窓のサッシやドア外側 車掃除シートで手軽にきれいに
日常的な家の中の掃除だけで手いっぱい。壁や塀など外側にまでなかなか行き届かないものだ。気づいた汚れに見て見ぬふりをするのも気が重い。効率よくきれいにする技を紹介しよう。
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家の外壁の汚れは多岐にわたる。幹線道路に近ければ排ガスによるばい煙の黒ずみが、土の校庭の学校や畑が近隣にあれば泥砂のホコリが多い。海が近ければ潮のべたつき、また季節の花粉や黄砂なども付着する。
戸建てなら水と高圧洗浄機などでダイナミックに掃除することもできる。だがマンションなどの集合住宅では近隣トラブル防止のため、屋外での水の使用が禁じられていることが多い。
そんな環境で汚れを落とそうとするとき、便利に使える意外な道具がある。車のボディーやガラスの汚れを拭き落とす、車掃除用のウエットシート類だ。「家の外側」と「車」の汚れの中身はとても似ている。このため、デリケートな車のボディーを拭くのに使えるシートは、住まいのサッシや面格子にも安心して転用できるのだ。

フロントガラスの汚れ、やっかいな油膜取りに使えるガラス用シートは、住まいの窓ガラスにこびりついた汚れも容易によく落とすことができる。そもそも掃除の準備や後始末の手間も最小限で済む使い捨てシートは、忙しい人にうってつけの道具と言える。車用シートを使った簡単な掃除の手順を説明しよう。

▼網戸 まずは手近なウエットシートで網戸の外側、内側の順に拭く。網戸を傷めないよう、力まず一定の方向になでるように汚れを拭うようにしよう。網戸は外側にホコリやばい煙、内側には室内から出た油煙や繊維クズが付着しやすく、汚れは内側の方が多い傾向がある。一度で汚れが拭ききれない場合は数回に分けて取り組む。網戸掃除用と銘打たれた虫よけ効果を備えたシートも市販されているので、適宜活用したい。
▼窓ガラス 窓はガラスクリーナーシートで拭く。汚れの度合いによっては筋状の拭き跡が残るが、2、3回に分けて拭き直すときれいになるので繰り返そう。
なお窓や網戸の金属サッシ部分は車のボディー用クリーナーを使う。ボディー用にはワックス効果が含まれる商品もあり、拭くだけでサッシの輝きが戻り、汚れも付着しにくくなる。
▼外壁・室外機周辺 日の当たらない外壁、ベランダ排水溝、エアコンの室外機周りなどに生えるコケや藻、カビなども家の外側のやっかいな汚れだ。カビは梅雨時の玄関前の傘立てや、鉢植えの水受け皿にもよく見られる。
夏本番ともなれば室外機のドレンホースから出る結露水の周りに茶色がかったピンク色のヌルヌルした汚れが出ることも多い。原因はバクテリアだ。こうしたカビやバクテリアによる汚れの出現頻度は、日照や通風などの立地条件にも左右される。
基本的には乾燥している場所なら発生しにくい。ただ、いつの間にか目立つ汚れとなってしまった場合には、消毒剤「塩化ベンザルコニウム」(逆性石けん)を100~200倍程度に希釈した水溶液をスプレーで噴霧し、そのまま放置するのが効果的だ。カビ、コケ、バクテリアなどがまとめてきれいになる。ただし、植栽には噴霧しないよう注意する。
スプレーは水溶液を作って噴霧するだけ、またシート掃除はシートそのものさえあれば、90センチ×180センチほどの大きな窓でも、ものの1、2分で拭き切れる。いずれもとても手軽なので、構えずに取り掛かってほしい。
ひとつ注意しなければならないことがある。シートを使う掃除に限らないが、網戸や窓、ドアなどの掃除は、風の強い日や、気温が高く空気が乾燥している日には適さない。風が強いと風圧でドアが急に閉まる事故が起きやすく、網戸などに付いたホコリも家の中に入り込む。拭いたところもすぐ乾燥してしまい、汚らしくなりやすい。
網戸や窓の掃除には、汚れが湿り気でゆるんで落としやすく、ホコリも立ちにくい無風かつ湿気の高い曇りや雨の日のほうが適している。天気のすぐれない日々が続く季節に入ったが、そんなときこそ「家の外側」を掃除するチャンスであると覚えておいてほしい。
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戸建てなら水を併用

戸建て住宅の雨戸、網戸、窓ガラス周りの掃除に役立つのもカー用品だ。マンションのように水を使用することへの禁止事項がないため、ホースや高圧洗浄機経由で多めに水を用い、また大型の洗車ブラシを使うことで面積の広いところでも大まかな掃除は短時間でかなえることができる。
花粉や煤煙などによる粘り気のある汚れが強い場合は、少量の食器用洗剤を洗浄水に加えると汚れ落ちが良くなる。外壁や塀、タイルなどに発生した緑藻やコケには塩化ベンザルコニウム溶液を使う。
(住生活ジャーナリスト 藤原 千秋)
[NIKKEIプラス1 2021年6月5日付]
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