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二階堂ふみさん 紅白で発揮、分をわきまえた自己表現

2021年を迎えました。昨年は思いがけない社会環境の変化に戸惑うことも多々ありましたが、そうしたなかでも、明るい出来事や新たな日常に向けた前向きな兆しを感じる話題もあったように感じます。

(イラスト:川崎タカオ)

そのうちの一つが、大みそかに放送された「第71回NHK紅白歌合戦」です。今回の紅白の平均世帯視聴率は、午後9時から同11時45分の第2部で40.3%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)。前年と比べ+3.0ポイントとなり、2年ぶりに40%台を回復しました。新型コロナウイルス禍で在宅率が高かったことも影響しているとはいえ、視聴者からは番組について「今回は安定感のある内容で見応えがあった」「司会者3人のバランスがとても良かった」「歌の素晴らしさを存分に楽しめた」と、高評価の声が数多くあがっています。

的確な仕切りに称賛の声

なかでも、番組スタートからツイッターをはじめネットで称賛の声が続々とあがっていたのが、紅組司会を務めた女優の二階堂ふみさんの良質な声と滑舌の良さなど、安定感あふれるMCとしての力についてです。

さらに、視聴者が二階堂さんに好感を抱いたことがわかるのが、衣装に関するコメントでした。

「紅組の歴代司会者って着物とかドレスが多かったけど、二階堂ふみさんは赤のパンツスーツから黒のパンツスーツへ。かっこよすぎ」「歌手よりも目立とうとしない衣装が上品ですてき」など、二階堂さんの「紅白の主役は歌手の皆さんの歌声である」という分をわきまえた上で自身の役柄に徹する心得と姿勢、さらに華やかな衣装に身を包まなくとも美しさと上品さを自己表現できている姿は、多くの視聴者を魅了しました。

この二階堂さんの「分をわきまえつつ役に徹し、しっかり自己表現する」というパフォーマンスを総括していたのが、「これが令和の時代の紅白なんだな」という視聴者からのコメントです。

確かにこれまで紅組の司会を務めてきた女優さんたちは華やかで美しく、私たちの目を楽しませてくれました。司会進行に少々たどたどしさがあったとしても、それはご愛嬌(あいきょう)とされ、周囲の男性司会者たちにフォローされながら華としての役割をしっかり果たしていたように思います。平成という時代は「守ってあげたい、応援したいアイドル」が台頭したこともあり、むしろ、少し不完全なくらいの表現者を世の中が求めていたのかもしれません。

その流れからすると、男性司会者2人と同じパンツスーツの装いでシャキっと並んでいる二階堂さんの姿は、明らかにこれまでの紅白とは違っていました。しかも、明瞭な発声と的確な言葉でハキハキと仕切る様子は、「紅白のMVPは二階堂ふみちゃん」という声まであがっていたほどです。

「分をわきまえつつ役に徹し、しっかり自己表現する」

この心得と姿勢は、どのような業界や業種であっても効果を発揮する仕事ぶりといえるでしょう。このプロジェクトでは何が主役なのか、この現場では何をアピールすればよいのか、ビジネスシーンには必ず注目させるべき対象があります。このポイントをおさえられていないと、焦点の合わない発言や行動が生まれてしまうものです。重要ポイントをおさえた上で、自分自身の役割やパートがどの部分にあるのかを把握し、役割を全うすることができれば、チームや組織全体において「適材適所の人材である」という評価を得ることになります。

ただし、適材適所の人材であると評価されることが前提だとは言え、自身のキャリアを構築する上では、独自の能力や今後の可能性についてアピールすることも大切です。

的確な自己表現で能力をアピール

実際、二階堂さんは目立つために豪華な衣装を必要とせずとも、パンツスーツ姿と的確な仕切りによって「こんなにスタイルが良い女優さんだったんだ」「MCの基礎をおさえた安定感とバランス感覚が抜群」という新たな気づきを視聴者や世の中に与え、二階堂さんならではの魅力と今後のさらなる可能性を発信することができました。

さらに、ディズニースペシャルメドレーのコーナーでは、素晴らしい歌唱力をも披露し、二階堂さんの万能さを多くの視聴者が目の当たりにしました。

過大な自己主張をしなくとも、しっかりと自己表現ができていたのです。

この結果は「来年も二階堂ふみちゃんに司会してもらいたい」という多数の続投希望の声にも表れています。

ビジネスシーンにおいても、的確な自己表現は「次もあなたの会社、あなたに頼みたい」という契約更新や新規獲得につながります。

「分をわきまえつつ役に徹する」「しっかり自己表現する」

この2つは一見、相反する気もしますが、二階堂さんのように、まずはこの場での主役は誰なのか?というポイントをおさえ、自身の役割を全うするための基礎力を発揮しつつ、場になじんだ独自性を表現することができれば、相反する2つの役割を両立させることも可能です。

新たな日常のなかでスタートした2021年。変化した社会環境に戸惑うこともありますが、新たな日常だからこそ発揮しやすい進化した自己表現の形を探ってみてはいかがでしょうか?

「分をわきまえつつ役に徹し、しっかり自己表現する」独自のスタイルを確立できれば、自分自身が望む道も開かれるように思います。

鈴木ともみ
 経済キャスター。国士舘大学政経学部兼任講師、早稲田大学トランスナショナルHRM研究所招聘研究員。JazzEMPアンバサダー、日本記者クラブ会員。多様性キャリア研究所副所長。地上波初の株式市況中継番組を始め、国際金融都市構想に関する情報番組『Tokyo Financial Street』(STOCKVOICE TV)キャスターを務めるなど、テレビ、ラジオ、各種シンポジウムへ出演。雑誌やニュースサイトにてコラムを連載。近著に「資産寿命を延ばす逆算力」(シャスタインターナショナル)がある。

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