味な調理家電10選 焼き肉やトースト、鬼おろしまで

「おうち時間」の増加で自炊する機会が増えた。使って楽しい調理家電は食卓をなごませる。ユニークな調理家電を専門家が厳選した。
1位 アビエン マジックグリル
(J-FUN) 薄く軽量化、手入れ楽々

おうち時間が増える中、ホットプレートを購入する人が増えた。調理の幅は広がるが、棚から引っ張り出すのも一苦労。洗浄も手間取るためか、使わなくなる人も多い。1位に選ばれたJ-FUNのグリルは、プレートの厚さを3ミリメートルに抑え、本体の重さも約2.5キログラムと軽量化に成功した。
薄さを可能にしているのが、フィルム状のヒーター。棒状の熱源とは異なり、鉄板の中にヒーターを内蔵できる。隙間を抑えながらプレートに熱源を敷き詰められるので、焼きむらもできない。藤山哲人さんは「フィルムヒーターを使うことで、ホットプレートに革新をもたらした」と評価する。
プレートの表面はフッ素樹脂で加工し、特殊なフィルムでコーティングすることで水をはじく。油を使わなくても肉や魚を調理でき、煙も立ちにくい。
プレートに台座をはめ込む形で装着でき、取り外し楽々。プレートはシンクの中で洗い、まな板と同様に立てて乾かす。「手入れの簡単さ、収納のしやすさもポイントが高い」(奥家慎二さん)。コンパクトにまとめられるので、ポータブル電源などがあれば、リュックなどに入れて屋外に持ち運べる。ソロキャンプなどで活用できる。豪快なホットプレートのイメージを覆すデザイン性も評価を集めた。
(1)幅約40×奥行き30×高さ約8センチメートル、重さ約2.5キログラム(2)消費電力770ワット(3)1万9800円
2位 三菱ブレッドオーブン
(三菱電機) 水分・香り逃さず

通常のトースターで食パンを焼くと焦げた匂いがつき、耳は固く食べづらい……。そんな悩みを解決し、食パンを「焼きたて」の状態に復元しようと開発された。1枚ずつ密閉して焼き、パンの水分や香りを逃さず調理する。
「極限までおいしく焼こうとするコンセプトが秀逸」(宇野大輔さん)。長年炊飯器を製造してきた三菱電機のノウハウを結集し、水分の抜け具合を半分以下に、香りを従来品の3倍以上に引き立てた。「5枚切り」などパンの厚さに応じた焼き方があり、焼き色も「薄め」「濃いめ」など好みに合わせて選べる。
「具材を載せたトッピングトーストや、フレンチトーストなどもおいしく仕上がるため、高級生食パンなどをよく食べる人には断然おすすめ」(安蔵靖志さん)。コンパクトで温かみのあるデザインはテーブルの上に置いて使うのにもってこいだ。
(1)27×約22×14センチメートル、約3.1キログラム(2)930ワット(3)3万3000円(市場想定)
3位 レコルト ソイ&スープブレンダー
(ウィナーズ) 効率よく栄養摂取

スイッチ一つで乾燥した大豆から自家製の豆乳を作るブレンダー。仕事などで忙しい人には、うれしい「ほったらかし家電」の一つだ。
大豆以外の食材を加えれば「別に鍋などを用意することなくおいしいスープ朝食も楽しめる」(奥家さん)。タンパク質をはじめとした栄養を効率よく摂取できる。
台所用の中性洗剤を入れると、自動で中を洗浄。「ジューサーやブレンダーはメンテナンスが面倒なため使われなくなるケースが多いが、クリーンモードまで用意されていて手間いらず」(阿部淳平さん)
コロナ下では食品を買い置きする機会も増えている。「おからや残り野菜も利用でき、フードロスを防げる」(神原サリーさん)と、エコな面も評価を集めた。
(1)約14×約10×22センチメートル、約990グラム(2)最大230ワット(3)1万1000円
4位 電動昇降グリル鍋
(サンコー) 鍋の具材、残さず最後まで

鍋の中のザルが上下に動き、スープの中に隠れていた具材が見える。豆乳系など「不透明なスープでは具材が沈むと取りにくい。具だけザルで上げられるので残さず食べられる」(石井和美さん)。具材のセットも簡単。
調理の幅は無限大。ザルを上にあげたまま野菜をセットして蒸し野菜を作れるほか、「麺をゆでた後上昇させるなど、鍋以外でも活躍できそう」(コヤマタカヒロさん)。
続々新製品を出すサンコーは営業から総務まで全社員から「面白くて役に立つ商品作りを」(同社)とアイデアを募っているという。
(1)26×29×23センチメートル、約2.2キログラム(2)600ワット(3)7980円
5位 鬼おろしができるフードプロセッサー
(仲佐) 歯応え抜群、瞬時に

粗めに削りダイコン本来の甘みや食感を引き立てる調理器具、「鬼おろし」の機能を搭載した。「鬼おろしは力が必要なうえに怪我の恐れもあるが、本製品は安全性が保てる」(藤山さん)
回転刃で大根を潰しながら削る独自の技術により、1回におろす時間は5秒。短時間なので「機械の熱が大根に伝わらずにすむ」(製造元の仲佐)。
石井さんによると焼き魚以外にも、そばや鍋にも活用できるほか、大量に作って動物などの形に成型する「大根おろしアートも楽しめる」という。
(1)約11×約12×26センチメートル、約700グラム(2)65ワット(3)4480円
6位 サラダチキンメーカー
(ライフオンプロダクツ) 約65℃の低温調理

ダイエットのお供にコンビニなどでサラダチキンを買う人は多い。食品添加物を使わず、できたての温かいサラダチキンを楽しめるようにと開発した。「約65℃の低温調理が簡単にできる。ダイエット食を手軽に作れるだけでなく、さまざまな調理に活躍する」(安蔵さん)
同社お薦めのムネ肉を中心に様々な部位を使える。付属のレシピブックなどを参考にすれば、サラダサーモンや豚肉のつけ麺、キムチスープなどを作ることができる。赤や青など3色あり「キッチンに出してもおしゃれ」(川上真由美さん)な商品だ。
(1)約24×約13×約16センチメートル、約950グラム(2)450ワット(3)4950円
6位 焼き芋メーカー
(ドウシシャ) 夏はトウモロコシで

オムレツメーカーなどニッチな調理家電を開発するドウシシャ。「豊富な食物繊維で注目される焼き芋に特化した一芸家電」(宇野さん)。焼き芋の甘さを左右するのが火の通し方で、多くの人がつまずく。サツマイモが収まるプレートで挟み込み「全方位から熱を加え、まんべんなく火が通る」(同社)ことで解決した。
調理時間は約40分で、タイマーをセットすれば完成を待つだけ。大きなイモも端を切れば調理できる。「夏は焼きトウモロコシも楽しめる」(久保田良平さん)と、何かと重宝しそうだ。
(1)約35×約25×約15センチメートル、約3.7キログラム(いずれも収納時)(2)1000ワット(3)9900円(市場想定)
8位 自動回転グリル&ホットプレート
(ヒロ・コーポレーション) つまみ作りに最適

上についているホットプレートで野菜などを焼きつつ、下の引き出しで焼き鳥をグリルする「実用的な組み合わせ」(阿部さん)だ。グリルは専用の串に肉や野菜などを刺すと、回転しながら火を通してくれる。グリルの上から熱する仕組みで、油が熱源にかからないため煙が発生しにくいという。
「コロナで外食が難しい中、家族でわいわい作って食べてと楽しめそう」(川上さん)という見方も。定期的にひっくり返す手間も省けるので、一人暮らしでお酒のおつまみを作るのにももってこいだ。
(1)約41×約36×約15センチメートル、約2.9キログラム(2)1000ワット(3)9800円(市場想定)
9位 Toffy スモークレス焼肉ロースター
(ラドンナ) 一人焼き肉も楽しく

家の中で焼き肉を楽しめるようにと開発された煙が発生しにくいグリル。ヒーターを機器の側面にとりつけ、油や水がヒーターに落ちないようにした。
「Toffy(トフィー)」はデザイン性にこだわったラドンナのキッチン家電などのブランド。「シリーズならではのコンパクトでレトロ感があるデザインも素敵」(神原さん)。鉄板が大きくないので、一人焼き肉を楽しむのにもちょうどいいサイズだ。
焼き網や付属のプレートはフッ素加工で油がこびりつきにくい。「油はねも少なく手入れしやすい」(久保田さん)
(1)約44×約24×約16センチメートル、3050グラム(2)1000ワット(3)1万9800円
10位 もちブレンダー
(エムケー精工) 餅料理の無限ループ

餅つきと併せて(1)切り餅を熱しながら他の食材と一緒にこねる(2)液体に溶かして高齢者も食べやすいよう調理する――2つの機能を搭載した。40年以上餅つき器を製造してきたエムケー精工が新しい食べ方を提案するために開発した。「これで餅料理の無限ループができる。料理の多彩さに『餅ブーム』を作れるのではと期待した逸品」(稲本ミノルさん)
フレンチトースト風の餅や、クラムチャウダーなどのレシピを記載した本がついてくるほか、同社のインスタグラムでもレシピを紹介している。
(1)19×30×22センチメートル、約3.3キログラム(2)280ワット(3)1万7380円
オモロイ発想、ブーム支える
ユニークな調理家電が近年多く登場している。出来合いを買っていた食べ物を調理できたり、利便性にこだわって従来にはない形状を採用したり……。サンコーのえき(土へんに谷)晋介広報部長は「WEBで自前で販路を開拓できるようになり、ニッチなニーズにも応えやすくなった」と話す。製造拠点のないスタートアップもクラウドファンディングで資金調達し、製造委託すれば商品化できる。コヤマタカヒロさんは「部品の性能が上がり、遊び心のある製品を企画しやすくなった」と見る。
ブームを支えているのが大阪の企業で、多くランクインした。ものづくりの人材が集中しているうえ、「オモロイ」発想を重視する気質も影響していそうだ。焼き芋メーカーを製造するドウシシャは「ええやん」「なんでやねん」「じぶん」「おもろいやん」「やったらええやん」の頭文字を取り「ENJOY」の精神を重んじているという。
生産期間が限られたものや、量販店に流通していないものもある。「これは」という一品が見つかったら購入はお早めに。
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(荒牧寛人)
[NIKKEIプラス1 2021年5月8日付]
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