水筒のお手入れ 月1でつけ置き洗い、斜めに立て乾燥

気温が上がり、水筒を持ち歩く機会が増える季節。一方で洗い残しの汚れやカビの発生など、衛生面での不安を感じる人もいるだろう。手入れ法や正しい使い方を再確認しよう。
まず日常のお手入れから。水筒の中はスポンジなどに中性洗剤をつけて洗うのが基本だ。だが一般的な食器用スポンジでは底まで届かず、きちんと洗えているか不安、という人も多いかもしれない。
あみたわしで細部きれいに
家事代行サービス「カジタク」トレーナーの山口奈穂子さんは「凸凹のある飲み口や、パッキンの溝にも届きやすい『あみたわし』を使うと、汚れが落としやすい」とアドバイスする。
あみたわしとは、メッシュ状に織られた食器洗い用のクロスだ。薄いため細かな部分も洗いやすい。水筒の底を洗うときは、小さくたたみ、細長いトングではさんで使っているという。「あみたわしもトングも100円ショップで手に入るので、試してみては」と山口さん。柄付きのスポンジなどと比べ乾きやすく、衛生面でもおすすめという。
カビが発生しやすいゴムパッキンは外し、水筒の内部同様に中性洗剤で洗う。さらに月1度程度の「つけ置き洗い」で、カビや茶渋汚れなどを落としてすっきりさせたい。
洗いおけに50度前後の湯をはり、酸素系漂白剤を溶かしてパッキンや水筒のふたをつける。「水筒の中にも漂白剤を溶かした湯を入れ30分ほど置いておくと、軽くすすぐだけで汚れが簡単に落ちる」(山口さん)
洗った後はしっかり乾かそう。山口さんはキッチン隅に水切りマットを敷いたトレーを置き、乾燥コーナーを作っている。水筒の中は乾きにくく、洗ってから一晩たってもまだ水滴が……ということも。洗いかごに入れっぱなしだと、上から他の食器を重ね、ますます乾かない、という事態になりがちだ。「専用スペースに斜めに立てかけておくのが一番効率的」だそう。

通勤・通学やスポーツ用など、増える水筒の収納に悩む人も多い。整理収納アドバイザー1級の資格も持つ山口さんは「日常使う『1軍』と、イベント時に使う『2軍』に分けて収納を」と提案する。
1軍の水筒はキッチン回りに置き、すぐに取り出せるようにしたい。缶ビールやジュースなどを収納する「缶ストッカー」や取っ手付きの「つり戸棚ストッカー」など、100円ショップやホームセンターで購入できる収納用品が役に立つ。「半透明タイプを選び、立てて収納すると、どの水筒がどこに入っているか一目で分かる」(山口さん)。カラフルな水筒はかごなどに入れ、インテリアとして「見せる収納」にするのも手だ。
2軍の水筒はアウトドア用品と一緒にしまっておくなど、使うシーン別に収納すると無駄がない。

コーヒーOK 乳製品はNG
ところで水筒の中には何を入れているだろうか。この機会におさらいしておきたい。入れていいのはお茶や紅茶、水、コーヒーだ。カフェオレなどを入れる人もいるが、乳製品は腐敗しやすく、ガスが発生して噴き出すことがあるので避けたい。スープや味噌汁といった塩分の多い汁物も、水筒の機能が低下するおそれがあるためNGだ。専用のスープジャーを使おう。
夏場はスポーツドリンクを入れる人も増える。象印マホービン(大阪市)広報部の濱田捷彦さんは「その際はスポーツドリンク対応の水筒を選んでほしい」と注意喚起する。「水筒内部にサビや傷があった場合、スポーツドリンクのような酸性の飲み物を長時間入れておくと、まれに飲み物の中に金属が溶け出すおそれがある」ためだという。

一般的に水筒のタイプは大きく分けて2種類。上部を回して開けるスクリュー式は「温かい飲み物を少しずつ調整しながら飲めるほか、飲み口が広いため、香りも楽しめる」(濱田さん)。
ボタンを押すだけで開けられるワンタッチ式は、冷たい飲み物をごくごく飲みたいスポーツ時などに向く。片手で開閉できて便利だが、パッキンなどの部品が多く、洗いにくいのが難点だ。カジタクの山口さんは「お手入れを念頭に、分解や組み立てしやすさも考慮して選んで」と話す。
まだマスクが手放せない日々。マスクは保湿効果があるため喉の渇きが感じにくく、水分補給の回数も減りがちといわれる。水筒を上手に使い、暑い季節を乗り越えたい。
(ライター 藍原 育子)
[NIKKEIプラス1 2021年3月13日付]
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