちろん、どちらの機種も後から加工できる)。








今や、3万円クラスのミッドレンジスマホのカメラでも、かなり美しく撮れる。ほとんどのユーザーはそれで満足するだろう。
さらに上を求める――カメラで言うなら高級一眼レフを求めるような人に向けたスマホがAQUOS R6なのだろう。
気になる価格は、NTTドコモのオンラインショップで11万5632円、ソフトバンクが13万3920円となっている。
1963年生まれのビジネス書作家。著書は150点以上に上る。パソコンなどのデジタル製品にも造詣が深く、多数の連載記事も持つ。ユーザー視点の辛口評価が好評。
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