ブログ、フォロワー数1位は市川海老蔵 2位は小林麻耶
SNSタレントパワーランキング2020
気になる人をフォローし、好きな記事に「いいね」や「コメント」などのリアクションをとれるブログは、広義の意味でSNSに含まれる。今回は、そのなかでも利用者数6700万人という日本最大規模のブログサービス「Amebaブログ(アメブロ)」を利用する芸能人やタレントについて調査を行った。

フォローする人の投稿がタイムラインに自動的に流れるツイッターなどと異なり、アメブロではフォローしたブログの更新情報がホームの「フォローフィード」に表示され、そこから記事ページに移動する仕組み(プッシュ通知やメール通知機能もある)。つまりアメブロのフォロワーは、投稿を自らの意思で読みにいく熱心な読者といえる。
フォロワー数ランキングで1位となったのは、243万8046人の歌舞伎役者・市川海老蔵。これに小林麻耶(167万1395人)、北斗晶(135万51人)が続く。なお、4位の辻希美(100万1474人)までが、フォロワー数100万人を超えている。
アメブロではいわゆる「ママタレ」が支持を集め、また男性芸能人でも、8位の水嶋ヒロや10位の杉浦太陽ら、子供や家族との触れ合いを伝えるブログが人気だ。
ちなみに、水嶋は2019年1月、9位の渡辺直美は19年3月にそれぞれブログを開設。約1年半で40万人以上のフォロワーを集め、トップ10入りを果たした。渡辺は様々なSNSを使用するが、アメブロでは長文での近況報告や、読者に質問を投げてコメント欄に回答してもらう取り組みを実施。SNSごとの特性を生かした活用を考えているようだ。

思いを深く伝える場に

新規にアメブロを開設する芸能人も多い。20年も表のタレントを筆頭に参入が相次いでいる。20年の新規組でトップに立ったのは、30万人のフォロワーを集めた15位の草彅剛。これに26位の宮迫博之が続く。宮迫は、20年1月29日にアメブロとYouTubeを開設。当日のブログには「今の気持ち」と題して、闇営業問題への謝罪と、YouTube開設への思いなどを書き連ねた。その後はプライベートでの出来事や、YouTubeの裏話などを伝える場として活用している。
アメブロの文字数は、1投稿で半角6万文字まで。この特性を生かし、先の渡辺や宮迫のように自身の思いを伝える場として活用する芸能人が多いようだ。コンビ結成20年という節目にあたる、20年5月15日に開設したNON STYLEの井上裕介もその1人。当日の投稿にて、「ツイッターの140文字以外の形で、何か人生の記録として残るものを書きたかったのです」とブログをスタートした思いを説明している。
このように、ブログでは人生における大事な局面での思いをつづる人物も多い。これは、長文を書き込める特性に加えて、他のSNSのように過去の投稿が流れずに蓄積され、かつ検索もしやすい点も要因だ。
芸能人が自身の思いをしっかりと伝えることから、ブログ記事は芸能ニュースの情報源としても存在感を示している。例えば、杉浦太陽は、新型コロナウイルス感染後、退院の報告と家族への感謝の気持ちをブログにて発信。多くの記事にて取り上げられた。
アイドル勢に熱いコメント
長文を書き込むだけではなく、ツイッターさながら短い文章を投稿するタレントも増えている。その筆頭が、フォロワー数トップの市川海老蔵だ。「投稿数ランキング」を見てほしい。市川は、調査対象期間の20年1月から9月の間の274日で、なんと7268回も投稿。1日平均26回更新している計算となる。

市川のすごさは、投稿数だけではない。「いいね!数ランキング」と「コメント数ランキング」を見ると、この膨大な投稿に対してリアクションがあることが分かる。

また、自分のブログに他人を引用する「リブログ数ランキング」でも1位であることは、市川の内容に共感し、他の人にも伝えたい考える読者が多いことを示している。ちなみに、いいね!の数は1投稿あたりの平均が約5258、コメントは約70。彼は、子供たちの日々を写真とともに投稿することが多いが、フォロワーはまるで親戚のようにその成長を見守り、記事にリアクションを返しているのだ。

投稿数は多くないが、坂上忍が「いいね!数ランキング」と「コメント数ランキング」の両方で2位に入った。司会を務める情報番組『バイキング』などで時に辛らつな意見も述べる坂上だが、ブログでは日々の出来事をペットの写真とともに投稿。時にはペットと戯れる写真もあり、テレビとのギャップが人気のようだ。このほか北斗晶、堀ちえみもこの2指標で上位に入り、フォロワー数とリアクションの両面でパワーを持つことが分かる。

クリックで気軽にアクションを起こせる、いいね!に対して、コメントはそれなりの時間と労力を要する。コメントが多いということは、思いを伝えたいと考えているファンが多い証明といえるだろう。
「コメント」で目立つのは、アイドル勢だ。Juice=Juice、つばきファクトリー、祭nine.、アンジュルム、NMB48とトップ10の半分を占めている。この5グループはいずれも、メンバーが日替わりで、時には同日に何人もが続けて投稿。その内容は出演したイベントやテレビ番組の裏話から、プライベートでの話まで実にバリエーション豊かだ。
アイドルグループのコメント欄をチェックすると、過去の投稿に対して数カ月後にコメントをつけるファンも多い。投稿が蓄積されるブログだからこそ、他のSNSとは異なる利用のされ方がなされていることが分かる。
(ライター 羽田健治)
[日経エンタテインメント! 2020年12月号の記事を再構成]
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