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21年度から何が変わる? 政府予算案、最大の106.6兆円

政府の2021年度予算案は一般会計総額が約106兆6097億円と過去最大を更新した。20年度第3次補正予算案と合わせた「15カ月予算」として新型コロナウイルスの感染長期化に対応する。暮らしや経済への影響などポイントをまとめた。

コロナ対策、2年目に

新型コロナウイルス感染症への対応に20年度第3次補正予算案と合わせて対策費を確保する。感染の拡大防止のためにワクチンの接種体制を整えるほか、逼迫する医療提供体制を強化するなど2年目を迎えるコロナ対策の充実を図る。

感染の拡大予防に期待のかかるワクチンを巡っては、米製薬大手ファイザーが国内初の薬事承認を申請した。早ければ21年2月にも承認される可能性がある。

政府は3次補正で接種体制の整備や接種の実施に向けて約5700億円を計上した。接種費用は国が負担する。厚生労働省は自治体に対して、医療従事者は2月下旬から、3千万~4千万人程度を見込む高齢者は3月下旬をメドに接種体制を整えるよう指示しており、年度内の接種開始に向けた作業を急ぐ。

すでに調達のメドがたっているファイザーなど海外製ワクチンのほか、国産ワクチンの開発支援や治療薬の開発などに向けて補正で約1600億円を手当てした。

感染の第1波でボトルネックとなった検査体制も引き続き拡充する。必要な検査需要に対応できるように保健所や医療機関などで実施するPCR検査や抗原検査の費用を確保する。検査キットの買い上げも実施する。

検査や療養患者の体調フォローなどコロナ対策で最前線を担う保健所の体制も整える。21年度予算案に必要な予算を計上し、緊急時に都道府県を超えて保健師を応援派遣できるようにする仕組みを創設する。東京五輪の開催を見据え、訪日外国人観光客の健康状態をフォローするアプリ開発などシステムも整える。

医療体制を整備するため、重症者用の病床や軽症者用の宿泊療養施設を確保するための費用として、都道府県向けの交付金も1兆円以上積み増した。

受診控えで経営が悪化している医療機関を支援するため、6歳未満の子どもの外来診療に対する診療報酬を1000円上乗せする特例を設け、予算で手当てする。

21年度予算案には予備費として5兆円を計上し、感染が一段と広がってコロナ対策が長期化する事態に備える。

政府、デジタル化の遅れ挽回急ぐ

政府は新型コロナウイルスで浮き彫りになった政府の電子化の遅れを挽回するため、21年に新設する「デジタル庁」の関連予算を計上した。省庁別に進めてきたシステム開発・整備を一括管理し運用経費の削減や連携を進める。自治体システムの統一やマイナンバーカードの普及に使う財源も確保した。

デジタル庁は21年9月1日に設立する。内閣官房のIT(情報技術)総合戦略室などが母体となる。

政府はIT関連のうち、システム分野の予算を段階的にデジタル庁に一元化する。21年度予算案で全体の4割にあたる3千億円分を回し、22年度以降に残った分の移管をめざす。

これまで各省庁がばらばらにシステムを調達し、重複したシステム投資が生じるなど費用が高止まりしがちだった。同庁が一元管理して各省庁のシステムの標準化を急ぎ、必要な情報が円滑に行き交う環境を整える。政府共通のクラウドも導入しやすくする。

デジタル庁は500人規模の組織として発足し、民間人材を100人強採用する方針。平井卓也デジタル改革相は「民間の実態を踏まえた給与体系を検討する」と表明し、人件費など経費に81億円を計上した。

地方自治体の情報システムの仕様も統一する。クラウド導入などを念頭に25年度までに仕様統一を義務付ける新法を定める。20年度第3次補正予算案で自治体を資金面で支援する基金などに1800億円近く計上した。

従来は各自治体が個別発注してきたため、独自の仕様が乱立しデータ連携が進まなかった。共通仕様で国と自治体間の連携につなげ、全国一斉に行政サービスを迅速に実現する体制をめざす。

国や自治体のシステム投資とは別に、デジタル庁が推進する事業の柱となるのがマイナンバーカードの普及だ。行政サービスのオンライン手続きに活用する手段と見込んでいる。自治体にはカードを使ったオンライン申請に必要なシステム整備費用を支援する。

現在のカード普及率は2割台で、22年度末にほぼ全国民に行き渡る状態をめざす。20年度第3次補正案に250億円を計上し、カード所有者向けの消費喚起策「マイナポイント」の付与対象を広げる。現行の取得期限である21年3月から同年9月末まで半年延長する。

脱炭素基金2兆円、技術革新促す

脱炭素社会の実現に向けて手厚い予算を確保する。企業の研究開発を後押しする基金の創設に20年度第3次補正予算案で2兆円を計上。水素や再生可能エネルギーなどの分野で30年時点の開発目標を国が設定し、拠出を受ける企業側に達成に向けた経営トップの関与や事業計画の提出を求める。50年の温暖化ガス排出量実質ゼロに向けて技術革新を促す。

基金からの支援に際して、まず国が各重要分野において30年時点で目指すべき性能や価格、二酸化炭素削減率といった目標を設ける。企業は経営トップが関与し、目標達成へ長期的な事業戦略を提出する。技術革新に向けた社内体制の整備方針などを記載してもらう。

企業側に目標達成への強いコミットを求める代わりに最大10年間の長期にわたって支援していく仕組みだ。基金は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に設ける。案件の公募は21年中に始める。

支援先は脱炭素社会を実現する上で欠かせない技術を中心に選定する。特に重点を置くのが再生可能エネルギーなど電力のグリーン化と、車などの電化だ。電動車や再生エネの大量導入に向けてインフラとなる低コストで大容量の蓄電池の開発に期待がかかる。水深が深い日本の海にも設置が可能で、関連産業の裾野も広い「浮体式洋上風力」も有望な支援候補だ。

生成が容易で燃焼時に二酸化炭素を排出しない水素関連技術も重要分野と位置づけた。高い水素調達コストが普及をめざすうえで課題となっている。水素製造装置の大規模化や低コスト化に向けた技術開発を支援する。水素を活用した火力発電や、石炭の代わりに水素で鉄を作る水素還元製鉄などが有望視される。二酸化炭素を素材や燃料として再利用するカーボンリサイクルも進めていく。

20年度第3次補正予算案と21年度予算案で、洋上風力発電の導入拡大を進めるための財源を手当てする。政府は40年までに最大4500万キロワットの導入を目指している。

風車部品の高度化など研究開発事業に関する財源も確保する。

バイオジェット燃料の商用化へ二酸化炭素を集中的に吹き込んで微細藻類の成長を促進させる培養技術の実証事業も行う。発電効率が高い次世代火力などの開発事業には約162億円を計上した。

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