おうち時間を楽しく彩る 文具女子博の注目アイテム
今旬ときめきステーショナリー

日本最大級の文具の祭典「文具女子博2020」が11月27日~29日の3日間、東京流通センターで開催されました。今年は新型コロナウイルスの影響で仙台・名古屋で予定されていた開催は中止となりましたが、東京については様々な感染対策を講じることで実現にこぎ着けました。今年の注目は「文具女子アワード」の規模拡大です。各出店メーカーが自慢の文具を1商品エントリーし、 当日来場者がイチオシの文具を投票するこのアワードに、女子ならではの視点をテーマにした「ときめきデザイン賞」と「胸キュン便利賞」が新たに加わりパワーアップ。そこでアワードを受賞した注目の新作文具を詳しく解説します。
大賞はマスキングテープと周辺ツールの「Bobbin」
文具女子アワードのノミネート商品の中で、最も多くの文具女子の心をつかんで大賞に選ばれた文具はコクヨの「Bobbin(ボビン)」です。「マスキングテープと"もっと"楽しく」をコンセプトに開発された、小巻サイズのマスキングテープと周辺ツールの新シリーズ。ユーザー一人ひとりのニーズに合わせて、もっと便利にもっと楽しくマスキングテープを使うことができます。

懐かしく愛らしいデザインが特徴の「Bobbin」は、ミシンの糸をボビンに巻く感覚でマスキングテープを便利に活用できるツールです。マスキングテープを使っているときに感じる、収納スペースがさかばったり、交換するときにいちいち巻くのが面倒……といった悩みを解消してくれる文具です。文具女子博で先行発売、一般発売は2021年1月を予定。

かわいくてついつい買ってしまったマスキングテープを「コマキキ」を使い「ボビン芯」に巻き替えることでコンパクトなオリジナルボビンテープをつくることができます。「コマキキ」の裏のカバーを開け、空の「ボビン芯」と好きなマスキングテープをセットします。


あとはくるくる回すだけ。回している感覚がクセになってとても楽しいです。マスキングテープはテープ幅15ミリ、内径18~40ミリ、外径50ミリ以内に対応しています。簡単に手持ちのマスキングテープを小さく巻き替えることで、オリジナルのボビンテープができます。

巻き替えたオリジナルのボビンテープは別売りのカッターに入れて手軽に使うことができます。外出先でマスキングテープが汚れたりペンケースの邪魔になるときは「カッター付きケース」に入れるとコンパクトに収納できます。ボビンをたくさんつくってマスキングテープユーザーと交換して使ったりと保存や収納だけではなく、マスキングテープの使い方の幅が広がる文具が見事大賞に輝きました。
ボビンテープ(マスキングテープ・3個入り)は380円(税抜き)、コマキキは600円(税抜き)、ボビン芯は300円(税抜き)、カッター付きケースは450円(税抜き)、プチカッターは320円(税抜き)。
優秀賞と胸キュン便利賞のW受賞「フセンマーカー」
ノミネート商品の中から2位と3位の商品が選ばれる「優秀賞」と、文具女子が「この商品使いたい!」と商品の機能性に胸を打たれた商品が受賞する「胸キュン便利賞」のW受賞を果たしたのがカンミ堂の「フセンマーカー」です。

勉強や読書で強調したいところにマーカーペンを引きたいけれど「本にマーカーペンで線を引くのには抵抗がある」「ラインを引きすぎて、本当に目立たせたいところが埋もれてしまった」といった悩みが多くあります。一般的なマーカーペンで引いたラインは失敗したときや不要になったときに修正がきかないため抵抗がある方も多いのではないでしょうか? そんな抵抗感を解消させてくれるのが新発想のラインマーク用フィルムふせん「フセンマーカー」です。価格は各480円(税抜き)。

フセンマーカーには、カンミ堂独自のふせんの小巻き製法によって極細の芯に巻きつけた「6ミリ幅×5メートル」のロール状フィルムのふせんが内蔵されています。フセンマーカーを横にスライドさせることでフィルムが貼りつき、ペンでラインを引く感覚で文字上にふせん引くことができます。使い方は簡単でふせんの端を本体から少し引き出し、線を引きたい部分の冒頭にふせんの端を貼り付けます。

紙面に沿って本体を引いて貼ります。「紙面に引きながら貼る」ことで、使いたい長さに合わせてきれいにラインを引けます。写真の人さし指の部分を押すとテープを切る刃がでるので、線を引き終えたら押し込んで本体を浮かせながらふせんを切ります。フィルムふせんは、全面がのりになっているため、紙にぴったりと貼りつき端がはがれません。

フセンマーカーは1つで5メートル使えますが、使い切ったらリフィルを交換できます。きれいに貼ってはがせるうえ、半透明で下の文字を隠さないというカンミ堂のフィルムふせんの特長が生かされた商品が見事W受賞を果たしました。
優秀賞はオリジナルカラーペンがつくれる「からっぽペン」
もう1点「優秀賞」を受賞したのが呉竹の「からっぽペン」です。「からっぽペン」は、文字通り中身の入っていないからっぽのペン。19年12月に開催された「文具女子博2019」で限定販売したところ、早々に品切れになるほどの人気でした。20年3月に0.4ミリ芯の「ほそ芯」が正式発売されました。そして7月に筆ペンタイプの「ほそふで芯」が加わりました。

「からっぽペン」は、お気に入りのインクを充てんし、パーツを組み立てると、オリジナルカラーのペンがつくれるというものです。いろんなインクを使いたいけれど、万年筆をたくさん買うのにはお金がかかる……という人におすすめです。ペン先は0.4ミリ芯の「ほそ芯」と筆ペンタイプの「ほそふで芯」の2種類で、各種類単品セットがあります。ほそ芯は1本200円(税抜き)、ほそふで芯は230円(税抜き)と求めやすい価格もうれしい。

「からっぽペン」は簡単に組み立てられて、気軽に持ち運びできます。キットには、キャップとボディーがセットになっていている本体、綿芯、尾栓、ラベルが入っています。

綿芯をインクに浸し、8割程度吸い上げさせます。インクを吸った綿芯の周囲についたインクを軽くふき取り、本体に差します。キャップを上に向けた状態で尾栓をゆっくりと押し込めば完成です。

ほそ芯は0.4ミリと細字でサインペンのような書き心地です。ほそふで芯は筆圧で線の強弱がつけられる硬筆タイプ。線の太さをほどよくコントロールできます。万年筆のインクを入れ替えるのには手間がかかります。色々な色を使いたいけれど、ペンをそろえるのにはなかなかお金がかかるといった不満を解消してくれます。自分の好きなインクをメモや手帳に書き込むといった身近なシーンで活用できるのが「からっぽペン」の魅力です。
ときめきデザイン賞は「きのこの日付回転印」
今年新たに加わった「ときめきデザイン賞」。文具女子が「このデザインかわいい!」と、商品のデザインにときめいた文具に贈られる賞で、見事受賞を果たしたのがAlisa &あかめがねの「きのこの日付回転印」です。「ありさ&あかめがね」は飼い猫「ダリ」が主人公の物語の世界をもとに主にスタンプの文具をつくる2人組のユニットです。

「きのこの日付回転印」はハンコでおなじみのサンビーとのコラボレーション商品です。日付回転印という種類のハンコで、回転印とは数字や番号を回転させてなつ印できるハンコです。数字やコード、連番管理などで手書きの手間を省くことに利用されますが、特にここ数年は手書きの手帳の需要が高まり日付スタンプとして活用する方が増えています。

「きのこの日付回転印」は、精密なイラストが特徴です。日付は2019~2030まで使えます。2030年以降は日付回転印部分を交換して使うこともできます。日付表記は、月・日付・西暦の順になっています。回転印は日付変更歯車を回し、使いたい日付に合わせて使います。全体の絵柄と日付の部分が分かれているので、印面台の高低差を自分で調節してから使うのがポイントです。とても細かい図案で出荷前に一点一点、押印し検品してから出荷するほどこだわりが詰まったハンコです。価格は4980円(税抜き)。

実際に押したハンコがこちらです。美しい絵画のようなデザインで、木からキノコが生えている臨場感が伝わるイラストです。一般的なハンコは主線が太いのですが、ありさ&あかめがねのデザインは銅版画のような繊細な線が魅力。ハンコを押したときに感動が詰まっています。

ありささんにご提供いただいたハンコの見本です。ハンコの上から色を塗るなどアレンジを加えると絵本のようなイラストが完成します。おすすめのスタンプ台は「バーサファインクレア」。なつ印が早く乾いてにじみにくく、細かい図案やインクで塗りつぶされている面がきれいにおせるのが特徴です。美しいデザインと世界観が見事「ときめきデザイン賞」に輝きました。
コロナ下で「おうち時間」を充実させる文具に注目
2017年にスタートした「文具女子アワード」は今年で第4回目を迎えました。年々趣向を凝らした商品が登場しており、今まではデザインが重視されたものが多く、かわいらしさやオシャレさに目が行きがちでしたが、今年は見た目と機能面の双方を兼ね備えた文具が多く登場した印象です。特に文具女子アワードを受賞した文具すべてに共通することは「自分らしく使える」点です。例えば「Bobbin」はマスキングテープの収納・利用・交換に使えたり、「フセンマーカー」は読書や勉強で好きな色のふせんを好きな位置に貼れたり……というように「私はこういう使い方をしたい!」という個々の理想を実現させてくれる文具が増えた印象です。
今年はコロナ禍で「おうち時間」が一つのトレンドでした。仕事だけではなくプライベートで文具を使う機会が増えた方も多く、来年も自分時間を充実させてくれる女子文具の登場に期待が高まります。
(文/写真 やまぐちまきこ)

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