優里 YouTube「THE FIRST TAKE」は特別なステージ
TikTokに上げた、男目線の失恋ソング『かくれんぼ』が多くの人にカバーされ、一躍人気者となったシンガーソングライター優里。2020年7月には「THE FIRST TAKE」側からオファーを受け、「THE HOME TAKE」で同曲を熱唱。現在再生数は754万回を超え、彼の人気を加速させることとなった(20年12月16日時点)。

柔らかくもハスキーな歌声が特徴の優里だが、小学生の頃から好きだったボン・ジョヴィなどの洋楽をマネして歌うことで身についたという。SNSに動画を最初に上げたのは19年6月。ボーカルとして活動していたバンドが解散したタイミングだった。
「改めて自分の歌の力を試したくなったんです。中島みゆきさんや、サザンオールスターズさんなどの曲をアコースティックギターでカバーして、インスタグラム、ツイッター、TikTokに上げ始めました。徐々にフォロワーが増えるなかで、オリジナル曲もやりたい気持ちが生まれ、19年12月にできたのが『かくれんぼ』です。
もともと、『かくれんぼなんかしてないで』というサビのフレーズを携帯のメモに入れていて。そこから彼女を失った男性の心情を、物語を描くように膨らませていきました。ただ、この曲が完成するまでには相当苦労して……。普段カバーで歌っている人たちの曲がすごすぎるので、それに負けないようにと思うと、納得できる形になるまで時間がかかりました。
その甲斐もあってか、昨年の春頃から中学生や高校生の子たちが、TikTokに次々と弾き語り動画を上げてくれるようになったときは、たくさんの人に届いたことがすごくうれしかったですね」
マイクに鼻が当たって後悔
ネットを中心に話題となり、音楽ストリーミングサービスのチャートにも入るようになった結果、「THE FIRST TAKE」からのオファーも届いた。

「すごく好きで見ていたチャンネルだったので、うれしい反面、一発撮りで歌う『かくれんぼ』は本当に緊張しましたね(笑)。
昨年10月には『ドライフラワー』という曲で、2度目の『THE FIRST TAKE』に出演させてもらいました。『ドライフラワー』は、『かくれんぼ』のアフターストーリーで、別れた女の子側の目線も歌詞にしたくて書いたもの。当日は、サビの『声も顔も不器用なとこも/多分今も嫌いじゃないの』をはじめ、女性の気持ちを描いた歌の世界に入り込んで、イメージ通りに歌えました。ただ、マイクに1回鼻が当たっちゃったことだけは後悔してます(笑)。
『THE FIRST TAKE』は一度経験すると、また立ちたくなる特別なステージだなと思ってて。ただそのためには、また選んでもらえるよう、いい曲を作らなきゃいけない。昨年はメジャーデビューもできたんですけど、いろんなことに付いていくのに必死で……。今年は楽しみながらも、より多くの人に聴いてもらえる曲を作りたいなと思っています」
(ライター 中桐基善)
[日経エンタテインメント! 2021年2月号の記事を再構成]
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