バックアップは生命線 外付けHDDにまとめて保存

バックアップは、パソコンユーザーの生命線だ。なぜなら、パソコンにはいつトラブルが発生しても不思議はないからだ。明日が納期というときにファイルが突然壊れて開かなくなるかもしれないし、パソコンが起動しなくなるかもしれない。そうなったら、まさに一巻の終わりだ。
こんなピンチを切り抜けるため、とりわけ仕事に使うパソコンは、バックアップを旨としたい。失っては困るものを、定期的にほかの場所にコピーするのだ(図1)。

バックアップ対象は2つ。まずは個人用ファイルだ。これにはエクセルやワードを使って自分で作成したファイル、写真、ビデオなどが含まれる。個人用ファイルさえバックアップしておけば、最悪の場合でも、ほかのパソコンで作業を続けられる。
もう1つは内蔵ドライブ全体だ。これがあると、パソコンの電源を入れても起動しないようなトラブルに見舞われても、元に戻せる可能性がある。
「ファイル履歴」「MSオフィス」「専用アプリ」を使いこなせ
次に、バックアップの方法を見ていこう。個人用ファイルについては、(1)ウィンドウズ標準機能の「ファイル履歴」、(2)マイクロソフトオフィス(MSオフィス)の自動保存機能、という2つのツールが用意されている。これら2つを併用するとよい。内蔵ドライブ全体については、バックアップ専用アプリを使い、内蔵ドライブをイメージファイルとして保存する(図2)。

バックアップ先は外付けHDDがお勧め
バックアップ先には、いくつかの選択肢がある(図3)。結論からいうと、外付けHDD(ハードディスク駆動装置)にファイル履歴と内蔵ドライブ全体をバックアップするのがお勧めだ(MSオフィスの自動保存機能は、クラウドにバックアップが保存される)。内蔵ドライブはサイズが大きいので、現実的には外付けHDDの一択となる。それなら、ファイル履歴も外付けHDDに保存すればまとめて管理できる。

ただし、例外もある。モバイルノートをあちこちに持ち歩く場合、常に外付けHDDを接続しておくことは難しい。その場合、SDカードや出っ張りの小さいUSBメモリーを挿しっぱなしにして、ファイル履歴をそこに保存する選択肢もある。
バックアップの頻度はどれくらい?
バックアップの頻度は、対象によって変える(図4)。なるべく新しいファイルを保持するため、ファイル履歴は最短の10分ごとに設定する。MSオフィスの自動保存機能は、ほぼリアルタイムでファイルが自動的に上書きされ、それがクラウドにアップロードされる。

一方、内蔵ドライブ全体のバックアップは、週1回程度の頻度に抑えたい。内蔵ドライブは大容量なのでバックアップに時間がかかるうえ、完成するイメージファイルが外付けHDDの容量を圧迫するからだ。
ファイルの破損や削除から起動不能まで幅広く対応
バックアップが役立つのは、個別のファイルが破損して開かなくなったり、間違って削除したりしたときだ。慌てずバックアップ済みのファイルを取り出せばよい。"うっかり上書き"した場合も落ち着いて対処しよう。ファイル履歴は以前のバージョンも保持しているので、ファイルを上書き前の状態に戻すことができる(図5)。

内蔵ドライブの丸ごとバックアップが役に立つのは、ウィンドウズが不安定になったり起動しなくなったりしたときだ。ハードウエアが健全ならば、数十分でパソコンを元の環境に戻せる(図6)。

(ライター 岡野幸治)
[日経PC21 2021年8月号掲載記事を再構成]
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