琵琶湖・霞ケ浦・山梨 3密回避の爽快サイクリング旅

3密を避けるアクティビティとして人気のサイクリング。ナショナルサイクルルートでも、本格的なロードバイクでのツーリングに交じって、レンタルしたクロスバイクや電動アシストバイクで気軽に走る人の姿も増えた。ついでに地元グルメや温泉も楽しみながらの気楽なおすすめサイクリング旅をご紹介しよう。
心地よい疲れを温泉と美食でいやす
広大な琵琶湖を一周する「ビワイチ」は全周約200キロメートルの長距離サイクリングルートだ。日本を代表し、世界に誇りうる「ナショナルサイクルルート」の一つにも認定されている。。瀬田の唐橋(滋賀県大津市)を起終点に、反時計回りに回る環状コースだが、大津市と同県守山市の間に架かる琵琶湖大橋の北側(約150キロメートル)や南側(約50キロメートル)などの一部を自転車で走り、楽しむ人も多い。守山市のビワイチ発着地までは、車でも電車でも京都から約30分の距離だ。

琵琶湖大橋東詰近くの「第2なぎさ公園」(守山市)には「琵琶湖サイクリストの聖地」の碑がある。ビワイチのシンボルを目指し2017年に建てられた。その公園すぐの琵琶湖のほとりに「琵琶湖マリオットホテル」(全274室)がある。琵琶湖はもちろん、比良山系を一望する最上階のレストラン、温泉浴場、屋内プールやテニスコートなどスポーツ施設にプラネタリウムまで備える。
ホテル1階には自転車メーカー、ジャイアントの専門店「ジャイアントストアびわ湖守山」があり、クロスバイクなどを有料で貸してくれる。レンタサイクルでサイクリングを楽しむのもいい。ヘルメットなどを含む5時間の自転車レンタルを含むプチビワイチ体験ができる宿泊プランもある。

松林の間から時折、湖を臨みながら湖岸を少し北へ走ってみる。ふなずしや小エビを使ったサンドイッチなどを地産池消のカフェ「ビワコ・ドーターズ(BIWAKO DAUGHTERS)」で楽しむのもいいし、いちごや季節のフルーツ狩りができる農園など立ち寄りスポットもある。サイクリングでの心地よい疲労を、温泉にゆっくりとつかって癒やした後、琵琶湖で獲れた魚や地元・近江牛を使った料理を満喫。まさに極上のひと時に違いない。

湖面のきらめきと絶品ラーメンを満喫
JR東日本常磐線「土浦駅」は、ナショナルサイクルロード「つくば霞ケ浦りんりんロード」の拠点駅だ。つくば霞ケ浦りんりんロードは、旧筑波鉄道の廃線敷と琵琶湖に次ぐ二番目の大きさを誇る湖、霞ケ浦を周回する全長約180キロメートルのサイクリングコース。
霞ケ浦を一周するコース(約125キロメートル、通称カスイチ)や、筑波山を臨む旧筑波鉄道廃線敷を活用した旧筑波鉄道コース(約40キロメートル)、ヒルクライムコース(約25キロメートル)などがある。
東京から在来線特急で49分の距離で、土浦駅直結の大型商業施設「プレイアトレ土浦」は「日本最大級のサイクリングリゾート」をコンセプトにしている。レンタサイクルショップ、サイクルカフェに全90室のサイクリングホテル「星野リゾート BEB5土浦」もある。1階から自転車を押しながら館内を回れるようにもなっている。
レンタサイクルショップには、本格的なロードサイクルから電動アシストサイクル、キッズサイクルなど多数の自転車をそろえている。さらに駅には、15分単位で借りる無人レンタサイクルもある。

土浦駅のまさに上に位置する「星野リゾート BEB5土浦」は、「ハマる輪泊」を合言葉に、館内は自転車で移動できるようにスペースが取られ、廊下やあちこちに自転車ラックが設置されている。自転車整備コーナーや自分の愛車と添い寝ができる部屋まであるという。3人で上下段に分かれてくつろげるヤグラルームもあり、家族や友人で泊まるのも楽しい。
土浦駅から筑波山方面に向かう旧筑波鉄道コースはアップダウンやカーブのない自転車専用道路でとても走りやすく、サイクリング初心者にもおすすめ。駅から筑波山口まで(約20キロメートル)を往復してみた。旧駅舎を利用した休憩所がところどころにある。筑波山口には、ひっきりなしにお客が麺を買いに訪れる「松屋製麺所」(茨城県つくば市)があり、その場で打ったつるつるモチモチ麺の絶品ラーメン(数量限定)が味わえる。
霞ケ浦は、絶景の朝焼けや夕焼けも有名。湖面のきらめきを眺めながらペダルをこぐのもいい。両方のコースとも爽やかな風が吹き渡り、新緑を愛(め)でながら気持ちよく走ることができた。

ついでの楽しみのサイクリングも
温泉やフルーツ狩りなどのついでにサイクリングも楽しめるのが、「サイクル王国やまなし」を目指す山梨県だ。「やまなしスポーツツーリズム 富士の国やまなしを全力で走る+」と題したホームページには、初心者から上級者まで楽しめる8つのサイクリングコースを紹介している。
雄大な富士山の絶景を楽しみながら山中湖や河口湖畔を回るコースには、自転車走行用のブルーラインが整備されており、走りやすい。
JR中央本線の石和温泉駅(山梨県笛吹市)構内の観光案内所では無料でレンタサイクルを利用できる。放置自転車を修理して、無料で貸し出しているものだ。3台のみで予約不可だが、空いていれば保証金1000円(返却時に返金)で午後4時まで利用できる。
電動アシストサイクルなら3時間まで1,000円(超過1時間ごと500円)で、石和源泉足湯ひろばと併せて計5台用意されている。七福神のお寺巡りやワイン醸造所などローカルな町巡りに自転車で出かけてみるのも手だ。
またJR中央本線韮崎駅(山梨県韮崎市)の観光案内所では普通自転車が200円、電動アシストサイクルが600円で借りられる(いずれも保証金が必要)。桜の季節には樹齢300年の1本桜で有名なわに塚の桜や、ノーベル医学・生理学賞を受賞した山梨県出身の大村智博士のコレクションが集まった韮崎大村美術館を自転車で一走りして見に行くこともできそう。
一方、JR中央本線・山梨市駅すぐの街の駅やまなし(山梨地域交流センター)では、市内散策や施設見学用に普通自転車100円、電動アシストサイクル520円(それぞれに保証金が必要、1カ月前から予約可能)で利用できる。電動アシストサイクルは、甲府市内では駅周辺のホテル4カ所で、甲州市内ではサイクルステーションで貸し出している(有料)。いずれもレンタサイクルショップのように種類や台数が豊富なわけではないが、温泉などに来たついでに、ちょっと足を延ばして地元を満喫するには便利な足である。
世界有数のトラベルガイドブック「ロンリープラネット日本語版」の編集を経て、フリーランスに。東京と米国・ポートランドのデュアルライフを送りながら、旅の楽しみ方を中心に食・文化・アートなどについて執筆、編集、プロデュース多数。日本旅行作家協会会員。
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。