ふろしき身近に使えてますか? 多彩な応用ワザを紹介

昔からさまざまなものを包むのに使われてきたふろしき。現代の生活シーンでも活用できると、改めて注目されている。身近な用途に生かす使い方を探った。
ふろしきといえば繰り返し使える「元祖エコバッグ」。ふろしきのある暮らしを提案する横山功さんも、バッグを持たない生活を20年以上続けている。「サイズや包み方次第でさまざまな大きさや量の荷物に対応できる」という。
中身動きにくく ビン2本も楽々
現代的な利用法として教えてもらったのは、リュック風の包み方だ。かわいらしい柄や明るい色のものを使えばカジュアルな服装にも合う。
「真結び」という基本的な結び方を使う。根本をしっかりと引っ張るときつく締まり、運んでいる途中でほどけない。荷物が増えたら、持ち手を短くして袋の容量を増やすなど、結び直しも自在だ。


サイズが固定された既製のリュックに比べ「中身が動きにくい」と横山さん。開閉する部分に髪留めのシュシュを使うのもおすすめで「上手に布を結べない子供にもぴったり」という。

「こんな使い方もあります」と包んでみせてくれたのは、ワインのビンだ。一枚のふろしきに2本まとめて包める。1本ずつしっかりと布でくるまれているため、ビン同士がぶつかっても割れる心配が少なく、持ち運びも楽々。ふろしきのサイズを変えれば、日本酒の一升ビンやペットボトルなどにも対応可能だ。

ジュエリーデザイナーの滝野朝美さんは、横山さんの影響を受けて、今や毎日のようにふろしきを持ち歩く。寒いときはマフラー代わりに、荷物が増えたときは結んでエコバッグにと「形が変わる自由さが魅力」と話す。
便利なふろしきだが、選ぶ際の注意点もある。ふろしき専門店「東京唐草屋」(東京・中央)の大工原智子さんは「絹やレーヨンはぬれると縮むため、雨の日には不向き」と助言する。雨の日は水に強い綿や化合繊のポリエステルか、撥水(はっすい)加工されているものだと安心だ。
大工原さんによれば、天然素材の絹は高級品。冠婚葬祭など改まった場に向くという。同じ天然素材でも綿素材は丈夫で、重い荷物を運ぶのに適している。ポリエステルは軽くて耐久性がある。綿とポリエステルは洗濯機で洗えるため、日常使い向きだ。
ふろしきの大きさは「小、中、大、特大」に分類できる。用途に合わせて包みやすい大きさを選ぼう。横山さんは「まずは大と小を持っていると便利」という。大のサイズの目安は100センチ幅。スーパーのかごの中身くらいの量が包める。小の目安は50センチ幅。お弁当包みや小物をまとめるのに便利だ。「大は厚め、小は薄手で伸びやすい生地が使いやすい」(横山さん)
モダンな柄選び インテリアにも
物を運ぶだけでなく、インテリアや収納など、家の中でもふろしきは活躍する。整理収納アドバイザーyokoさんは、ティッシュケースを包んだり、季節や気分に合わせて壁に飾ったりする。「部屋になじむ淡い色やモダンな柄を選ぶといい」

最近ではイラストレーターが描いたポップな柄や幾何学模様のデザインまで絵柄も多彩だ。雑貨屋やネット通販を利用して探すのも手だ。
東京唐草屋に来る人の中には、オンラインミーティングの背景として、生活感の目隠しに使う人もいるという。「お気に入りのふろしきを背景につるせば、おしゃれにカバーできる」(大工原さん)
衣替えの際、防虫剤や除湿剤と一緒にオフシーズンの服を包むなど、収納グッズとして使う手も。容量が決まっている収納ボックスと異なり、かさばる服の増減に対応できる。
赤ちゃんがいる家では「ベビーグッズの収納にもおすめ」とyokoさん。ベッドの柱に結びつけることができるので、グッズがすっきりと片付き、持ち運びも簡単だ。
防災備蓄収納プランナーでもあるyokoさんは、防災用のリュックの中にもふろしきを入れている。いざというとき多様な使い方ができるからだ。止血などの応急処置や三角巾、マスクの代わりに使うほか、避難所では肩にかけたり体をくるんだりして保温もできる。床に敷けば敷物に、つるせば仕切りにと便利グッズにも早変わりする。
現代の暮らしに合わせ、暮らしの中に気軽にふろしきを取り入れていきたい。
(ライター 児玉 奈保美)
[NIKKEIプラス1 2021年2月20日付]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。