ゲームの中で新曲イベント ビッケブランカ&岡崎体育
インタビュー ビッケブランカ&岡崎体育(後編)

コラボシングル『化かしHOUR NIGHT』をリリースしたビッケブランカと岡崎体育。前編『ビッケブランカ&岡崎体育 2人の出会いはゲーム』では2人が知り合ったきっかけがオンラインゲームだったというエピソードやゲームと音楽の関係について聞いた。後編では曲やミュージックビデオができあがるまでの過程、そして「これは革命だ」と感じたというゲーム内配信イベントでの出来事について聞いた。
◇ ◇ ◇
――コラボシングル『化かしHOUR NIGHT』の曲作りはどうやって?
岡崎 ビッケさんがトラックとサビの歌詞を作ってくれたので、それを見ながら歌詞を足していきました。2人ともあまり性格が明るくなくて「忌み嫌われているんじゃないか」という疎まれ感を持っていたので、それを歌詞にしてみたんです。
僕とビッケさんは年代も近く、よく似ている。ビッケさんを見ていると、まるで自分を見ているようだと思い、それも歌詞にしました。そうするとエモーショナルな内容になってしまったので、これは友情ソングだなと。
ビッケ 2人ともオンラインゲームをやっているからネットが安定していて、データのやりとりもスムーズ。いまの状況に適した環境だったことも幸いしました。
――MV(ミュージックビデオ)は古い家庭用ゲーム機のイメージ。あのMVはどうやってコンセプトを決めたんですか。
ビッケ 僕らがどういうものを作りたいかということを監督の加藤マニさんに伝え、あとはお任せしました。これは僕の解釈ですが、ゲームが企画になったという実際の出来事を表現しつつ、レトロゲームの時代から現代のDJセットに舞台を移すことで長い時間をかけて友情を育んできたというメッセージ性を表現しているのだと思います。
岡崎 仕上がりを見て、とても楽しいMVができたなと思いました。特にきつねとたぬきの2人がDJするシーンがかわいくてお気に入りです。
ビッケ 撮影にはほぼ丸1日かかったんです。僕はずっと元気だったんだけど、体育さんは前日ゲームして2~3時間しか寝てなかったらしく、どんどん元気がなくなっていく(笑)。最後はナチュラルハイに追い込もうとしていて空回りしていました。
岡崎 全くその通りで、ビデオを見てもらうと分かるんですが、後半はどんどんまぶたが腫れていく。疲れが如実に映像に出ていましたね。
ゲーム内に黒服を招請
――新曲発売のイベントを『フォートナイト』で開催しました。
ビッケ 最近はアーティストのゲーム配信も増えてきているけど、体育さんと僕は昔からやっていたので、その楽しさは知っていました。だから配信でなにかできないかと考えたときに、すぐにミート&グリートができるんじゃないかって思いついたんです。
いつもライブのあと、ミート&グリートでファンの人と直接握手したりしています。僕はミーグリが大好きで、できれば全員とやりたいほど。オフラインだとそれは難しいけど、ゲームならやれる、コロナ禍でステイホームしながらマルチワールドで楽しめるじゃないかと。
岡崎 ただゲームの中だから、法律もなにもない。みんな武器を持っているから、攻撃しようと思えばいくらでもできる(笑)。実際、1回目はフーリガン状態で、みんなが爆弾やら攻撃やらで暴れたので、ミート&グリートは実現しませんでした。そこで、セキュリティーを用意することにしたんです。
ビッケ 3回目の配信では、体育さんの友人のよっしーさんと、僕の友人のUKくんをセキュリティー(黒服)として呼びました。そしたら、参加者がちゃんと僕らの意図を理解してくれて、ブースの前に列を作って静かに並び始めたんです。それを見て、「これは革命だ」って感動しました。ゲームでも、ちゃんと気持ちは伝わるんですね。

――ゲーム内でライブする予定は。
ビッケ 特に予定はないですけど、できたらいいなとは思いますよ。
岡崎 『太鼓の達人』みたいな音ゲーで僕たちの映像が流れて、100人ぐらいで同時にプレーして1人でもミスするとシャットアウトするというのはどうかな。面白いと思うんだけど。
ビッケ 面白そうだけど、めちゃくちゃしんどそう(笑)。
――ゲーム内も楽しいですが、ライブでも聴きたいですね。
岡崎 昨年、大阪の万博公園で野外フェスに出たとき、ビッケさんのステージで『化かしHOUR NIGHT』をやらせてもらったんです。あれは本当に楽しかった。あの場で一番楽しんでいたのは、間違いなく僕ら2人だったと思います。僕はステージでいつも1人で戦っているので、仲間がいるという喜びをかみしめました。
ビッケ 体育さん、なんか『化かしHOUR NIGHT』以降、キャラかわったんじゃないですか? 前は「仲間がいる喜び」なんてエモいこと、言わなかったはず。でも、本当にそうでしたね。楽しかった。
おかざきたいいく 京都府出身の男性ソロプロジェクト。2016年4月に公開した「ミュージックビデオあるある」を題材にした「MUSIC VIDEO」のミュージックビデオが大きな話題を呼ぶ。CMやドラマ、映画出演などマルチな活動を行いながら、19年には自身がデビュー前より夢と語ってきたさいたまスーパーアリーナでのワンマン公演を成功させる。

作曲と編曲をビッケブランカ、作詞をビッケブランカと岡崎体育が共作した、アップテンポなダンスミュージック。ミュージックビデオもレトロなテレビゲームがモチーフに。(Avex trax/1000円税別)
(ライター 井上真花=マイカ)
[日経エンタテインメント! 2021年1月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。