海鮮せんべい10選 日持ちが良く手土産にぴったり

春は出会いの季節。顔を合わせたり会食したりしづらい今だからこそ、こだわりの手土産や贈り物で「どうぞよろしく」の気持ちを伝えたい。日持ちがし、幅広い年代の人に喜ばれる海鮮せんべいを専門家が選んだ。
1位 ゆかり
1枚に7尾のエビ使用

エビせんべいのルーツは、漁師がすり身をあぶり焼きにして食べた「えびはんぺい」といわれる。えびはんぺいは徳川家献上品となり、天日干しの「生せんべい」へと進化。坂角総本舗の創業者が改良を重ね、1889年、炭火で焼き上げる新しい生せんべいを完成させたのが「ゆかり」の原型だ。当初、客は生地を買って自宅の火鉢で焼き、しょうゆを付けて食べていた。
縁起がよいとされるエビを使ったせんべいに、人と人などの縁を意味する「ゆかり」と命名されたのが1966年。「知名度の高さで贈答品としての安心感がある。定番の風格」(尾山雅一さん)
三河湾や瀬戸内海、ニューギニア島近海などで水揚げされたエビを手作業で加工。でんぷんなどを加えて生地を作り、鉄板と網で二度焼きすることで、うまみをとじ込めてから、香ばしさを引き出している。
1枚に7尾のエビを使用。1枚23キロカロリーとヘルシーながら、エビのコクと香りが感じられる。「シンプルだがバランスの取れた海鮮感で、かみ心地も好き」(松崎宗平さん)。「老若男女、誰に贈っても満足してくれそう。パッケージにも高級感が漂っている」(とけいじ千絵さん)
(1)1080円(12枚)(2)https://www.bankaku.co.jp/shop/c/c10/(3)愛知県東海市
2位 牡蠣まるごとせんべい
カキ丸ごと一粒の驚き

広島産生ガキの仲卸を生業にするマルイチ商店は1897年創業。カキの旬である冬以外の季節でも「広島産カキを土産にでき、一年を通じて味わえる商品を作りたい」という思いからせんべいを開発し、2011年から販売する。
カキの姿がしっかりと分かり、風味も豊か。「まるごと一粒カキが入っていて驚きがある。カキ専門店の味。歯応えもちょうどよく年配の方にも良い」(黒沢厚美さん)
地元の赤土で育てたじゃがいも「まる赤」を生地に使用している。「カキのうまみとからっとした食感が良く、インパクトがある」(阿部直之さん)。「コストパフォーマンスの良さにびっくり」(下井美奈子さん)と価格を評価する声もあがった。
(1)810円(2枚×8袋)※5月6日出荷分より1枚×12袋に変更予定。(2)https://www.setonosachi.com/products/detail.php?product_id=29(3)広島県東広島市
3位 越前甘えびから揚げせんべい
焼いてから揚げ 香ばしく

刺し身としても提供する、新鮮で甘みが強い甘エビを鉄板で焼いてから揚げ、頭から尻尾まで丸ごとせんべいにした。プランクトンや小魚が豊富な福井県の沖合で取れる「越前甘エビ」の拡販のため、同県坂井市や漁業組合と連携して商品化した。
「塩味が軽く、エビの香りが良い。ネーミングも良い」(村田明彦さん)。「エビの風味とせんべいの香ばしさのバランスがとれている」(阿部さん)
底引き網漁で取った後、船内の冷凍庫で急速凍結することで鮮度を保つ。「揚げていても軽さがあり、食感が楽しめた」(小倉朋子さん)
(1)2052円(6グラム×8袋)(2)https://www.senbei.biz/products/detail.php?product_id=153(3)福井県坂井市
4位 鮭(さけ)ぶし丸
サケのうまみしっかり

カツオ節のようにサケの身を乾燥させた「鮭(さけ)節」を使ったせんべい。鮭節は甘みがあり、料理のだしやふりかけに使用されるなど注目されている。「鮭節という点で珍しく、しっかりとうまみもあり、個性がある」(小倉さん)
せんべいの甘じょっぱい味付けがサケの風味を引き立てており、お酒やお茶に合う。「サケのせんべいは珍しく、パッケージにも特徴があり手土産に良い。味は濃いめだがおいしい」(河野文寿さん)
(1)1400円(2枚×20袋)(2)https://www.ryugetsu.co.jp/i/02053(3)北海道音更(おとふけ)町
5位 甘えび姿焼
1尾丸ごとの迫力

伊勢湾、三河湾を望む愛知県知多半島の美浜町にあるエビせんべい専門店の商品。エビ1尾を頭から尻尾まで足の形などもそのままに、姿焼きにしている。「姿焼きのぜいたく感と迫力は贈り物向き。エビ好きにはたまらない」(下井さん)
甘エビにでんぷんや塩など、最小限の原料を加えて焼き上げた。「エビの香ばしさだけでなくうまみを感じる逸品。大きめの甘エビを使用しており、高級感もある」(竹中宏樹さん)
(1)3000円(15尾×2袋)(2)http://koumian.shop-pro.jp/?pid=93719541(3)愛知県美浜町
6位 かに煎餅 かなめ
カニの香り広がる

カニ漁の盛んな兵庫県豊岡市にある創業75年の企業が、2008年に商品化。エビに比べて珍しいカニせんべいを作るため、5年以上、試行錯誤した。生地の半分以上にカニの身を使用。米粉と合わせて二度焼きすることで、パリパリとした歯触りを実現した。「香ばしさと食感が秀逸。素材の味を最大限に引き出している」(河野さん)
袋を開けるたびに、カニの香りが広がる。「カニの甘みを感じる香り。個包装も上品なデザインで、もらったらうれしい」(黒沢さん)
(1)1720円(16枚)(2)http://shop.kakutani-seika.co.jp/shopdetail/000000000008/(3)兵庫県豊岡市
6位 しろえび撰
「富山湾の宝石」白エビ使用

「富山湾の宝石」と呼ばれる白エビを使用。北陸新幹線開業に合わせて、前年の2014年に発売。従来ある商品の白エビ含有量を増やしたり生地を薄くしたりと、改良を重ねた。塩も30種類から吟味。「見事に白エビの味わいを詰め込んでいる。白エビ特有の香りと味が、強めの塩分とあいまって食べ進めずにいられない」(松本学さん)
10枚から90枚入りまで、用途に合わせて選べる。「白エビの甘さが良いバランスで作られている。ピンク色の箱のデザインもよくギフトにぴったり」(松崎さん)
(1)1620円(27枚)(2)https://www.sasaraya-kakibei.com/shopbrand/shiroebisen(3)富山県南砺市
8位 いか煎餅
2種類の歯触り楽しむ

青森銘菓「南部せんべい」の店の商品。ゴマせんべいにしょうゆタレを塗り、イカをまぶした。地元の漁港でイカの水揚げ量が多かった1995年ごろ、イカを使った商品開発が話題となり、せんべいを製造したのが始まり。
「南部せんべいとイカの組み合わせに驚き。軽めの食感で、ゴマの風味とイカの味わいが絶妙にマッチしている」(松本さん)。「薄くパリパリとした周辺部と、歯応えある中心部の食感の違いも良い。エビやカニに比べて風味が出しにくいイカを上手に商品化している」(小倉さん)
(1)1296円(18枚)(2)https://hachinoheya.raku-uru.jp/item-detail/508452(3)青森県むつ市
9位 炙(あぶ)り焼き詰合せ
かむほど広がるエビの甘み

3種類のエビせんべいの詰め合わせ。「甘えび炙り焼き」は北海道の甘エビ、「赤えび炙り焼き」と「えびアーモンド」は世界中から選んだ数種類の赤エビを使用する。専門家には「甘えび炙り焼き」を試食してもらった。
生地を鉄板で焼いた後、乾燥・熟成させてからあぶって仕上げることで、軽やかな食感を生み出す。「丁寧に作られたことが分かる味。かめばかむほど甘みが広がる。飽きることのない穏やかな塩味とうまみが感じられる」(とけいじさん)
(1)1080円(9枚)(2)https://keishindo-shop.com/SHOP/336793/336780/list.html(3)名古屋市
9位 海老きらら
パリパリ軽い食感

原料のエビをより細かくするために2回ミンチにし、ジャガイモのでんぷん、調味料、水を加えて練り、焼いて一度乾燥してから揚げている。「一枚一枚が軽いながらも、エビの風味もちゃんとあり、ポテトチップスのように次々いけるおいしさ。お酒のつまみに合いそう」(竹中さん)
サクッとした食感にも支持が集まった。「パリパリしているが舌触りはなめらかで、とても上品。バランスの取れた味で、多くの人に喜ばれそう」(とけいじさん)
(1)1620円(13グラム×10袋)(2)http://www.toyosen.co.jp/ebikirara10.html(3)愛知県南知多町
エビせんが最多 ウニやウナギも
せんべいの歴史は古く、中国から伝わったなど諸説ある。本格的に普及し始めたのは江戸時代といわれる。現在は埼玉県の「草加せんべい」のような米を使ったものが主流だが、愛知県に多いエビせんべいはジャガイモのでんぷん、東北の「南部せんべい」は小麦粉を原料とする。
海鮮系のせんべいは、縁起物でもあるエビを使ったものが最も多い。一方で、全国各地で取れるイカ、タコ、カニ、アサリ、ウニ、ウナギ、カキなど、さまざまな水産物を使った製品もあり、地域振興にも活用されている。
賞味期限が長く多くの人に好まれるので、手土産にも良い。お取り寄せやマナーなど食全般に詳しい小倉朋子さんによると、手土産には「しける前に食べきれる個包装のものが良い」。初対面のビジネスの相手には老舗の品が無難だが、グルメ通には姿焼きなどインパクトのある地域の商品も面白がられる。パッケージは、底が浅く横に大きい箱のほうが、開けたときの見栄えが豪華で、せんべいがきれいに見えるという。
ランキングの見方
調査の方法
今週の専門家
(砂山絵理子)
[NIKKEIプラス1 2021年4月10日付]
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