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そのふるさと納税、大丈夫? 「高くつく」返礼品も

知っ得・お金のトリセツ(32)

サイトから「上限額」を算出するのが第一歩

「実質2000円の負担で地方の特産品がもらえる」――。こんな超ざっくり説明で有名な「ふるさと納税」を知らない人は少ないだろう。「何やらお得らしい」と広まっており、各種調査でも認知度は9割を超える。一方「実際やった」人の比率となると一気に1~2割まで下がる。ふるさと納税とは要するに「2000円の手数料を払って住民税の支払先変更の手続きをすること」。手間暇がかかるだけでなく、時に手続きが無効になることや「全くお得でない」事態も起こりうる。正しく使えているだろうか?

控除を受けた人はまだ400万人強

民間の各種アンケートでは大体1~2割が「やったことがある」と答えるふるさと納税だが、その数字も高すぎる印象だ。なぜなら総務省発表の「ふるさと納税に関する現況調査結果」によると、ふるさと納税の制度下で実際に住民税が控除された人の数は今年406万人。日本の成人人口の4%に満たない。もちろん民間アンケートはもともと関心の高い人に聞いたなど「母数」の影響もあるだろう。それ以外に考えられるのが……。

「ふるさと納税はしても住民税の控除を受けなかった人の存在」(総務省の担当者)だ。どういうことか?

ふるさと納税とは寄付

「納税」の名がつくが、ふるさと納税はあくまで寄付。全国の自治体から選んで寄付をすると、その額から2000円を差し引いた額が税金の控除対象になる。控除とは「その分はなかったことにしてくれる税金のおまけ措置」。どこからおまけしてくれるかというと、中心は自分がもともと負担する予定の住民税だ。その2割(所得割部分)を上限に、支払先を居住地から寄付先につけ替えてくれる。

税金額は変わらないから純粋な節税にはならないが、払い先を変えただけでもらえる返礼品の分が丸々お得になる。ただ返礼品は必ずしもマストではなく、準備のない自治体もあるし、寄付者自ら「なしで寄付」を選ぶこともできる。

確定申告しないと「完結」しない

とはいえ、返礼品がふるさと納税の主目的になっているのも事実。控除を受けずに寄付する人の比率がそんなに多いとも思えない。考えられるのは返礼品に目がいきすぎて、もらった時点で自分の中で完結、肝心の「住民税の支払い変更手続き」が終わっていないケースだ。その場合、居住地に払う住民税に上乗せしてふるさと納税分の数万円なりを寄付をしたことになる。

ふるさと納税を本来の意味で完結させるには翌年、確定申告が必要だ。会社が本人に代わって作業してくれる年末調整の対象ではない。無論、ふるさと納税ポータルサイトなどには詳しく書いているが理解があやふやだとミスも起こりがち。お得の原資は「自分が払う住民税」だと再度キモに銘じよう。しかも住民税の支払いが始まるのは寄付した年の翌年。まず寄付額がキャッシュアウトし、その分を後から1年かけて取り戻す仕組みだ。

「ワンストップ特例」もあるが…

確定申告に縁のない会社員のために「ワンストップ特例」という制度も設けられてはいる。寄付する自治体が5カ所以内の場合に使えて確定申告代わりになる。寄付先ごとに手続きが必要なので5カ所なら5申請を忘れずに。これも複数になるほどウッカリしがちなポイントだ。

さらにせっかく特例を使っても無効になるケースもある。年末にかけて家を購入したり医療費がかさんだりして、住宅ローン控除や医療費控除といった他の確定申告が必要な控除の適用を受ける場合だ。ふるさと納税についても確定申告に切り替える必要があるが「特例を使ったから」と誤解して申告忘れにならないよう注意しよう。

「上限」超えると純粋な寄付に

しつこいようだが、ふるさと納税のお得の主な原資は自分がもともと払う住民税の一部。その原資の上限を超えるとお得にはならず、純粋な寄付になる。わざわざ大金を投じて「高くつく」返礼品を受け取る状況だ。

その事態を避けるために最重要なのが自分が来年6月から払うであろう住民税額の把握。去年の源泉徴収票を参考に、総務省はじめ関係するサイトに必ず載っている「自己負担2000円で済む寄付額」に当てはめてしっかり算出しよう。その上で今年はコロナの影響で会社員でも賞与や残業代が減り、収入環境が激変した人も多い。1年間の給与明細を確認しつつかなり余裕をもって寄付額を設定しよう。

以上、注意点と落とし穴はあるものの、自分が払っている税金を理解した上で返礼品がもらえる、という意味でもふるさと納税は役立つ制度に変わりはない。クレジットカードを使う場合、今年の日付中であれば有効。試してみる価値はある。

山本由里(やまもと・ゆり)

1993年日本経済新聞社入社。証券部、テレビ東京、日経ヴェリタスなど「お金周り」の担当が長い。2020年1月からマネー編集センターのマネー・エディター。「1円単位の節約から1兆円単位のマーケットまで」をキャッチフレーズに幅広くカバーする。

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