子ども名義の預貯金に税金はかかる? 贈与税の線引き

子どもの名義の口座でお金をためようと考えている方は、多いのではないでしょうか。家計とは完全に切り離してお金をためられますし、何より目的がはっきりしているようにも感じます。また、私も金銭教育やお年玉、おこづかいの管理を学ぶ一環として、子ども名義の口座に子どものお金をためることを、お勧めすることもよくあります。
子ども名義の口座は、親権者が申し込めば簡単につくることができます。ですがその利用の仕方によっては、「贈与税」がかかる場合もあります。
お年玉をためる口座は心配不要
お金の管理を学んでもらうために、子どもの口座を開設してためているというご家庭は多いことと思います。我が家もそうしています。ただ、時々気になるのが子ども名義でためたお金と税金の関係。お年玉に税金がかかることはあるのでしょうか。
国税庁は、香典、花輪、年末年始の贈答、お祝い、お見舞いなどのための金品について、「社会通念上相当と認められる」場合は贈与税がかからないとしています。つまり、一般的な金額、およそ3万円以内くらいでしょうか、周囲が驚くような金額でなければ、非課税でよいものと位置付けています。お年玉をくれる人がかなり多く、お年玉の総額が暦年贈与の控除額である110万円を超えてしまっても、課税されることはありません。
もし、お年玉として10万円、20万円などの「社会通念上相当」と思えない金額のお年玉をもらったとしたら、それは贈与税の暦年贈与の非課税枠を利用して、非課税であると考えたほうがよいでしょう。
また、毎年のお年玉をためて110万円を超えてしまった、という場合も心配いりません。次から説明するように、お子さんと一緒に口座の管理をしておきましょう。
子どもが自由に出し入れできる口座か
お年玉の口座であるといっても、ご両親が管理し、子どもが自由に口座のお金を使えない場合は、子どもがお金を受け取った時に「贈与」の扱いとなるケースがあります。それは親が子ども名義の口座を使ってお金をためた「名義預金」だったとみなされてしまうからです。
こうならないためにも、日ごろからお子さんの口座は、お子さんが自由に引き出したり、預けたりできるようにしておかなくてはいけません。
「自由に」というとお金の使い方などが心配だと不安に思われるかもしれませんが、毎年一緒にお年玉を入金しにいく、引き出すときは目的をはっきりさせて親と引き出す、ということで大丈夫。お子さんが自分の口座があり、自分のお金を管理しているということをきちんとわかっていることが大切なのです。
ちなみにお子さんが大きくなって、アルバイトを始め、そのお金をためているというような場合も、それはお子さん自身のお金ですから贈与等の対象にはなりません。
子どもの口座で教育費をためている場合は?
お子さん名義の口座で、教育費をためている人もいますよね。この場合、少々注意が必要です。
お子さんにかかる生活費、教育費を親が支払う場合は、贈与税等の対象にはなりません。お子さん名義でお金をためても、教育費や生活費に充てるのであれば、課税されないのです。ですがせっかくお金をためたからと、200万円入った口座の通帳を、子どもの成人のお祝いに渡すなどしてしまうと、課税対象に変わってしまうことがあります。
使う目的により、課税、非課税が分かれてしまうのです。ここは気を付けておきたいところです。また、お金をためていたが使うチャンスがなかったという場合でも、非課税でお子さんにお金を渡せるチャンスがあります。
1つ目は、「教育資金一括贈与制度」「結婚、子育て資金の一括贈与制度」の利用です(2021年3月で終了予定でしたが、2年延長される見込みです)。教育資金は1500万円、結婚、子育て資金は1000万円まで非課税で渡せます。ただ、制度は何度か延長されて実施されているものの、いつまで継続されるかは不確かなので、将来的な心配をされるのであれば、2つ目の暦年贈与の活用もよいと思います。
暦年贈与とは1年間に贈与税が非課税となる控除枠の中で贈与する方法。ただし、この贈与から3年経過する前にご両親が亡くなったときなどは、相続税の課税価格に加算されるので注意が必要です。また、毎年の贈与額が控除額以下であっても、数年にわたって贈与するという約束がある場合は定期贈与とみなされ、課税される場合もあります。贈与契約書の準備などが必要になることもありますので、詳しくは税務署、もしくは税理士さんに相談をしてみましょう。
このように、子ども名義の口座を使ってお年玉や教育費をためる場合には気を付けるべきことがあります。口座を正しく管理・活用し、こんなはずではなかったとならないようにしましょう。

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