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革の王様「コードバン」 ミニ財布なら価格もお手ごろ

革の特性で選ぶメード・イン・ジャパンのミニ財布(中)

NIKKEI STYLE

新しい年を迎え、金運アップの願いを込めて財布を買い替える人もいるだろう。最近の財布のトレンドは、携帯性に優れた手のひらサイズのミニ財布。スマートフォン決済などキャッシュレス化が進んだことで支持されている。形状のバリエーションも増え、自分に合った使いやすいものを選べるようにもなった。

そんなミニ財布をオン・オフ兼用で使う場合はレザーモデルを選ぶといいだろう。レザーであればミニサイズでも上品な印象を与え、ビジネスやフォーマルなシーンにも対応する。そこで、人気のミニ財布を経年変化や風合いが楽しめる革の種類別に紹介。今回は高級皮革として知られるコードバンのミニ財布を取り上げる。

丈夫で長持ち、独特な光沢感も魅力

コードバンとは、馬の臀部(でんぶ)からとれる素材。厳密に言えば革ではなく、臀部の表皮の下にある「コードバン層」と呼ばれる厚さ2ミリメートルほどの繊維層を指す。馬革自体の数が少ないことに加え、1頭から採取できるコードバンの量はごくわずかなため希少性が高い。

キメが細かく、しっとりとしたなめらかな肌触りが特徴。牛革の2~3倍の強度があり、メンテナンスをしながら使えば長期にわたって使用できる。ほかの皮革と比べて光沢感が強く、非常に硬質。重厚な見た目で希少性も高いことから「キングオブレザー」や「革のダイヤモンド」と称される。

靴や長財布などは10万円を超える物も少なくないが、使用する革が少ないミニ財布なら手ごろな価格で購入しやすい。一生モノと考えるとコストパフォーマンスが高いとも言えるだろう。

キーケース機能を搭載したミニ財布

ガンゾの注目作は、財布とキーケースが一体化した新感覚の「コードバン オーセンティック ウォレットキーケース」だ。ミニ財布はポケットに難なく入れられ、身軽に持ち歩ける点が最大のメリット。キーケース機能を搭載することで、荷物をよりミニマルにできるだろう。

欧州産の原皮を臀部のコードバンとボディー部に分け、国内で丁寧になめした馬革を使用。表革のコードバンにはアニリン仕上げを施し、透明感のある艶やかな表情を生み出した。内装には、タンニンでなめしたボディー部の馬革を使い、薄くて軽量ながらタフな財布に仕上げている。

財布を開くと中央にキーリングが5つあり、ファスナー式のコインポケット、フリーポケット、札入れを搭載。札を折りたたまずに入れられるため使い勝手が非常によい。外装にもカードポケットを備える。

「当社電子商取引(EC)サイトでは、再入荷してもすぐ完売してしまうほどの人気商品」と話すのは、ガンゾを展開するAJIOKAのプレス・松本菜摘氏。財布とキーケースを別々に持つ必要がなく、コンパクトながら実用性が高いことから支持されているという。

オイルで、折り曲げに対する耐久性を高める

馬具職人にルーツを持つブランド、ソメスサドルのコードバン製品には定評がある。18年11月に発売された「ディアマン スマートウォレット」は、ハイクラスなコードバンシリーズを求めるユーザーの声から生まれたワンランク上のミニ財布だ。ディアマン(diamant)はフランス語でダイヤモンドの意で、そのモデル名にふさわしい素材選定と仕上げが施されているという。

表革には、オイルをしっかりと浸透させたオイルコードバンを使用。硬質なコードバンは、丈夫だが割れやすい性質を持つが、オイルを染み込ませることで、折り曲げに対する耐久性を高めている。曲面のある二つ折り財布も、表面が割れず美しさを保つことができる。

仕上げには、革の表面をガラスなど凹凸のないもので圧力をかける「グレージング」を施してある。革に圧力をかけ、摩擦による若干の熱を加えることで、コードバン特有の光沢と艶を生み出している。

収納部には札入れ、ホック式のコインポケット、縦型のカード入れを搭載。紙幣も折りたたまずに入れられる。内装は、ソフトな手触りと自然な光沢が特徴のカーフレザー(生後6カ月以内の子牛の革)を使用している。

ソメスサドルの営業部・川崎晋範氏は「ディアマン スマートウォレット」について「20年の売り上げは前年比約120%の実績だった」と話す。使用頻度の高いカード、必要最低限の現金をコンパクトに持ち歩けることから、30~40代のビジネスパーソンを中心に支持されているという。

独立したファスナー式のコイン収納を搭載

生産をすべて日本国内で行い、馬革を用いたレザーアイテムを展開するブランド、ジ・ウォームスクラフツ マニュファクチャー。今回紹介する「コードバン製コンパクトウォレット Mini Spite」には、馬革専業のタンナー・新喜皮革によるオリジナルコードバンを使用している。

革の表面にホワイトワックスを塗布したロウ引き仕上げのコードバン。白っぽく浮いて見えるロウは使うほどになじんで透明になり、それぞれに美しく色付けされた革本来の色合いが、独特の艶感とともに現れてくるという。

札入れとカードポケットに加え、独立したファスナー式のコイン収納を搭載。コイン収納内には別にカードポケットも装備されているので、ワンアクションでカードとコインが取り出せるほか、見開きが大きく視認性にも優れる。収納力にもたけており、コンパクトサイズながらメインの財布として活躍するだろう。

内装にもホースハイドをぜいたくに用いた、フルレザー仕様も見逃せない。細かな型押しを施した顔料仕上げのホースハイドは、汚れや傷が付きにくく、ほどよい光沢感があり外装のコードバンとも相性がよい。

18年9月に発売した本作。同社によると、「コードバン製コンパクトウォレット Mini Spite」の20年の売り上げは前年比約150%以上の実績で「当社のコードバン製財布のなかでもベスト3に入る」(ジ・ウォームスクラフツ マニュファクチャー旗艦店店長兼プレス担当・門元久実氏)。女性の手にも収まりのいいサイズ感と、丸みのあるデザインで男女ともに人気が高く、購買層も20~60代と幅広いという。

(ライター 津田昌宏、写真 野町修平=APT、スタイリング 宇田川雄一)

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