
量子技術の研究・進歩、分断で鈍る懸念 佐々木雅英氏
パクスなき世界 情報通信研究機構フェロー
[有料会員限定]
量子技術の開発競争が激しさを増している。量子コンピューターは材料開発などに革新をもたらす可能性を秘め、量子暗号を使えば不正なデータ解読を防げる。産業競争力や安全保障に影響を及ぼすとみて、米国と中国は技術面でも覇権を争う。研究の発展に及ぼす影響などについて、情報通信研究機構の佐々木雅英フェローに聞いた。
――量子技術への関心が高まっています。
「量子技術が世の中を変えると言い続けて15年ほどたつが、ようやく製品化やサービス化の段階に来た。第1陣のイノベーションが始まりつつある。おおげさかもしれないが『量子』というキーワードで人類が次の大きな変革の入り口に立とうとしている」
――中国の研究力が向上しています。
「中国は米欧のトップ大学への若者の留学を戦略的に進めてきた。その研究者たちが国内に戻って拠点を構えた時と、量子技術の発展期がぶつかり、爆発的に躍進している。中国国内の競争は激しく、それを...
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。
残り917文字

新型コロナウイルスの危機は世界の矛盾をあぶり出し、変化を加速した。古代ローマの平和と秩序の女神「パクス」は消え、価値観の再構築が問われている。「パクスなき世界」では、どんな明日をつくるかを考えていく。